俺には勿体ないか、多すぎる御馳走 第49回式能(国立能楽堂)
2009年 02月 16日
都民芸術フエステイバル助成公演、式能。
シテ方5流、狂言方2流が、勢揃いして朝から夕方まで翁のほか能を5曲、狂言を4曲やるのだ。
それを午前と午後の二部に分けて、その第二部を観て来た。
休日の午後3時から7時までみっちりと(休憩はわずかに10分)、疲れました。
落語では4時間以上、聴いていることは結構多いが、あれは大声で笑って寄席などはピーナッツや弁当を食いながらでもいいのだが、能はクシャミひとつ、紙をごぞごそしてもじろっと睨まれるから大変だ。
まあ、そのピーンと張りつめた緊張感がいいとも言えるけれど。
さらに、花粉症がひどくて目が痒いやら鼻水が出るやらで舞台に集中出来なかったのが残念だ。
能「羽衣 舞込」(喜多流)
シテ:友枝昭世 ワキ:飯冨雅介 ワキツレ:椙元正樹、橋本宰 笛:一噌庸二 小鼓:幸正昭 大鼓:柿原祟志 太鼓:金春惣左衛門
能ファンにとっては垂涎の的とも言える友枝師の「羽衣」。
美しいとは思ったが俺はいつもほどの感興を覚えなかった。
花粉症と下調べの不足が響いた。
土屋恵一郎が宝生閑に聞き書きをした「幻視の座」という本で宝生閑がワキ・漁師が
初心者が大好きな曲だが実はシテだけでなくワキや謡などが表現力を問われる難しい曲なのだという。
そのあたりを感得するためにはもっと心身ともに鍛えて集中しないとアカンなあ。
中川状態じゃまずいよ。
狂言「お茶の水」(大蔵流)
シテ:山本則直 アド:山本東次郎 アド:山本則俊
住職(東次郎)よりも女を取った新発意(則直)、この後どうなるんだろうなんてくだらない格差社会的心配をしてしまうところが、どうも、、。
能「弱法師」(観世流)
シテ:角寛次朗 ワキ:宝生閑 アイ:山本泰太郎 笛:寺井久八郎 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓;安福光雄
ワキ・通俊が讒言にのって追放してしまった息子・シテ・俊徳丸は盲目の乞食・弱法師となって父の前に現れる。
弱法師の「盲目の杖」の使い方を含めた盲人の演技、石の鳥居を杖で打って確かめるところ。
極楽浄土を想い願ううちに心眼で四方の景色がすべて見える気持ちになって「おう、見るぞとよ、見るぞとよ」と高揚していく。
それなのに行きかう人びとにぶつかってこけてしまう。
現実に突き落とされてしまうのだ。
信仰で救われたかと思ったら目が覚めて「もう狂はじ」とかいうのがなんとも寂しい。
しかも父はようやく名乗ってくれても、どうやら晴れて世の中に親子の関係を明らかにするつもりがなさそうに見える。
幽霊は出ないけれど哀しい曲だ。
信仰で救われて父にも会えてめでたしめでたしとはしていない。
狂言「苞山伏」(和泉流)
シテ:野村万作 アド:野村万之介 小アド:竹山悠樹
万作のずるい男ぶりがおかしい。
純真な山びと(万之介)と元気いっぱいの山伏(竹山)もよかった。
陰々滅滅たる弱法師の余韻を笑いで消す。
なるほど、能と狂言のこういう関係があるのだと気がついた。
能「張良」(金春流)
シテ:高橋汎 ツレ:辻井八郎 ワキ:森常好 アイ:高野和憲 笛:藤田次郎 小鼓:観世新九郎 大鼓:亀井実 太鼓:三島元太郎
ワキ・張良がシテかと思えるほど大活躍する曲だ。
上に書いた「幻視の座」に
流れの中に投げ入れられた沓を張良が飛び込んで取ろうとするときに大きく反り身になって舞台をまわる演技(歌舞伎の舞踊はこれをヒントにしたのではないかと閑さん)に必要な腰の鍛練などは子どもの頃から訓練されるのだという。
お神酒を頂き舞台を清めて、精進潔斎して、やる前に九字を切る。
(能楽堂の近くにあった下宿や、灯りのついたところが突き出している)
netや書物でいろいろ勉強すると昨日観た能・狂言が様々な工夫や修錬の上に出来上がっていることがわかる。
しかし、それは頭の中で理解したに過ぎない。
ホントに舞台を観ながらそういうことが玩味できる力はない。
森常好が例によって素晴らしい声を気持ちよさげに響かして、アイの高野も大ガンバリでよかった。
ただ「鉢巻の端が床につくくらい」といわれるほどの反り身にはなっていない。
ちょっと身体が堅い?
