サブプライム問題の意味 水野和夫「金融大崩壊 “アメリカ金融帝国”の終焉」

16世紀に誕生した資本主義では、はじめ資本と国家と国民が三者に利害が一致していた。
それがべトナム戦争の頃から市場を思うように拡大できなくなって労働者への分配率を切り下げるようになった。
福祉国家・「大きな政府」の終焉に代わって新自由主義、「努力すれば報われる」=自己責任の考え方が猛威をふるう。
日本では小泉・竹中だ。

サブプライム問題の意味 水野和夫「金融大崩壊 “アメリカ金融帝国”の終焉」_e0016828_22262260.jpg

サブプライムローン=”強奪的融資”とは?
富裕層に住宅ローンを貸しまくって、とうとう本来は到底借金などできない低所得層にまで甘言で金を貸して莫大な利益を貪る資本の強欲。
年収の50パーセントを超える借金を背負っても住宅の値段が上がり続けていれば問題は顕在化しなかった。

まるで引いたババをすぐ次の人に押しつけるようにサブプライムローンを証券化してさらに細分化して他の証券の中に紛れ込ませる。
狂牛病の肉骨粉のようにどこにどれだけ入っているかが分からない。
「知らないのは買う人」であって、商品化した連中はちゃ~ンと知っていて、さっさと売り抜ける。
当然の帰結として破局が来ることはわかっていたのにグリーンスパン・FRB議長はストップをかけなかった。
それは、すでに経済、そして彼も新自由主義と結びついていたからだ。
金融経済が実物経済よりはるかに大きくなり、資本の力が強くなると、資本を持っている人はもっと利潤を増やしたいと考え、資本家と国民の間の考えが一致しなくなっていたからストップをかけても効果がなかったのだ。
グリーンスパンは
バブルを止めなかったからこそ、投資家たちからは神様に祭り上げられた、資本家と踊ったから資本の神様だったということなのです。
結局、資本が国家と国民を裏切ったのです。
サブプライムローン問題は、18世紀末のフランス革命を経て成熟してきた、資本と国家と国民の三位一体の関係を断ち切ることで、今までの資本主義の終りを象徴する出来事だったのです。そして、それは中産階級の「夢」の消滅であり、「中産階級」の消滅でもあるのです。
この間、日本は竹中の間違った政策によってマネーサプライを増すためにゼロ金利政策をとり続けてグローバル化した世界の投資家たちの資金調達を助け続けて傷を大きくしている。
筆者は、この失政を“オウンゴール”、自分が不況から脱出しようと蹴りだしたボールが敵に得点を与える結果になった、といっている。

どうせ新自由主義政策をとるなら金融資産を増やすことを考えるべきだった。
もし、日本が金融資産を増やしていれば、それはアジアの国々に向かってそれらの国を豊かにしていたはずだ。
それこそ、日本も豊かになる道だった。

サブプライム問題の意味 水野和夫「金融大崩壊 “アメリカ金融帝国”の終焉」_e0016828_22312434.jpg
(等々力渓谷)

が、すべては終わった。今は手遅れだ。
”アメリカ投資銀行株式会社”が破産したことは“日本輸出株式会社”にとっても破産の危機を迎えたことになる。

無極化した”新しい資本主義のステージ”がどのようなものになるのか。
日本は冷静に自らのあるべき姿を自分の力で考え(アメリカ追随ではなく)大胆に政策を切り替えていかなければならない。
当然、新自由主義などとは決別すべきだ。
著者が上げるのは次の諸点である。

サブプライム問題の意味 水野和夫「金融大崩壊 “アメリカ金融帝国”の終焉」_e0016828_2234920.jpg

金融経済ではなく、実質経済の成長を重要視して、一人当たりGDPが上がっていく新興国の中産階級を相手の商売をする。
失政により日本は欧米に比べてハンデイを背負っているから技術力を生かすなどの知恵を働かさなければならない。

そのためにも、緊急対策としてではなく、毎年の本予算で継続的に中小企業対策を行う必要がある。
新興国の中産階級の増加と何らかの形でリンクした中小企業を育てるということが必須だ。
人的支援、公的金融機関の創設、海外進出への支援、、。

政府は、人びとの将来に対する不安を取り除くこと。
年金制度改革、社会保障、教育に集中すべきだ。

新興国向け製品の規格作り。
自由貿易協定を多くの国と締結する。
中国と韓国との間に早急に協働関係を構築する。
円高政策をとり原油・食料価格を抑える。
同時に食料自給率を上げる取り組みを早める。
輸出価格を引き上げるための産業構造の転換への早急な取り組み。

ロバート・B・ライシュ「暴走する資本主義」に書かれていた資本主義の暴走は思ったよりも早く行きつくところにいき着いて機関車は脱線してしまった。
”100年に一度の危機”(グリーンスパン)に遭遇したのは俺なんかの関わりのない何処かの悪い奴のせいだと身の不運をかこっていてもしょうがない。
上のライシュの本でも消費者自身が資本主義の暴走を促している側面が説明されていた。

