ホウレンソウを食う資格

昨日の「ホウレンソウ」記事に頂いたコメントが面白い。

生の、泥のついた奴でも何でもいいからホウレンソウを欲しがる上司(俺はそうだった)。
聞いて責任を負いかねないような面倒なホウレンソウは要らない、味付けもすんで食える状態のホウレンソウばかりを欲しがる上司。
やる気満々でも能力が伴わないから迂闊に相談できないようなオッサンもいる。
部下たるもの、上司のタイプを良くみてどんなホウレンソウを食わせたらいいか、判断するのだ。
部下もさる者引っ掻く者、上司におっかぶせるためにホウレンソウを食わせるのもいる。

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(江戸通り、小伝馬町あたり)

コメントに返事を書きながらつくづく思ったのは
上司として信頼されていなければホウレンソウは無い物ねだり
ってことだ。
この人なら辛抱強く噺を聞いてくれて俺たちの苦境を知ったうえで適切なアドバイスもくれる。
この人には俺たちの頑張ってるところを見ていて欲しい。
この人に話をしているとそれだけで頭が整理されて分からなかった答えまで見えてくるのが不思議だ、、。
俺が望んでもホウレンソウを食えなかったのは、つまるところそういうことが駄目だったてことだろう。

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(深沢あたり)

若い頃、ある会社の支店の課長をやっていた。
ある経緯で”相当ヤバイこと”をやらなくてはならなくなった。
法律に触れるということではないが。

直属の部長から指示があって実行したのだが、稟議書はすべて俺の代決ですませた。
後で問題になったら俺が全部引っかぶれば良いと思った。
その覚悟がないなら部長に逆らって実行を拒否すべきだと思った。
部長の指示ではあったが俺も実行するのはやむを得ないとも思ったのだし。

それが大問題になった。
本社の役員、場合によってはトップの首が危ないくらいの。
本社の幹部に呼ばれて事情聴取を受けたときに「私が責任を取ります」といったら「ブアッカッムオ~ン!」と怒鳴りつけられた。
馬鹿者、だ。
支店のチンピラ課長ごときに責任の負えるような問題と問題が違うんだと。

そのとき、隣りの支店の部長が、俺をワキに呼んで「あれ、君が代決したってほんとかい?」と聞いた。
そのヤバイことってのは隣りの部長と俺の上司とで相談してやることにしたのだ。
彼は支店長にまでもっていって有無を言わさず判をつかせたんだという。
普段はほとんど僕が代決してるけど、こういうヤバイのは上にハンコを貰わなきゃ。
上ってのはそのためにいるんだから。
今思うとあの部長の方が常識的なサラリーマンだろう。

ホウレンソウを食う資格_e0016828_23424928.jpg
(東京駅前「トキア」で、前に俺が関係していた店のアルバイトスタッフが佐平次さんですかと声をかけてくれて、個室にアップグレードしてくれた。嬉しかったなあ。)

中学の新聞部にいたとき「今年の10大ニュース」を募集して廊下に貼り出した。
担当の英語の先生が「重大ニュース」と墨痕淋漓。
変っている人で先生仲間からも生徒からもチョット浮いていた。
でも俺は嫌いじゃなかった。
貼っていたら国語の先生が「それは佐平次が書いたのか」と聞いたので「そうです」と、なんでそんなバカなことを云ったのか。
「それでもまちがいじゃないけれど、フン」と冷笑した国語教師。

バカなことだと頭では分かっているのに、なんども懲りずに”粋がり”をやってきた。

俺の方からホウレンソウなんて滅多にやらなかったなあ。
だもの、上に立ったからと言って部下にそれを望んでも、そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さんだ。
Commented by at 2009-03-24 00:17 x
私の世界にホウレンソウはございません。
なもんで、何のこっちゃら^^
Commented by kaorise at 2009-03-24 01:02
やっぱり組織ってのは大変ですね。色んな思惑がからみあって羊の原毛みたい、、
もーsaheiさんたら組織に向いてな〜い。どこかの職人さんみたい!
でも組織にこういう人がいるなんて面白いですねぇ。
よく考えたらホウレンソウをやれる人とは「ねーそいでさあ、、これなんだけどさあ、、」とよもやま話の調子で相談して最後は「あの映画見たあ?」とかそんな話まで及んでいきます。
「じゃ、今現在はこういうコトで!でも更に良くなるように頑張るんで、また動きがあったら連絡するね」って感じです。
海外まで最終チェックが及び、クライアントは戦々恐々とOKが出るのを待つようなモノでもこんな風に作ったものは常に喜ばれます。
信用できる人と組むと「確信」みたいなのが掴めて流れもよくなるんです。
同じ仕事でも人と人との化学反応で変わるんだから不思議ですよねえ〜
Commented by きとら at 2009-03-24 01:39 x
 最近のほうれん草は甘くなりましたねぇ。昔のは、根元に苦みがあってそこが一番美味しかったのですが、今のは駄目です。
 