シテ方5流、狂言方2流が、勢揃いして朝から夕方まで翁のほか能を5曲、狂言を4曲やるのだ。
それを午前と午後の二部に分けて、その第二部を観て来た。
休日の午後3時から7時までみっちりと(休憩はわずかに10分)、疲れました。
落語では4時間以上、聴いていることは結構多いが、あれは大声で笑って寄席などはピーナッツや弁当を食いながらでもいいのだが、能はクシャミひとつ、紙をごぞごそしてもじろっと睨まれるから大変だ。
まあ、そのピーンと張りつめた緊張感がいいとも言えるけれど。
さらに、花粉症がひどくて目が痒いやら鼻水が出るやらで舞台に集中出来なかったのが残念だ。
能「羽衣 舞込」(喜多流)
シテ:友枝昭世 ワキ:飯冨雅介 ワキツレ:椙元正樹、橋本宰 笛:一噌庸二 小鼓:幸正昭 大鼓:柿原祟志 太鼓:金春惣左衛門
能ファンにとっては垂涎の的とも言える友枝師の「羽衣」。
美しいとは思ったが俺はいつもほどの感興を覚えなかった。
花粉症と下調べの不足が響いた。
土屋恵一郎が宝生閑に聞き書きをした「幻視の座」という本で宝生閑がワキ・漁師が
天女が嘆くところを見て衣を返そうという気持ちになれる人間でないとこの漁師は出来ない。などと”品格があって天女と話せる漁師”であることが必要だと語っている(総理大臣をはじめ政治家たちは漁師になれないね)。
初心者が大好きな曲だが実はシテだけでなくワキや謡などが表現力を問われる難しい曲なのだという。
そのあたりを感得するためにはもっと心身ともに鍛えて集中しないとアカンなあ。
中川状態じゃまずいよ。
狂言「お茶の水」(大蔵流)
シテ:山本則直 アド:山本東次郎 アド:山本則俊
住職(東次郎)よりも女を取った新発意(則直)、この後どうなるんだろうなんてくだらない格差社会的心配をしてしまうところが、どうも、、。
能「弱法師」(観世流)
シテ:角寛次朗 ワキ:宝生閑 アイ:山本泰太郎 笛:寺井久八郎 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓;安福光雄
ワキ・通俊が讒言にのって追放してしまった息子・シテ・俊徳丸は盲目の乞食・弱法師となって父の前に現れる。
弱法師の「盲目の杖」の使い方を含めた盲人の演技、石の鳥居を杖で打って確かめるところ。
極楽浄土を想い願ううちに心眼で四方の景色がすべて見える気持ちになって「おう、見るぞとよ、見るぞとよ」と高揚していく。
それなのに行きかう人びとにぶつかってこけてしまう。
現実に突き落とされてしまうのだ。
信仰で救われたかと思ったら目が覚めて「もう狂はじ」とかいうのがなんとも寂しい。
しかも父はようやく名乗ってくれても、どうやら晴れて世の中に親子の関係を明らかにするつもりがなさそうに見える。
幽霊は出ないけれど哀しい曲だ。
信仰で救われて父にも会えてめでたしめでたしとはしていない。
狂言「苞山伏」(和泉流)
シテ:野村万作 アド:野村万之介 小アド:竹山悠樹
万作のずるい男ぶりがおかしい。
純真な山びと(万之介)と元気いっぱいの山伏(竹山)もよかった。
陰々滅滅たる弱法師の余韻を笑いで消す。
なるほど、能と狂言のこういう関係があるのだと気がついた。
能「張良」(金春流)
シテ:高橋汎 ツレ:辻井八郎 ワキ:森常好 アイ:高野和憲 笛:藤田次郎 小鼓:観世新九郎 大鼓:亀井実 太鼓:三島元太郎
ワキ・張良がシテかと思えるほど大活躍する曲だ。
上に書いた「幻視の座」に
ワキにとってこの「張良」は、一子相伝のものであり、家に子供が生まれたときは、この「張良」を子供を抱えて舞うことになっている。とある。
流れの中に投げ入れられた沓を張良が飛び込んで取ろうとするときに大きく反り身になって舞台をまわる演技(歌舞伎の舞踊はこれをヒントにしたのではないかと閑さん)に必要な腰の鍛練などは子どもの頃から訓練されるのだという。
お神酒を頂き舞台を清めて、精進潔斎して、やる前に九字を切る。
netや書物でいろいろ勉強すると昨日観た能・狂言が様々な工夫や修錬の上に出来上がっていることがわかる。
しかし、それは頭の中で理解したに過ぎない。
ホントに舞台を観ながらそういうことが玩味できる力はない。
森常好が例によって素晴らしい声を気持ちよさげに響かして、アイの高野も大ガンバリでよかった。
ただ「鉢巻の端が床につくくらい」といわれるほどの反り身にはなっていない。
ちょっと身体が堅い?
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蛸
at 2009-02-16 22:49
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日本の文化が懐かしい。てか、いてた時もそこまで知らんかった。
離れてしもてから、ええとこも悪いとこも見えて来る。
離れてしもてから、ええとこも悪いとこも見えて来る。
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saheizi-inokori at 2009-02-16 22:55
蛸さん、私など長いこと日本におらせてもろうてからになああんも知らんできましたよ。
あとどんだけ?
あとどんだけ?
