銀でも銅でも予選落ちでも、皆さん立派ですよ

朝日も読売もすべてスポーツ新聞になってしまったから、俺もスポーツ人間になって過ごす。
そういうとちょっと前ならジョギングをしたりジムに行ったりしていたのに、今は、ぐ～たら、テレビのスポーツ番組を見ているスポーツ人間。

成り行きでレスリングも見たが勝っても負けてもあまり爽快な感じがしない。
「素人鰻」という落語をちらっと思いだした。
ぬるぬる、つかみにくい。
銀メダルで悔しがる人、銅で嬉し泣きをする人、見てるこちらまでメダルの価値が上がったり下がったり。


野口さんは無理に出なくて良かった。
マラソンが（も、ですね。）人間の限界に挑むスポーツだということが脱落する選手たちの苦しそうな顔を見ていると今更のようによくわかる。
身体の苦しみはいづれ癒されるが心の傷はなかなか癒せない人も多いことだろう。
土佐さんは外反母趾の痛み止めを飲んで出場したなんて！
神風特攻隊じゃあるまいし、本人がたとえ希望しても止めるのがコーチとか監督の仕事だろう。

全力を尽くして正々堂々と戦うということに意味がある。
それは万全の体調で戦うことも含まれるはずだ。
不幸にして怪我をしたのなら潔く出場を見送る勇気も必要だと思うなァ。
野口さんの欠場でそれが出来にくくなっていたんじゃないか、そうなら尚更役員たちは出場を思いとどまらせるべきだった。
ニッポンのエライさんには玉音放送の後で部下を道連れに出撃した神風、宇垣纒海軍中将のような人もいたけれど。

毎朝、朝日スポーツ新聞の一面にはメダル獲得者の美談がいつも同じパターンで書いてある。
肉弾三勇士？
明日はきっと伊調姉妹涙の奮闘記だね。
俺も彼女たちの奮闘を讃えるのにやぶさかじゃないけれど、あまりの興奮にはいささか鼻白む。

それにしてもアスリートたちは美しい。
これで余計な絶叫アナウンスと長いＣＭがなければどんなにいいか。
疾駆する選手の美しさがテレビと云う媒体の冗長性を際立たせる。
「雪辱をはらす」なんて愉快な言葉をしゃべるアナウンサーもいた。

（釜無渓谷・「たけち温泉」、涼風が日帰り入浴に気持ちいい。太宰治や井伏鱒二などの泊まった宿。太宰が原稿を書いた離れはもうない）

せっかく涼しくなったのに本を読む気にもならず、ぐ～たらザッピングをしていたら、認知症の伴侶と生きる夫婦のドキュメントをやっていて、ついつい見ようとするが、イカンイカン、こんなん見てたらホントに鬱になっちゃう、と切り替えた。



巣鴨地蔵通り・「加瀬政」、馬刺し、ウニ、、海のものが美味しい。
愉快な仲間に恵まれて飲み過ぎた。
どうしてこんなにマジメニ飲むんだろう。
バカ話に興じながら独酌でぐいぐい燗酒があく。
ブレーキ故障というか時を惜しむというか。
俺こそ出場（手ジャク）を見送る勇気（辛抱）が必要だ？
ぐ～たらスポーツ人間でいるのはその後遺症かもしれんのう。

（待宵草、太宰が富士山に似合うといった“月見草”はこの花のことを間違えて云った）