自分の作った武器が子どもを殺してる? 島本慈子「ルポ 労働と戦争 -この国のいまと未来」(岩波新書)

憲法9条があっても日本人のかなりの人が戦争に加担している。
米軍基地、武器製造、航空、、。
これらは目に見える形での加担だ。

ハイテク兵器は部品が細分化して作られているから生産に携わっている人はそれが武器になってイラクやアフガニスタンで使われていることを知らないそうだ。
民需と軍需の境界線は溶けだした。

自分の作った武器が子どもを殺してる? 島本慈子「ルポ 労働と戦争 -この国のいまと未来」(岩波新書)_e0016828_22314738.jpg
(エリカ)

戦争の無人化が進んでいる。
ミサイルを抱いた無人飛行機がアメリカ国内で発射されてリモコンでアフガニスタンを空爆して女性・子どもが殺される。
戦闘の無人化という軍事革命は「銃後の責任を重くする」。
無人の戦闘ロボットや無人の戦闘機が戦うことになれば
兵士は人を殺さない、研究者と労働者が人を殺します。
だから、日本の労働はアメリカの戦争を支えている。

しかし、憲法9条の縛りは結構大きく効いている。
どんどん、情勢は変化しているけれど、やはり専守防衛の縛りは効いている。

自分の作った武器が子どもを殺してる? 島本慈子「ルポ 労働と戦争 -この国のいまと未来」(岩波新書)_e0016828_16543396.jpg

本書は国内の基地労働者、自衛官、兵器産業社員、派遣労働者、パイロット、地方公務員、港湾労働者、気象関係者、介護福祉分野の労働者、大学の研究者、農業者などを訪ねて「彼らの労働と戦争がどのようにつながっているのか」「それは、9条改憲によってどう変わるのか」を考えていく。

たとえば気象関係者、多くの人の生活を支えている気象情報は国際協力によって精度の高いものになる。
中国からの観測データが入って来なければ台風の予想はたちまち狂ってしまう。
一方、日米安保条約にもとずく地位協定では日本は気象情報を米軍に提供する義務を負っている。
イザ戦争となると気象情報は重要な軍事情報となるから、自国民に向けて気象情報を流すことも制限される。
1941年の真珠湾攻撃以降、ラジオから天気予報は消え、台風が接近しても警戒警報が出なかったために大きな被害が発生した。
武力を使って平和をつくることは、とても難しい。
それは現在のアフガニスタン、イラクの情勢を見れば「火を見るよりも明らか」である。しかし武力を使わなくても、平和をつくることは難しい。
結局どちらの道を取っても難しいのであれば、日本は徹底して後者の道を模索していくべきではないか。
それが、殺人テクノロジーの開発レースを疾走してきた人類の歴史が、この日本という国に与えたミッションではないか。
その思いは、とてもかなしい気持ちから出ているから、いまこれ以上は書けない。
1951年生まれのジャーナリスト・島本はあとがきにそう書いている。

自分の作った武器が子どもを殺してる? 島本慈子「ルポ 労働と戦争 -この国のいまと未来」(岩波新書)_e0016828_16585646.jpg

Commented by HOOP at 2008-12-19 22:54
私が納得いかないのは、どんな技術も軍事目的に利用できないものはないということを、どうして誰も理解していないのかということです。
自動車どころか自転車だって、いや、湯沸かしポットだって、テロ組織の手に渡れば大量殺人兵器になります。
ってか、大量殺人兵器だらけじゃないですか!
東京なんて!
Commented by henry66 at 2008-12-19 23:57
日本の自衛能力とはどのくらいのものなのか、それが私にはピンときません。外交による平和を唱えても、お粗末な政治家にそれだけの外交手腕を期待する気にもなれません。日本の自衛・外交能力を見ていると、9条だの平和だのという気取りにしても、それは単に他国に保護されながらやっと維持してきただけの幻想に過ぎないのではないかと私は感じます。
Commented by kaorise at 2008-12-20 02:00
>日本の労働はアメリカの戦争を支えている。

その通りですよね。
ある工場には絶対立ち入り禁止の区域があって、兵器の部品を作ってると聞いた事もあるし、日頃使ってるものが兵器メーカーのものだったりもします。
身近なものをちょっと見渡せば分る事なのに、単純な感覚で戦争反対って言える人が逆にとても怖いと思う時もあります。
この豊かさを享受していながら、つるんとした考えで何言ってんだよ、と思う。
このままHappyでいたいがための戦争反対を感じると、その発想が簡単にひるがえる事もあるだろうな、と危険すら感じます。
豊かな社会、自分の暮らしを支えている暗い面を見てこそ、自覚的に戦争や国と国の状況をとらえる事ができる。
こういう本を通していろんな事を知るのってとても大切ですよね。
Commented by orangepeko at 2008-12-20 06:33 x
saheiziさん、おはようございます(^-^)
>武力を使わなくても、平和をつくることは難しい。
戦争は争い…と単純に理解しているのですが(^^;…大小を問わず、どこでも起きている現象ですね…
戦争をするも止めるも人間の意志が大きく関わっている筈なのに…
辞める勇気(?)を持つことが出来ないのも理解できます…
私は人間は道具ではない!と思っているのですが…心を持たない道具以下の人間が増えているということなのでしょうか(・・?)道具には魂が込められていると思うのですが…そういうお道具…少なくなりましたね(^^;時代の反映(・・?)