 会社のほうれん草料理には世辞・追従という甘味料が添加されがちでしょう。添加物は要らん、素材の持ち味だ、なんておっしゃっていては敬遠されますよ。
Commented by convenientF at 2009-03-24 05:47
初めての違法行為は5年目の時だったかなぁ。時のトップは簿外で多額の報酬をくれた。口止め料込みだろう。

ずっと後年、1日中「ホウレンソウ」という念仏を唱えているサラリーマン社長はそこら中からカネを集めては兜町につぎ込む。「カモ」にされていたわけ。
部下に手伝わせるわけにもいかず、深夜休日にみずからコンピューターシステムをいじくって空いた穴をごまかし、取り繕っていたが我慢ならなくなり「勝てないバクチはいい加減止めなさいよ」と怒鳴りつけたら「辞めて貰おう。解雇処分だ!」
常に持ち歩いている「就業規則」の「解雇」の条文を読み上げてやった。「刑事事件で有罪判決を受けた場合」というのがある。「もしこの条文が適用される事態になれば、社長、アンタも同罪なんだぜ」

以後3年ばかり居座り、定年まで8年残して定年退職金を受け取ってバイバイ。

念仏は念仏以上の何ものでもないようですな。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 06:49
蛸さん、タイにはホウレンソウはなかったっけ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 06:52
kaoriseさん、そう、化学反応なんですね。
私は仕事のこちら側というより相手側にそういう人が何人かいました。
というより相手側とそういう関係にならないとうまくいかない仕事でした。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 06:53
きとらさん、敬遠の四球、どころかバッターボックスに立たせてくれなくなりましたよ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 06:56
convenientFさん、社長がやったことを落語では「ドガチャカ」といいます。
落語では店のスタッフに一杯飲ませる(味噌蔵)ためにやったりする、誠にほのぼのしてますよ。
Commented by at 2009-03-24 09:49 x
あっ、そうゆうこっちゃあらしません、
海の中..........
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 11:37
蛸さん、分かってるつもりですが、、^^。
Commented at 2009-03-24 14:29
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by convenientF at 2009-03-24 15:27
「ドガチャカ」は聞き覚えはあるのですが意味は忘れていました。
語源は何でしょうね?

若い頃の違法行為は、違法は違法でも、成功すれば社員、株主、下請け、原材料の仕入れ先など、みんなが幸せになるものでした。それに手書き帳簿の時代でしたしね。

後年のは、社長の座を狙う他の役員たちとの実績争いに過ぎなかったので、この作業を命じられた私は白けましたよ。要するに「投資詐欺」とも言える行為でした。あの社長は私が辞めて1年後に50歳代の若さで他界しましたが、彼のお陰で業界では世界第2位だったマンモスがいまや消滅。

しかし、今振り返ってみるとバクチの「いかさま師」役を演じた証券会社と、最高額の退職金と持ち株売却益を手にした最後の社員になってしまった私だけが得をしたわけで、思いは複雑です。
落語のように「ほのぼの」とはしていません。

ま、日本経済成長神話の一片ですね。
Commented by 旭のキューです。 at 2009-03-24 19:55 x
ばっかも~んが、笑えました。かなり緊張したんじゃないですか?
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 22:39
鍵コメさん、ほんと?嬉しいなあ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 22:42
convenientFさん、ドガチャガの語源ね、高島先生もお手上げでしょうね。
なんとなく感じはある言葉です。粉飾とか横領とかいうよりユーモアがあるなあ。
高額な退職金ですか、裏山です。
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-24 22:43
旭のキューです。さん、ばっか、じゃないですよ、ぶあっか、です。
あんまり緊張したという記憶はないです。
Commented by convenientF at 2009-03-25 09:41
>裏山です。

関連する法の時効は5~10年なので退職時点ではまだ塀の向こうに行く危険性は残っていました。だから規程の最高額プラス「事実隠蔽報酬/危険補償」は吹っ掛けましたよ。
相手が応じなければ奉行所へ「お恐れながら」と訴え出ることはできるのですから。

だから金額だけみれば「裏山」かも知れませんが、当方としては「裏見」代ですよ(^^;)。

客観的に見ればスリリングな堅気暮らし?
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-25 09:52
convenientFさん、そりゃ恐喝だ!
どうです?黙っててやるから、少し?
Commented by convenientF at 2009-03-25 14:49
エッ?
「カツアゲ」犯からカツアゲするおっさんがいる....

お巡りさーん!
Commented by saheizi-inokori at 2009-03-25 21:08
convenientFさん、さっきカツを食って帰りました。
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by saheizi-inokori | 2009-03-23 23:52 | よしなしごと | Trackback | Comments(20)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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