国家の品格・竹岡の論「防衛省元幹部3人の志」〈2・竹岡勝美)

竹岡勝美。
1923年生まれ。京都大学法卒後、警察庁上級職。
岡山・鳥取県警本部長歴任後、防衛庁に。
官房長、調達実施本部長を歴任1980年退官。
100万年単位の人類の歴史は間違いなく進歩している。〈略)このモラルの進化の方向は、すべての人間が平等に、生命、基本的人権が尊重されていく。その量の拡大の方向にあります。まさに「命どう宝(ヌチドウタカラ)」〈命こそが一番大事)です。
個々の生命に至高の価値があるならば、これを殺し合う戦争こそ、避けるべき人類最大の愚考であると言わねばなりません。

〈日本の〉国家の品格には二つの疑義があります。

その第一は、日本民族にとって種的・文化的ルーツである朝鮮民族を三五年間の長きにわたり隷属の民と化した罪、同様の中国人民を一五年間、100万の大軍でその本土を蹂躙した罪への反省・謝罪が必ずしもホンモノではなかったことです。〈略)
問題は、中曽根康弘氏が首相時代、国連創設40周年総会での演説で「われわれ日本人は、超国家主義と軍国主義の跳梁を許し、世界の諸国民にも、また自国民にも多大の惨害をもたらしたこの戦争を厳しく反省しました」と謝罪したにもかかわらず、中曽根氏が所属する自民党などの保守政党は戦後10年を待たずして、戦時下の東条内閣の閣僚等として、まさに超国家主義者、軍国主義者として跳梁した政治家、顕官たちの臆面もなき破廉恥な戦後の政治家としての復活を許したことです。〈略)
戦後の教育が破廉恥に堕すはずです。
日本が、米国を除く世界、特にアジア諸国から欧州諸国のドイツに対するごとき信頼をかち得ているかは疑問です。〈略)
戦後日本の保守政党は、日本が誇る武士道の美徳から「廉恥」の心を消し去りました。

その第二は、独立国・日本が米国の属国のごとくあまりにも米国に依存している独立気概への疑問です。

日本の有事とは、まさに在日米軍を含む米軍と日本周辺国家との戦争に巻き込まれる波乱有事のみです。万一にも、米軍が一方的に北朝鮮を崩壊させようとした時、北朝鮮の200基のノドン・ミサイルが、日本海沿岸に濫立する十数基の原発を爆破するかもしれません。

一億2000万人の国民は8000万台の自動車、五三基の原子炉、巨大な石油化学工場、、〈略)いかに米軍の支持があろうとも本格的な国土戦は戦えないというのが偽らざる実態ではないでしょうか。と同時にそれは起こりえない虚構でもあるでしょう。

「不戦」一途に政治、外交、防衛各当局者の献身による「抑止」を含めての平和の永続に期待するほかはありません。それは可能でもあります。
先ごろは日本が間違っていたと考えるのは愛国的ではないと云う事を云った防衛省幹部もいたようだ。
国家の品格とか国の誇り、語る人によってこうも違うものですか。

竹岡は自民党の憲法改正案は集団的自衛権の行使という名目でベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争などの場合に自衛隊員が派遣されてアメリカの相手国兵を殺さなければならなくなるという。
仮に『集団的自衛権の行使』の採否を論ずる時は、必ず第一線の自衛隊員の秘密投票の権利を守るべきです。殺されるのは自衛隊の下級兵士のみですから
一種ブラックユーモアですね。
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(名菜館・「大正海老と銀杏のニンニク炒め)

竹岡が感銘を受けたとして紹介している故・後藤田正晴元官房長官の言葉。
私たちのように戦争を体験した世代が国の指導者である限り再び戦争に巻き込まれるようなことは絶対のさせない。またそれと同時に戦争を知らない次の世代が誤ることのないように、平和外交に徹しうる国家の体制を築くのが、私たちの責任だと痛感する
後藤田氏の講演を聴いたことがあるが、おりしも国会で問題になっていた「周辺事態法」について静かな口調の中に”剃刀”らしい切れ味で厳しく批判したことが思い出される。
Commented by 高麗山 at 2009-01-21 00:21 x
二人の元官房長官と官房長の話には感銘を受けます。
私が解せないのは、あの元官房長官がどうして、佐々淳行氏を
可愛がり、子飼いにしたのでしょうか?
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-21 06:41
高麗山さん、分かりませんね。能吏?
Commented by antsuan at 2009-01-21 20:09
後藤田さんでも、真実の歴史認識を持っていなかったのではないでしょうか。
皇帝溥儀の家庭教師だったR・ジョンストンが書いた『紫禁城の黄昏』を原文で読めば、日本が侵略戦争をしたのではないことがはっきりと分かるようです。
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2009/01/17/「日本を歴史の加害者とするためか 原書の一部/

Commented by なみへい at 2009-01-21 20:36 x
現役の時にこう言ってくれたら立派な人だと思います。
Commented by HOOP at 2009-01-21 22:34
私は防衛省にも防衛庁にも、席を置いたことはありません。

が、17歳のとき、現在の防衛省がある、あの敷地で
2日間過ごしました。

初日は近所のパン屋で買ったフランスパンと、
お気に入りのアルミ水筒に入れた自宅の水道水を持参しましたが、
2日目は、学校隊の食堂が利用可能と聞き、
180円のカツ丼を食べました。

今、思えば、ずいぶん奮発したものですね。(当然、月2000円の小遣いから支出)

そんな私でも、ここまで国を愛した官僚がいたことに
無条件で感動しています。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-21 23:40
antsuan、私は日本が侵略したと思っています。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-21 23:41
なみへい さん、現役時代もそう変わらないひとだったんじゃないでしょうか。詳しくは知りませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2009-01-21 23:42
HOOPさん、本来官僚ってそういうものだったはずdすね。
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by saheizi-inokori | 2009-01-20 23:26 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori