環境にやさしいトヨタだと? DVD「誰が電気自動車を殺したか」

電気自動車にどんなイメージを持っていますか?
「実験的に作られたけれどいろいろ難点があって普及に至らなかった」
こんな感じを漠然と抱いていた。
どうも事実は違うようだ。
加速も航続距離もコストも保守も、、まして環境には絶対やさしいスグレタ車だった。
それなのにあえなく葬り去られたのには関係業界の陰謀があった。

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1996年にGMが発売した「EVI」は画期的な電気自動車としてトム・ハンクスやメル・ギブソンなどセレブから一般市民にいたるまで人気を博して好調な売れ行き5000名を超える納車待ちのリストがあったくらい。
カリフオルニア州もガス排出量の少ない車(電気自動車)を一定割合生産することをメーカーに義務付けるなどやる気満々だった。

ホンダ、トヨタ、フォード、、他の自動車メーカーもおずおずと電気自動車を売り出すが本音は「規制反対」だった。
内燃機関のない車って部品の販売や整備で食っている傘下の会社の食い上げになる。
電気自動車は薄利だとの思い込みもあった。
及び腰のキャンペーン(マイナス面の説明に重点をおいた)のせいもあって消費者の理解も広がらない。
せっかく改良された電池が開発されても使おうとしない。
それどころかその電池会社の株を石油会社が買い取って改良電池をつぶしてしまう。
やっぱりアメリカ人は大きな力のある車じゃなくっちゃ、と大々的に売り出したのが戦車のような大型車「ハマー」だ。
こうなると「EV1」は内部にあって競合・障害物となる。

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石油会社は?それは当然、猛烈な反撃、なりふり構わない。
政治家に圧力をかける。
広告会社を買い取って世論操作を行う。
レーガンは太陽熱の集電装置を撤去させる。
規制緩和とは石油会社や自動車業界にやりたい放題を認めることなのだ。
既存の巨大資本優遇なのだ。
ブッシュ政権のチエイニー、ライス、カード、、みんな前身は石油会社や自動車メーカーの大立者ばっかり。
電気自動車より水素燃料電池の方がいいと決める。
ブッシュが水素燃料車のデモンストレーションで実に馬鹿げたやりとりをしている映像をみるとこれが俺の住む世界の出来事かと情けなくなる。
カリフオルニア州も規制緩和に方向転換をする。
それを決定する委員会の長が水素燃料電池の会社出身という、お粗末極まりない茶番。
10年足らずで実用化されると喧伝され莫大な開発援助や補助金が投入された水素自動車、あれから10年以上経って、30年先でも心許ないって誰が責任を取るのだ?

政府は超大型車の購入に対して巨額の税免除を行なう。
レーガンの大型減税で浮いた金が石油がぶ飲みの大型車購入資金になる。

電気自動車「EV1」はリース契約で販売されていたからGMが契約解除してしまえばいくら乗り続けたくとも返さなければならない。窃盗罪だぞ。
出回っていた「EV1」は全て回収される。
新車同然の車が集められスクラップにされる。
トヨタの関連施設でも車が裁断される。
もうもうたる煙や埃をあげて。
トヨタは環境にやさしい企業じゃなかったのか
回収された「EV1」を追跡していたEV1廃車反対運動のメンバーが驚く。

アメリカではどのように物事が決まっていくかが分かったと嘆く市民たち。
草の根、市民の中に反対運動が起きる。
ゴリアテに対する小さなダビデたち。
当面はGMと石油資本の勝利に終わったかのようだが本当の勝負はこれからだ。

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(マムシグサ)

