小三治さん 体を大事にね NHKTV「プロフェッショナル 仕事の流儀」

コンさんのコメントで教えていただいて観た。
ブログ論壇じゃなくて「ブログ趣味の輪」、嬉しいね。

師匠の小さんに「お前の噺は面白くない」とにべもなく云われて
じゃあ、面白いってどういうことか?
と悩みに悩む。
志ん生の言葉
面白くしようと思ったら面白くしようとしないことだ
人づてに聴いて豁然として悟った。
創ってもこんないい話は出来ない。
11日の記事に「志ん生の一言ひとことに反応する寄席の雰囲気が、小三治を聴く幸福感とそっくりだった」と書いたんだもの

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(雑司が谷・鬼子母神、明日から百万灯・御会式、テキヤたちが地割をしたり忙しそう)

あんなに大量の薬を飲んでリューマチの激痛を鎮め、今でも
「満員のお客様に喜んでもらおうとする俺」と「知ったことはない、俺は俺のやりたいようにやると云う俺」が一致しないんだなあ
と苦しんでいる。

しまった!こういうところを知ってしまうと今度から小三治の高座を聴くときに天然自然に笑っていられなくなるじゃないか。
と思ったが、、、。

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(お坊さんたちも忙しい。落っこちないようにネ)

落語は噺家の人柄が全部出る。
病気で苦しんでいるところも芸の悩みも全部あってその噺家の芸になる。
そんな覚悟を聴いて
そうか、そうだろう。
じゃあ、俺は小三治のまるごとそのマンマを味わい尽くしてやろうじゃないか
と思いなおす。

お客様が喜んでくださるのが励みで、もし落語をやってなかったら
ただ、闘病生活を送っていたんだろうな
そうだとも、小三治さん。

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(地割り)

8月猛暑の中、池袋演芸場の上席を戦い抜く姿。
俺は去年ここでそれー「あくび指南」を聴いた。
客席で笑うお客たちの顔がなんともいえない。
この世の”善い人”ばかり選りすぐって来たみたいだ。
俺もこんな顔をしていたのかと思ったら嬉しくなった。
人間の本性には笑いがある。
邪魔なものをそぎ落として素直になっていれば自然に笑いたくなる。
もう、そうなったら何を云っても可笑しくておかしくてしょうがないんです。
先日の「粗忽長屋」のときもそうだった。
会場に笑いキノコを振りまいたような状態になった。
しかも、その笑いが人工的な化学調味料で味付けされた笑いや毒を持った笑いではなく、まるであくびでも出るように体の奥底から湧いて出るような自然な快い笑いなのだ。
優越感をくすぐる嘲りの笑いではなく、思わず隣りにいる他人と肩を叩きあいたくなるような笑い。

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(大塚・岩舟、新蕎麦が出た)

そういう笑いを届けてくれる当人は
真面目で、他人に好かれるうような人柄じゃないってことは自分が一番良く知っている。
そして、そういう所を悪くないと思っている自分を俺は好きになれない。
と言う。
でも扇橋師匠がいるじゃないか
プロフェッショナルの一流の人たちを観ると凄いと思う。
しかし、本人たちに訊いてみたらプロとしてなんて考えていないだろう。
ただ目の前の今のことで夢中なんだと思う。それがプロなんじゃないかな。
締めの言葉、至言だ。

リンクした記事を見ると、そっちにも蕎麦や鬼子母神の写真がある。
おんなじ行動半径なんだなあ。
Commented by HOOP at 2008-10-15 22:36
実は観てました。
もちろん、録画もしてしまいました。
昔の姿しか知らなかったので、
最初はびっくりしましたが、いい番組でしたね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-15 22:39
HOOPさん、でしょ?
なんて自分のことのようにエバッテどうする。
Commented by ginsuisen at 2008-10-15 22:42
脳の先生が困ったような顔をしていたのを、おもしろそうにしていた小三治さんの顔がよかったですね。でも大変な病気を背負っておられるとは知りませんでした。ハチアズレの効果のほど納得しました。それとお茶の理由も。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-15 22:48
ginsuisenさん、茂木さんはちょっと出来が良くなかった。いつもあんな?落語をあまり知らないんじゃないかと、、。
Commented by ginsuisen at 2008-10-15 23:19
ハイ、私もそう思いました。あのアナウンサーも、とても初歩的なことに笑っていましたですね。それでも小三治さんが丁寧に教えていらして、申し訳なかったです。あのあたりが非常にNHK的だなと思いました。脳の先生はアノ番組に出るにあたりあまり下調査はしないようです。そこがある意味、いいのでしょうが。あまりにあまりでしたね。
Commented by rinrin at 2008-10-15 23:51 x
私も、ビールをと呑みながら見たわ
で、saheiziさんが観客にいないかしら?と知らない顔を捜しました
(笑)
Commented by コン at 2008-10-16 00:05 x
昨夜ご覧になられたのですね。よかった!かくいうワタシんちには
TVがないので(笑)、今度帰省したときにゆっくりみるつもりです。