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Mr.Yo-Yo
at 2009-02-16 23:35
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>中川状態じゃまずいよ
居眠りしてたと外国メディアがここぞとばかりに報道していましたね。
ああいう場での中川さんの行動は2通りに解釈できます。
一、本当に眠たかった。
二、精神的に不安定で病気になってしまい、傍から見れば居眠りだが、本人はそんな自覚はない。即ち、「気絶」
二の場合だと、入院までわずかということになります。
たまには、フォローもしてあげたら?と思うのは人情でしょうか。
それとも諦め?
居眠りしてたと外国メディアがここぞとばかりに報道していましたね。
ああいう場での中川さんの行動は2通りに解釈できます。
一、本当に眠たかった。
二、精神的に不安定で病気になってしまい、傍から見れば居眠りだが、本人はそんな自覚はない。即ち、「気絶」
二の場合だと、入院までわずかということになります。
たまには、フォローもしてあげたら?と思うのは人情でしょうか。
それとも諦め?
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kaorise at 2009-02-17 00:34
花粉症の季節の観劇はつらいですねえ、、
私など、もう遊びにいくのも無理なカンジ。こないだも梅とメジロを見にいったのに「見るぞとよ」どころか「かゆくて見えんぞよ」。
しかし天女が困っているのに羽衣を返そうという気にならない人なんて、品格どころか単に泥棒じゃないの、、困るわあ〜
私みたいな花粉症のオバチャンがそばにいたら鼻水たらしながら
「アンタそれ人のもんでしょ返しなさい!」って能にならんわ、、、
私など、もう遊びにいくのも無理なカンジ。こないだも梅とメジロを見にいったのに「見るぞとよ」どころか「かゆくて見えんぞよ」。
しかし天女が困っているのに羽衣を返そうという気にならない人なんて、品格どころか単に泥棒じゃないの、、困るわあ〜
私みたいな花粉症のオバチャンがそばにいたら鼻水たらしながら
「アンタそれ人のもんでしょ返しなさい!」って能にならんわ、、、
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ginsuisen
at 2009-02-17 01:23
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羽衣を返すのも、天女の神々しさにも関わるような気もしますが、天女の詞を理解できる器量ということなのでしょうね。式能はもう現代には合いませんね。能1番に狂言1番くらいがいいかも。それだけ長くやるなら、昔のように弁当OKにしてはどうなんじゃろ。誰か、能楽界にも勘三郎さんのように、小屋を作って見せるようなことをしないかなー。ヨイヤヨイヤと酔いながらねー。中川さんもいらっしゃい!あ、彼はいらないわー。ローマのワイン、美味しかったのだろうな~。
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orangepeko
at 2009-02-17 05:10
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おはようございます。
>花粉症がひどくて目が痒いやら鼻水が出るやらで舞台に集中出来なかった…
私も映画館の中で・゚・(ノД`)・゚・…空気が悪いのか(・・?)…困りました(^^;
>能はクシャミひとつ、紙をごぞごそしてもじろっと睨まれるから大変だ…
映画もその筈ですが…隣から漂うフライドポテトの匂いもきつかった(~ヘ~)
鼻を噛むのも音をさせずに…(^O^)
>花粉症がひどくて目が痒いやら鼻水が出るやらで舞台に集中出来なかった…
私も映画館の中で・゚・(ノД`)・゚・…空気が悪いのか(・・?)…困りました(^^;
>能はクシャミひとつ、紙をごぞごそしてもじろっと睨まれるから大変だ…
映画もその筈ですが…隣から漂うフライドポテトの匂いもきつかった(~ヘ~)
鼻を噛むのも音をさせずに…(^O^)
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saheizi-inokori at 2009-02-17 07:15
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saheizi-inokori at 2009-02-17 07:18
kaoriseさん、今の世の中、その当たり前が通じない、拾ったんだからもう俺のものと開き直る人も多いのでは。
財界の大物をみていると、、。
「嘘をつくのは人間でしょう」と云われてすぐに恥いるのもこの漁師、いいとこあると思います。
大臣たちとはずいぶん違う。
財界の大物をみていると、、。
「嘘をつくのは人間でしょう」と云われてすぐに恥いるのもこの漁師、いいとこあると思います。
大臣たちとはずいぶん違う。
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saheizi-inokori at 2009-02-17 07:22
ginsuisen さん、トイレタイムが短すぎです。せっかく天女の舞をみてもあの行列では幻滅します。
古にはトイレはどうしていたんでしょうね。
ワイン飲んだらもう間違いなくいびきの大合唱ではないかな。中川状態になるかも。
古にはトイレはどうしていたんでしょうね。
ワイン飲んだらもう間違いなくいびきの大合唱ではないかな。中川状態になるかも。
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saheizi-inokori at 2009-02-17 07:24
orangepeko さん、直接の症状ばかりか見続けようと云う気力が失せてきますね。
昨日病院に行ってきました。少しは効くかな。
昨日病院に行ってきました。少しは効くかな。
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蛸
at 2009-02-17 12:18
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saheizi-inokori at 2009-02-17 14:52
蛸さん、日本語うまいガイジン、よけえおらはりまっせ~。
by saheizi-inokori
| 2009-02-16 22:37
| 能・芝居
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