クリス・ペイン監督のドキュメンタリー映画。
関係者の証言を主体に驚くべき・呆れたアメリカの実態が暴かれる。

「まだ使えてもエコの車に買い替えよう」というトヨタのコマーシャルを思い出した。
他人事じゃない。
Commented by たま at 2008-09-23 00:08 x
マムシグサ(蝮草)。
ホントは、その毒々しい果実の様をいうのではなくて、春先に若芽を伸ばしたときの茎の模様がまさに「マムシ」の表皮の模様なのです。ずいぶん前に栃木の山奥の路傍から「盗掘」した我が家のそれもしっかり健在なれど、九州の「両子寺」(ふたごじ:国東半島中央に位置する両子山の山寺)の参道から移植した、同属の「ウラシマソウ」(浦島草:釣り糸を垂れるように苞から長く伸びる1本のヒゲが特徴)は、残念ながら「浦島の玉手箱」でした。
Commented by 高麗山 at 2008-09-23 00:44 x
電気自動車は…

①持続性がない。
②バッテリー重量が大で熱効率が悪い。
大きくこの2点を聞かされてきて、信用していたのですが。。。
最近の、ハイブリッドカーを見て多少の疑問は持ち続けていましたが。。。
Commented by 74mimi at 2008-09-23 05:59
電気自動車のことに詳しくありませんので分かりませんが・・・
ここの高速を走るにはある程度の大きさ(車)がないと怖いです。
4か5車線を65マイルの速度で走りますから。
制限速度を守らないでビュンビュン飛ばしている車もあり
「CHPーカリフォルニア・ハイウェー・パトロールは何しているの」と思うことも。ハマーや大きなUVは必要ありませんが。
現在一番多く見られるのはハイブリッド車、日本車が殆どです。

Commented by sweetmitsuki at 2008-09-23 06:45
以前にも申し上げましたが、GMやトヨタが開発を進めている燃料電池車は電極部分に1台あたり400~500gのプラチナを使うので、地上にあるプラチナをすべて使い果たしたとしても現在流通している自動車の2割程度の燃料電池車しか生産する事が出来ません。
燃料電池車は未来の車には成り得ないのです。
ヤマハが開発した排気ガスゼロの電動バイク、Passol-Lもバッテリーに不具合が見つかって生産中止になってしまいましたが、ヤマハは今後もEV事業は引き続き開発を進めていくそうで、期待してます。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 07:08
たま さん、この実が蝮草と云うのは最近知ったのです。確かにあのすっと立った姿はどきっとします。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 07:11
高麗山さん、私もそんな感じでいました。
この映画によれば克服されているようです。
当初は航続距離が100キロ~200キロと云うこと、充電に時間がかかることなどが問題視されたのですが、それとても通勤用とか買い物用のセカンドカーとしたら問題なしと云う声が強く人気もあったといいます。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 07:14
74mimiさん、このEV1はご覧になりましたか?
映画で見る限りではプリウスなどと遜色がないようにみえます。
トム・ハンクスがスピードが出すぎるから違反しそうだと笑っています。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 07:17
sweetmitsukiさん、そうですよね。
燃料電池の開発で生活している人(役人や政治家を含め)、電気自動車に引導を渡すという政治的な目的のためにいまだに開発が続けられているのではないでしょうか。
Commented by 旭のキューです。 at 2008-09-23 08:49 x
石油業界がある以上電気自動車は無理なんですね。話は変わりますが、親父殿農業引退宣言をされてしまいました。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 09:11
旭のキューです。さん、ここまでエネルギー問題が大きくなると変化はあると思いますよ。
原油高もあるし。
お父さんの後を継ぐのですか?
Commented by takoome at 2008-09-23 10:52
私はバンコクへ来て車を捨てました。この国に居るとそんな気分になりますよ、
Commented by namiheiii at 2008-09-23 10:59
「まだ使えてもエコの車に買い替えよう」というトヨタのコマーシャル!
本当ですか?まだ使えるクルマをつぶすのにどれだけのエネルギーが必要なのでしょうね。トヨタ信奉も怪しくなりました。

