母たちのような老後を送る自信はないけれど |
普段はあまり話をしない人が酒を注ぎに来てひとしきり喋っていった。
わんわんした会場だったせいもあり聞き取りにくいので適当に相槌を打っていた。
帰りの電車の中で彼が何を言いたかったかがその真剣な表情とともに見えてきた。
渾身の力で忠告してくれたんだ。
ありがとう!手遅れかもしれないけれどやってみるね。


祖母の歌。
一役は買ひしつもりに世話を焼く老いは若きらもてあますらし
俺ももてあまされてきたなあ
不調法と言ひしは昔女らもビールのコップ高だかと挙ぐ
今の娘たちには歌の意味すら分からない?
肉体はよし滅ぶとも君が霊とはに留まれよ妻君の辺に
友の葬儀で俺も感じた

母の句。
一本の余花の華やぎ昼しづか
更衣筆新しくおろしけり