暗闇の密室で起きたこと、明るい外で起きたこと 古処誠二「フラグメント」(新潮文庫)
2008年 09月 17日
どいつもこいつも自分の頭の悪さに気づかないゆえ人を見下せる連中だった。ひとりでは満足に歩けないことにさえ気づいていない。群れる理由がそこにあることも自覚していない。不良番長とその取り巻き連中のことを、こう思った高校生は死体で発見される。
端的に言えば能無しであり、放し飼いにされている犬だった。
自殺の名所、断崖で。
自殺か事故か、他殺か。警察は事故説。
親友は”犬たち”(同級生)を疑う。
犬たちは婦女暴行をしてそれを死んだ友が目撃して?、、。
犬のボスと子分、親友とガールフレンド、それに死んだ友のガールフレンド、”事なかれ主義の”先生、6人が乗った車がマンションの地下駐車場に閉じ込められる。
みんなで死んだ生徒の葬式に行こうとした時に東海大震災が起きたのだ。
警察と云う存在が邪魔をしなければ、とっくに殺されていても不思議はないような犬たち。
暴力、かつあげ、悪事のデパートでも学校は事なかれ。
事情聴取されると生徒たちは口をつぐむ。
蛇のように悪い犬たちとその親なのだ。
ガスライターの明かりしか頼りに出来ない暗闇(密室)の中でまず犬のボスが死ぬ。
他殺なのか、ならば誰がどのようにして殺すことが出来たのか?
救助の見込みも定かではない、ペットボトル一本の水しかない。
外であった殺人(?)と中で起きた殺人(?)の関係は?
閉じられた限界状況でかえって人が自分の生地を露わにする。
6人の集団はどのように統率されるのか。
窮屈な地下駐車場の外にある社会の方が閉塞感が強く感じられる。
犬たちが大手をふるって悪事を行なっても無力な社会。
警察、学校、マスコミ、”善良な”市民社会はむしろ犬たちを飼い続け保護する。
同じ作家が戦争末期の沖縄を舞台に書いた「接近」とはまるで異なる場面設定だが、個人が真実を究めようとすると周囲が一致して妨害するような不条理感はよく似ている。
こっちの方が救いがある。
2000年に「少年たちの密室」として発表され、「インターネットで選ぶ日本ミステリー大賞2001」において国内総合ランキング第1位となった。
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まさに「1粒100メートル」です。
それにつけても、闇の密室に閉じ込められたときにまず心配すること、光、空気、水、そしてタバコの残量とシモの世話かしら・・・?
この花は谷中だったかなあ、どなたかの玄関先にありました。
闇の密室、ご指摘の通り、光、水、トイレ。
タバコは高校生ですし、とはいえ吸っている子がラーたーをもっていたのでした。
想像するだけで息苦しくなります。