EV1は知りませんでした。日本でも三菱が近く電気自動車を市販すると聞きました。でも電気も多くは化石エネルギーで作られるのでしょう?原発も問題あるし電気は足りるのかなあ?
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 11:38
takoomeさん、自転車?
あの渋滞は凄かった思い出があります。
高架鉄道が高かったです。
黒い虫を街角で買って高架鉄道のホームで食べていたらタイの人に気味悪がられたことが懐かしい。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 11:41
namiheiiiさん、映画によれば電気自動車に対する反論の最初は電気も石油で作る、でしたが、効率はガソリンよりいいとのことでした。
たしかに原発推進派の動きはあるのでしょうね。
Commented by sakura at 2008-09-23 13:19 x
二十歳の頃ご近所の方(繊維関係の会社の社長)がフオルクスワーゲンの電気自動車に乗っておられご一緒に遠出をした時 坂がなかなか登れなくてやっとのことで登った記憶があります。
後期高齢者の想い出話し・・そりゃ~ものすごい昔の話ですからねぇ~
電気自動車について初めて色々詳しく知りました。
Commented by mimi at 2008-09-23 14:43 x
うちでは観たいDVD(貸し出し)をネットで注文して送ってもらいます。今このDVDがあるかしら・・・と調べてみましたらありました。
"Who killed the electric car ?"ですよね。
EV1のドライバーにメル・ギブソンの名がありましたが・・・
DVDのくるのが楽しみで~す。

Commented by 旭のキューです。 at 2008-09-23 14:50 x
55歳で農業と言うことも考えました。先輩で農家やっている方がいまして、親父についてもらって2年で覚えられるということです。が
今の気持ちは、やはり副業だったらと考えています。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 15:24
sakura さん、ここで描かれているよりずっと前に一度電気自動車の時期があったそうですね。
その頃は贅沢なものだったのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 15:25
mimi さん、英語版の方が安かったのですが、私には、、。私もアマゾンです。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 15:27
旭のキューです。さん、専業は大変ですよね。
やれる範囲でやったらいいですが両立も大変?ゴルフ減らす^^?
Commented by ume at 2008-09-23 18:32 x
「マムシグサ」、マムシの頭にそっくり。「模様が5円玉に似ている。」は子供のころに教えられたマムシの特徴でした。こんなもの、佐平治さんはいったいどこで撮ったのでしょうか?
ブログ、ボチボチ再開しようと思っています。今日のところは「生存証明」だけですが・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-23 19:39
ume さん!毎日のように覗いていましたよ。
再開おめでとう!
蝮草は岩手の達谷窟毘沙門堂です。
小渕沢とかよく見かけますよ。
Commented by freitag at 2008-09-24 00:20 x
面白そうですね。最近この手の話も既視感が強いのですが、それで厭世的になってはいかんのでしょうね。「純粋に優れた技術が経済界の都合で葬り去られる」ことをテーマにしたシオドア・スタージョンの掌編「時間のかかる彫刻 (Slow Sculpture)」を思い出しました。

愛車はカローラですがトヨタには何も期待していません… と言うかこの頃ホントに自動車なんか捨てたい! と叫んでみても現実には踏み出せないんですよね。電気自動車にはどっこいこれから逆転があるんじゃないかという期待も捨てきれず。

しばらくブログめぐりから遠ざかっていたので、saheiziさんのエントリに追いつけていません(更新多すぎです!)が、がんばってこれからも時々コメントさせていただきますね。不尽。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-24 07:17
freitagさん、お久しぶりです。
又新しい本を紹介ありがとう。
「暴走する資本主義」(ロバート・B・ライシュ)を読み始めました。
厭世的になりつつありますが、、。
Commented by MAKIAND at 2008-09-24 09:50
そうだったのですか。そういえば、電気自動車の話が出なくなったと思ってました。
Commented by saheizi-inokori at 2008-09-24 12:17
MAKIANDさん、物ごとには裏表があるからこの映画で明らかにされていない事情もあるのでしょうね。
しかし、きっともう一度電気自動車に陽が当たるような気もします。
背に腹は替えられないですもの。
Commented at 2008-12-23 11:23 x
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by saheizi-inokori | 2008-09-22 22:05 | 映画 | Trackback | Comments(27)

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