商品の使い捨てが当たり前になった頃…今に人間も…と思っていました…
介護商品は“使い捨てが当たり前!”の感覚の中で行われています…
現場には福祉の精神はありませんヽ(`Д´)丿

今…その感覚に慣らされた人間も商品同様…使い捨てになってしまっていますね・゚・(ノД`)・゚・
嫌な社会現象です(;-_-) =3労働闘争も強行採決も戦争のようなもの…??
何か訳の解らないコメントになりましたね(^^;…(^O^)
Commented by sweetmitsuki at 2008-12-20 06:41
この前、横田基地のゲートを作り直す仕事があり、先輩たちは基地まで取り付けに行って来ましたが、私は工場で鉄扉を作っていました。
これって、戦争に加担してるのでしょうか?
話は変わりますが中国がチベットの自治を認めないのは彼の地からレアメタルが産出されるからで、金の他にもタングステンが埋まっているそうです。
タングステンは軍需物資ですが、民需としては主に電球のフィラメントに使われるのだそうで、ですからどこかのTVCMの言う通り、まだ使えるけどエコな電球にみんなが替えたりしたら、人類は、そして地球はどうなってしまうのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 07:53
HOOPさん、結局戦争をやめるしか解決法はないのでしょうね。
それが難しければせめても9条を残しておく。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 07:54
henry66さん、独立国にならなければいけないのですね。このままでは。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 07:59
kaoriseさん、環境問題でもいえることでしょう。
今の大不況こそ低炭素社会実現のチャンス、なのに豊かさがなくなると大騒ぎになる。
相応に貧しさや不便さを受け入れる覚悟が必要だと思います。
生存権が脅かされている人のセーフテイネットは拡充補強しなければなりませんが。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 08:04
orangepekoさん、戦争はもっとも人間をモノ扱いするのではないでしょうか。消耗品扱いを。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 08:08
sweetmitsukiさん、本書の中では基地労働者が戦争に加担しているつもりはないという場面がでてきます。
著者はそんなことはないと否定しますが。
実際のところわれわれの税金で米軍の基地や活動の費用のかなりが賄われているのですから、日本人のほとんどがイラク戦争に加担しているといえるのでしょう。
Commented by tona at 2008-12-20 08:27 x
>武力を使わなくても、平和をつくることは難しい。
難しいけれども日本はこの道を模索していくべきで、歴史から与えられたミッションという。具体的にはどんなことかは探れませんが、イラク派遣やアフリカ救援など、アメリカと違ったあり方の日本を言うのでしょうか。役所や研究所の頭脳集団が日夜勉強をしているのでしょうが、政治には反映されないような感じです。

Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 08:56
tonaさん、環境問題加えてこの大不況は戦争について、アメリカ追随について、根本的に検討し直すチャンスかもしれません。
そのためには私も貧しさとか不便さを甘受しなければならないと思います。
Commented by takoome at 2008-12-20 09:03
サワディ〜カ〜
だいたいインフルエンザだってそんな所だろうよ・・・・・
Commented by 高麗山 at 2008-12-20 10:51 x
>武力を使っても(使わなくても)平和をつくることは、とても難しい。

無知と貧困と民族の壁、それらを取り除くべき“神”を信ずる者同士の係争。
空念仏でも、60年余に亘って守り続けた、第9条の存在は一つの歴史となりつつある!
Commented by convenientF at 2008-12-20 11:06
高精度ミサイルの光学部分を始め、ハイテク武器は日本製部品の塊りですよね。
「オマエたちはそれで食ってるんじゃないか」と言われたら「スミマセン」!
Commented by antsuan at 2008-12-20 12:09
民族自決のための戦争をも否定する平和主義者は、拉致被害者を生け贄だと思っているんでしょうね。自然の生態系のように、強い者も弱い者も共存出来る社会を築くためには、防衛力を否定するべきではないし、そのための武器の製造も容認するべきだと思います。蜂だって針を持っているんですから。
憲法九条を裏から読むと、"紛争を解決する気の無い、武力の行使は許される"訳で、その解釈が独り歩きしているのが、今の現状ではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 22:12
takoomeさん、どんなところ?
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 22:16
高麗山さん、空念仏と云えば生存権も無罪推定も男女同権も公僕の全体への奉仕者も、、同じように現実と理念のギャップはあります。
それならそういうことも現実に合わせた憲法改定をするのでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 22:19
convenientFさん、謝る必要があるのかどうか、誰にどういう立場で謝るのか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-20 22:23
antsuan、ちょっと"紛争を解決する気の無い、武力の行使は許される"とか「強い者も弱い者も共存出来る社会を築くための防衛力」などの言葉の意味がわかりかねます。
Commented by takoome at 2008-12-20 23:43
誰かが作ってばらまいているのさ,
Commented by convenientF at 2008-12-21 05:08
>誰にどういう立場で謝るのか。

とりあえず「スミマセン、ゴメンナサイ」でその場を逃れるだけですよ。

ゼニに加えて基地の用地、要員、娯楽機関8ハッキリ言うと性サービス)まで提供していて弁解の余地はないでしょう。

誰に^^?????????????????
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-21 08:30
takoomeさん、ああ、わかりました。
予防注射が効くといいんだけど、戦争は予防注射ってないですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-21 08:34
convenientFさん、アメリカの富裕層ないし権力階級の連中には感謝されるのでしょうね。
日米とも金持ちは金で済まして手を実際に汚すのは”労働者諸君”だ。
Commented by kaorise at 2008-12-21 17:08
>不便さを受け入れる覚悟

そうですよね、私もそう思います。
不便でも環境を思えば我慢できるし、手間をかけることをいとわない、
自分の分が少なくなっても困っている人とわかちあう、
工夫して生きる心がこれからの時代とても大切だと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-21 17:50
kaoriseさん、自分一人くらいと考えると決心もくじけそうになりますが、良く考えるともう少し縮んで生きる方が健康にもいいのかもしれません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2008-12-19 22:39 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(26)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30