チェ・ゲバラの素顔 アレイダ・マルチ「わが夫、チェ・ゲバラ 愛と革命の追憶」(朝日新聞出版)

チェ・ゲバラはバティスタ政権打倒後、工業、銀行、農業、教育、、多くの部門の責任者としてキューバの建設に心血を注ぐ。
自己献身、弱いものへの思いやり、平等主義、、まさに愛こそ革命家の本質、日々生長する革命家だった。
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革命戦争をともに戦い結婚してからも秘書として彼を支えるアレイダを海外に同行しようとしない。
カストロの説得があっても「役得とみられるようなことをすべきではない」と拒否する。
6年近い八面六臂の献身の後、チェは閣僚の肩書きや安定した生活(そんなものはもともとなかったが)を振り捨ててボリビアに潜入して革命を助けようとする。
基盤の出来たキューバは自分を必要としないが、ラテンアメリカにはなすべことがたくさんある。「何世紀もの間、わがもの顔に振る舞ってきた悪を覆すために努力を捧げたい」と考えた。
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(これがチェとは!)
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(2年ほど前、ほんとのチェ)
出発の数日前、ゲバラはハバナの隠れ家で子どもたちに会う。
7歳、5歳、4歳、2歳の4人、アレイダは33歳。
上の子がチェと気づけば誰かに話してしまうかもしれないので”パパと仲良しのウルグアイ人、60歳にも見える男”に変装しての別れだ。
チェにとっても、私にとっても、本当に苦しい状況でした。とくに彼はどんなにつらかったことか。すぐそばに子どもたちがいるのに父親だとも言えず、自由に振舞うこともできず、彼の人生におけるもっとも厳しい試練の一つでした。
長女が、遊んでいる時に頭を打つとチェはとても優しく面倒をみる。
長女は母のところに来て耳打ちする。
「ママ、この人、私に恋してるみたい」。

私たちは何も言えませんでした。衝撃で、ただただ顔が青ざめるだけでした。
チェは一編の詩を残して最終目的地に旅立つ。
その最後の部分。
さようなら、僕のたった一人の人。
恐れおののかないでください。おなかをすかした狼の前でも
大草原のような不在の寒さにも。
僕の心の隅にいつもきみはいるのだから
そして、道が消えるまでともに行こう、、、
その前の節も引こう。
もし地べたの暗い貴賓席が僕の運命であるならば
もやのかかった思い出の保管庫にそれを入れてください。
涙と夢の夜にはそれを使ってください、、、
1967年、ボリビアでチェは処刑される。39歳。

夫・チェ死亡後沈黙を続けてきたアレイダが明かす二人の軌跡。
まさに”愛と革命の追憶”だ。

深い愛情と洞察に満ちているが叙述は冷静、抑制的、驚くほど客観的だ。
長い間苦しみながら立ち向かってきた、そうすることで彼女自身が大きく成長した、愛と革命の真相が半世紀の後にやっとここまで整理されたのだと思う。

チェの毎日語るエピソードと多くの写真が添えられている。
つくづくいい二人だ。

チェもアレイダもカストロも偉大だが彼らについて行ったキューバの人びとも偉大だったと思う。

後藤政子訳
Commented by 旭のキューです。 at 2009-01-31 10:07
39歳の死ですか、悲しい思いですね。残された家族が可哀想でなりません。
Commented by orangepeko at 2009-01-31 10:11
おはようございます(^-^)
拡げて(深めて)いっておられますね~♪
早速…今日観に行かれるのでしょうか(*^m^*)
私は来週ですね…余韻の残っているうちに~♪(^-^)V

>つくづくいい二人だ…
同志ですね…さり気なく恋愛の導入がありましたものね~♪

『イマジン』に込められたメッセージ…
ジョン・レノンが「世界一かっこいい男」と言った意味…良く解ります~♪
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-31 12:13
旭のキューです。さん、娘さんは来日もして講演をしています。
確かにかわいそうですが大きなものを父の生き方から受け継いだことは幸せだとも思います。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-31 12:14
orangepeko さん、今日明日はいけないです。
何とか、終わりまでにぜひと思います。
Commented by kaorise at 2009-01-31 13:28
チェの奥さんは偉大な方なんですね。
愛に生き真を信じて生きるこの強さこそ、本物の「女」だと思います。
奥さん自身、安定よりも彼の生き方をとことん尊重したんですね、
普通の女には絶対できないことです。
男でも女でもこういう人がそばにいれば、大きな仕事にも自分が思うより以上のパワーと信念を持って前進できるのだと思います。
Commented by みい at 2009-01-31 15:47
確かにかわいそうだけれど・・・・でも、子供たちは、偉大なかっこいい両親から受け継いだものがある限り、強く生きていけますね。幸せだとわたしも、そう思います。
この本読んでみます!
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-31 16:13
kaoriseさん、新婚当時から激務のなかで古典などを読みチェが指導してくれたそうです。
彼女自身が素晴らしい戦士です。しかも家庭人でもある。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-31 16:14
みい さん、おすすめします。
Commented by suiryutei at 2009-01-31 16:21
こんにちは。
あの映画について佐平次さんが書いている1月23日の日記を拙ブログにリンクさせてもらいました。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-31 16:47
suiryuteiさん、ありがとう。
二部も見たいと思います。
日記も読みたい、何にも知らないで同時代を生きてきたんだと思いました。
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by saheizi-inokori | 2009-01-30 23:17 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori