トンネルを抜けると悦びが待っていた 能・芭蕉@「能楽現在形」(宝生能楽堂)
2008年 12月 20日
二時間近く、能の進行についていけなかった。
俺には能はそもそも分からないものだったのか、今まで分かったようなつもりになっていたけれど、所詮縁なき衆生だったのか。
もう能を観るのを止めるべきかとまで思った。
ただ一噌幸弘の笛が伸び伸びと時にはねっとりと歌い小鼓・成田達志と大鼓・亀井広忠の息のあった囃子が快かった。

長い長い能で、二時間近い時を経過したときに、急にシテ・芭蕉の精(片山清司)の舞に気持ちが集中し始めた。
そしてワキ正面の方にやってきて右手で袖をかざして少しうつむいた時の面を見たときにその美しさにしびれた。
それまでと全く違う顔になったようにみえる。
無機質とみえた顔に突然青い血が流れたような、凄絶ともいえる翳があって、静かな、しかし底知れない深さを孕んだ貌、妖艶ともいえる美しさ(何を言ってるか分からないね)。
ちょっと俺の語彙と表現力では形容しがたいような美しさだ。
その後の15分くらいシテの舞は能楽堂の全てが息を止めてしまったかのようだった。
後見の梅若玄祥(六郎改め)が怖いような顔をしてシテを凝視している。
地謡の中にあからさまにシテの動きを追っている人もいた。
それまでとまるで違う空間が現出したかのようだった。
ワキ・僧(宝生欣哉)の方に近づくシテの後姿に色気があった。
ワキの前でくるっとまわって小中を向いた顔に笑いが走ったようにも感じた。
大小前から両の手を肩の横に広げて上下しながら前に進む時には重さを無くして放心した態にみえた。
やはり、まだ能を見続けようと云う気になった。
アイ・里人になった野村萬斎のアイ語り「蕉鹿」は”炸裂した”という感じだった。

先に居囃子「三井寺」。
シテ・地謡・梅若玄祥、笛・一噌幸弘、小鼓・成田達志、大鼓・亀井忠雄。
地謡座の後ろの列に座って謡うからか言葉が聞き取りにくかったが梅若の声は相変わらずきれいだ。
亀井・成田の掛け合いに一噌の笛が気持ちよく乗っていくようでつくづく快かった。
俺には能はそもそも分からないものだったのか、今まで分かったようなつもりになっていたけれど、所詮縁なき衆生だったのか。
もう能を観るのを止めるべきかとまで思った。
ただ一噌幸弘の笛が伸び伸びと時にはねっとりと歌い小鼓・成田達志と大鼓・亀井広忠の息のあった囃子が快かった。

長い長い能で、二時間近い時を経過したときに、急にシテ・芭蕉の精(片山清司)の舞に気持ちが集中し始めた。
そしてワキ正面の方にやってきて右手で袖をかざして少しうつむいた時の面を見たときにその美しさにしびれた。
それまでと全く違う顔になったようにみえる。
無機質とみえた顔に突然青い血が流れたような、凄絶ともいえる翳があって、静かな、しかし底知れない深さを孕んだ貌、妖艶ともいえる美しさ(何を言ってるか分からないね)。
ちょっと俺の語彙と表現力では形容しがたいような美しさだ。
その後の15分くらいシテの舞は能楽堂の全てが息を止めてしまったかのようだった。
後見の梅若玄祥(六郎改め)が怖いような顔をしてシテを凝視している。
地謡の中にあからさまにシテの動きを追っている人もいた。
それまでとまるで違う空間が現出したかのようだった。
ワキ・僧(宝生欣哉)の方に近づくシテの後姿に色気があった。
ワキの前でくるっとまわって小中を向いた顔に笑いが走ったようにも感じた。
大小前から両の手を肩の横に広げて上下しながら前に進む時には重さを無くして放心した態にみえた。
やはり、まだ能を見続けようと云う気になった。
アイ・里人になった野村萬斎のアイ語り「蕉鹿」は”炸裂した”という感じだった。

先に居囃子「三井寺」。
シテ・地謡・梅若玄祥、笛・一噌幸弘、小鼓・成田達志、大鼓・亀井忠雄。
地謡座の後ろの列に座って謡うからか言葉が聞き取りにくかったが梅若の声は相変わらずきれいだ。
亀井・成田の掛け合いに一噌の笛が気持ちよく乗っていくようでつくづく快かった。
ああ、私もこんな気持ちを味わってみたい!!
生きる喜びですね・・・
それにしても、ずいぶん長時間の上演だったのですね。
生きる喜びですね・・・
それにしても、ずいぶん長時間の上演だったのですね。
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hanakannzasiさん、長いトンネルを抜けたら別の国にいました!

無機質とみえた顔に突然青い血が流れたような、凄絶ともいえる翳があって、静かな、しかし底知れない深さを孕んだ貌、妖艶ともいえる美しさ(何を言ってるか分からないね)。がジ~ンときました。
難解な、というよりも、入っていけなかったのでしょうね。
解釈しようとすれば、それだけ苦しくなるのかも。
昨日もらった日本野鳥の会の冊子で、
柳生博会長と三川泉さんが対談していて、
そんなことを思いました。
解釈しようとすれば、それだけ苦しくなるのかも。
昨日もらった日本野鳥の会の冊子で、
柳生博会長と三川泉さんが対談していて、
そんなことを思いました。
旭のキューです。さん、能を観ることはありますか?私はゴルフをやらないからこっちです。

by saheizi-inokori
| 2008-12-20 23:29
| 能・芝居・音楽
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Comments(8)