>落語は噺家の人柄が全部出る。
>病気で苦しんでいるところも芸の悩みも全部あってその噺家の芸になる。

そうだなあと思います。その人物の了見になれ、芸よりも人間を磨け、いずれも柳家ゴッドファザー、五代目小さん師匠の有名な教えですけど、噺にはその噺家自身しかほんとは現れていないとワタシは思っています。登場人物のきもちも、それぞれの関係性も、そこに向けられるのは噺家の目なので。あの世界観が最高に素敵です。
ただ反響がものすごくて。寄席に新たな人々が詰め掛けるのかと思うと、一体どれだけ並ぶことになるんだろう!と少なからずどきどきしております。はい。
Commented by gakis-room at 2008-10-16 05:52
とりあえず,録画はしました。皆さんのコメントを道案内に今晩にでも観ようと思っています。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 06:46
ginsuisenさん、小三治の話に受けて笑うのもややオーバー?
せめて高座くらいは聴いていたんでしょうね、どちらかは。
蕎麦を食うところなんかは録画ヲ使うべきでインタビュー中にやらせるのは失礼だと思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 06:46
rinrin さん、私も探しました。
いなかったなあ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 06:49
コン さん、そうだったんですか!
ぜひぜひ、って今度は私が勧めたりして^^。
先日の上野は割と見やすかったんですがね、小三治ファンが増えると嬉しいようなちょっと困るような、、。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 06:50
gakis-roomさん、飲み過ぎないように、月もまだまだ美しいでしょう。
Commented by lotus at 2008-10-16 09:10 x
私もこのブログでテレビの事を知り、見逃さずにすみました。というのは、あの茂木さんのインタビューが全然おもしろくなくて、「プロフェッショナル」この頃無視しているのです。ほんとうにそばの食べ方をリクエストするなんて、失礼で私は怒りました。茂木氏のインタビューには頭の良さも、意外なつっこみも感じられない。いつも(今まで何度か見たうち)つまらないです。イチローが出演した時、こてんぱんにやっつけていたのが気持ちよかった!
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 10:08
lotusさん、同じ考えの人がいて嬉しいです^^。
「クオリア」のことを書いた本は(小林秀雄賞)面白かったけれど、実社会経験がないのが暴露されたような気もします。
女性アナも受けすぎで不自然でした。
笑えばいいと言うものじゃないというのが落語だってことが分かってないです。
それにもかかわらず小三治の彼らを見る顔も良かった。怒るかと思ったのにやさしい笑顔でほっとしました。
Commented by イネ at 2008-10-16 10:25 x
どこかのホールに着いたとき、支度をする前に音階を試していた小三治さん、素敵なバリトンでしたね。
発声を先生についてやっていらっしゃるのかと、ふと思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 10:38
イネさん、音楽学校で本気で勉強したそうですよ。
何年か前に独演会の最初から最後までタキシードでクラシックを歌ったことがあるそうです。
見に行った人は洒落ですぐに落語になるかと思ったのに最後まで歌曲を真面目にやった由、あっけに取られたといってました。
その頃、悩んでいたのかもしれませんね。
Commented by maru at 2008-10-16 12:40 x
あの番組は小三治さんと茂木さんの人間の「格」の違いがハッキリ出てしまいましたね。まあ本物の名人とお勉強の人との違いは埋めがたく…あの番組を見て、一度も寄席にいったことのないロック好きの二十歳の長男が、「この人は格好いい」としきりに感心していました。伝わるもんなんですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 13:20
maru さん、その息子さんは見所がありますね。
頼もしいですよ^^。
Commented by イネ at 2008-10-16 17:38 x
なるほど。音楽がお好きなんだろうとは思いましたが。
独唱会をなさっちゃったわけですね。ますます小三治さんが好きになりました。
Commented by 旭のキューです。 at 2008-10-16 20:37 x
プロなんて考えていない。ただ目の前で今のことが夢中なんだと言う言葉が決まりましたね。自分自身グッときました。
Commented by gakis-room at 2008-10-16 21:14
見ました。面白くも何ともない番組でした。人間とはナンだろうかと考えたこともない,つまりは薄っぺらな質問と,濃い答え。哀しすぎる行き違いです。
番組の冒頭で,「脳を弁護していますね」との小三治のこの一言で脳学者と女の人(アナウンサーでしょうか)の薄っぺらさを感じました。ディレクターの問題かも知知れないなと思いました。。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 22:38
旭のキューです。さん、あなたも私からみたら凄いプロですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-16 22:39
gakis-roomさん、時間の無駄でしたか。
それほどでもないかと、、シュン^^。
Commented by 夢八 at 2008-10-21 11:03 x
佐平次さん、岩舟は同じ頃に行ったようですね。一日違いくらいかな。
鴨か天ぷらか散々迷って、ビールのつまみに天ぷらを頂いて
蕎麦はこのところ美味くなってましたけど、新そばになって
こしの具合がよくなってました。

どんどん上手になって客を喜ばせてほしいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-21 12:15
夢八さん、今日はどちらに行くのですか。
私も蕎麦にしようかな。
Commented by bs2005 at 2008-10-22 00:31
昨日、こちらで見ました。若い頃のどことなくひょうきんな、とぼけた感じが好きな落語家でしたが、ずいぶん長い間見ませんでした。とても良い雰囲気になっていましたね。いいな~と素直に思いました。

生で、善人ばかりに囲まれて彼の落語を聞ける佐平次さんが羨ましいです♪
Commented by saheizi-inokori at 2008-10-22 07:13
bs2005さん、東京は嫌なことが多いからせめてこういうところは活用させてもらいます^^。
善人ばかり?
落語を聴いている人たちはそうなってしまうのですね。
ただ本人が一番問題です。
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by saheizi-inokori | 2008-10-15 20:26 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(27)

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