サブプライム問題の意味 水野和夫「金融大崩壊 “アメリカ金融帝国”の終焉」_e0016828_22371090.jpg
(北沢には地蔵さまが多い)

で、どうしたらいいか。
好い知恵は浮かびそうもない。
自分の生き方のスタンスをキチンとして残された命を生きていくとしか言いようがないんだなあ。
出来るかなあ。

NHK出版 生活人白書
Tracked from el pajaro at 2008-12-13 04:56
タイトル : お気に入り  
今日も「集中誕生日」です。 昭和12年12月12日生まれの皆さんが71歳になりました。 この後、誕生日の「年」「月」「日」が同じ数字になるのは「平成2年2月2日」ですが、ほとんどが病院生まれでしょうから「集中誕生日」にはなっていないでしょうね。 なんだか寂しいなぁ。 世の中、バカバカしいこともなくっちゃ。 の後で流行ったのがこの歌。 私がステージで歌うときはこの「エノケン」バージョンの歌詞を使います。 こんなのもあります。 コレハご存じかな? ...... more
Commented by きとら at 2008-12-12 23:32 x
 新自由主義が駄目なら社会民主主義で・・。
 
 民主党と社民党の良心的部分が集まって、良心的経済学者政治学者が集まってシンクタンクを作って、何とかなりませんかねぇ。
 
 あの人たち、頭脳で飯食っているんでしょ。
Commented by antsuan at 2008-12-12 23:33
資本を独り歩きさせたアメリカの罪は重いですね。歴史の浅い国でしか出来なかった芸当ではないでしょうか。
我が国の場合は、官僚に牛耳られた特別会計の二百兆円を一般会計に引き戻し、年金制度改革、社会保障、教育に集中すればいいだけの話です。心配いらないと思います。円高がそれを証明しています。
小泉さんは国際的新自由主義をぶっ潰すためにブッシュを踊らせたのでしょう。国内の新自由主義をあらためたところで、本家本元を潰さねば変わらないと見ていた大戦略家です。
Commented by henry66 at 2008-12-13 05:21
以前の職場でも低所得層(介護士等)はコロリと騙されていました。ささやかな抵抗を試みて、「こんな甘い話は絶対におかしい!」と口を酸っぱくして言ってやったのですが、ダメでした。言いたくないけど、騙される方も変です。だって、どこの間抜けが見ても常識はずれなローンでしたよ! 当時は住宅ローン勧誘の広告チラシが郵便箱に毎日溢れていました。今ではそういった広告の配達がなくなった為、郵便局では従業員を減らす羽目になっているそうです。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-13 09:13
きとら さん、ほんとに根っこから新しく権力のあり方も構築し直さないと小手先ではどうにもならないような気がします。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-13 09:15
antsuan、日本はそんなに立派なものではないでしょう。
グローバル化していますから、日本だけ無事というわけにはいかないし、アメリカ一辺倒から独自の生き方をするには相当な覚悟を国民もしなければならないのではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-13 09:39
henry66さん、低所得層の悲劇、そういう甘言に乗りたくなる心理・状況ですね。
でも日本の中間層や奥様方も銀行や証券会社の甘言に乗って痛い思いをしています。そうなってから考えるとサブプライムローンと変わらないインチキ投資です。
資本が国民を裏切る、これは日本でも同じ。
今、真っ先に弱い労働者がしわ寄せを受けて年の瀬をどう暮らしていいか、途方にくれています。
新しい境地に飛び込まれるとのこと、どうかお元気で!
Commented by 旭のキューです。 at 2008-12-13 10:20 x
今朝の新聞で読んだんですが、アメリカのビッグ3支援法案廃案となっていました。大変なことになるんじゃないかと予想がします。
Commented by convenientF at 2008-12-13 11:03
昨日はアメリカの議会をずっと見ていました。
70年以上生きているといろいろな出来事を目撃できますねぇ。
ありがたいことです。

>でも日本の中間層や奥様方も銀行や証券会社の甘言に乗って痛い思いをしています。

エライ大臣様が「貯金するのは非国民。投資が義務」などと仰るから40年も働いて手にした退職金をパーにするヒトも出てきますよ。
先祖代々、庄屋様だった郵便局に言われる通りに暮らしてきた日本人も沢山います。

>自分の生き方のスタンスをキチンとして残された命を生きていくとしか言いようがないんだなあ。

ないんですねぇ.....
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-13 13:11
旭のキューです。さん、大変なことに、日本もなると思います。
相当に大変、おそらく想像以上でしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2008-12-13 13:12
convenientFさん、できるかなあ、が実感です。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2008-12-12 22:51 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback(1) | Comments(10)

ホン、映画・寄席・芝居、食べ物、旅、悲憤慷慨、よしなしごと・・


by saheizi-inokori