芥川賞、医療費削減の犯人、橋龍の米原万里スキャンダル 文藝春秋9月号
2008年 08月 13日
昨日会社の帰りに買ったばかり、とりあえず芥川賞受賞作品、楊逸(ヤン・イー)の「時が滲(にじ)む朝」を読んだ。
1989年の天安門事件の頃に中国で大学生だった男の青春から壮年までの物語だ。
父親は北京大学時代に文化革命の中で右翼反動分子として下放され息子に夢を託している。
みごと秦都の名門・秦漢大学に合格して親友を得て国家を愛し国の為に役立つ人間になろうと誓い合い、がむしゃらに勉強をする。
寮に入り、見るもの聞くもの珍しい。
テレサ・テンの歌に個人間の愛を歌うなんて不健康な歌だと思いながらも胸をときめかし、毎朝抜け出して英詩を大声で暗誦したり、敬愛する教授を囲んで文学サロンをひらく。
やがてその教授にしたがって民主化運動のデモに参加、天安門にも出かけるのだが、運動は弾圧される。
挫折直後、飲みすぎた老酒のせいで暴力事件を起こし退学。
残留孤児の日本人娘と結婚して日本に渡り東京で中国民主化運動を行なう。
子どもと妻の暮らしを立てるためにコンピューターの勉強もする。
カラオケで歌うのは尾崎豊の「I LOVE YOU」(小説のキーワードはこれだ)。
純粋に中国の民主化のために頑張って運動をしているつもりだったが周りの人々や旧友・元教授のあり方をみると、どうもそう簡単なものではない。
”生活と革命運動”なかなか両立しない。”建前と本音”。
香港返還反対をスローガンにしていたが実際に返還になって喜ぶ中国の報道を見ると静かな感動が否定できない。
シドニーに2000年オリンピックをとられると悔しい?自分がいる。
父より日本語が上手くなった男の子に故郷の定義「生まれる、そして死ぬところです。お父さんやお母さんや兄弟たちのいる、暖かい家ですよ」を教えると「じゃあ、僕のふるさとは日本だね」といわれるのだ。
大きな現代史の流れに翻弄される誠実な男と彼を取り巻く友情や恋愛、中国の片田舎と東京における在日中国人の暮らし、、素材としては面白い。
文章もわざとではないと思うが日本語以前、それがヘタウマとでもいうのか、子ども向きの絵本か漫画のような感じで、かえってグイグイと読んでしまう。
主人公がナイーブ(悪口ではない)だし好感がもてる。
俺の大学に入った頃のことなども思い出してほろりともした。
しかし、ね、芥川賞かね?
どういうのが芥川賞かって聞かれても困るんだけど、正直驚きました。
世の中変われば変わるもんだと。
たとえば、この程度の文章でもいいの?
ほかにチラッと目を通した中に30いくつかで財務省を辞めたキャリアが「医療費削減の戦犯はだれだ」という記事を書いている。
それは竹中とか小泉がアメリカの新自由主義をすべての基準として日本にあてはめようとしたからだ、というんだから別に事新しいニュースでもなんでもない。
医療費の伸びを経済成長の伸びの中に押さえ込もうとするのはおかしい(病気になるのが経済成長の伸びと比例するわけはない)のに結論先ありきで国民の医療のあるべき姿のことなどろくすっぽ議論もしないで強行してしまった。
財務省と小泉・竹中の経済財政諮問会議は本来敵同士なのだが歳出削減という一点においては一致し財務省は諮問会議を上手く使って医療費を無茶苦茶に押さえ込んだ、ということ。
当時彼は財務省から厚労省に出向していて疑問を感じながらも療養病床削減計画づくりの作業に携わった。
俺は憲法第15条第2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」という条文を思い出した。
自分のやっていることが国民のためにならないと知りつつ医療費削減をやった彼とか厚労省の諸君は精神的には憲法違反じゃないのかって。
もう一つ、佐藤優の書いている記事の中で昔米原万里さんが(アァ この記事にいただいたコメントが何と素晴らしい展開だったか!コメントを”ふんどし”と名付けたのはこの記事からだったかもしれない。sakuraasakoさんはどうしていらっしゃるんだろう。俺は最近henryさんがなんとなくasakoさんの面影があるような気がしてならない)橋本龍太郎首相(当時)にロシアのホテルで襲われそうになったことを佐藤に喋ったという。
「酔っ払って(明日の通訳の)仕事の打ち合わせと称して自室に呼び寄せてそういうことをするなんて最低だ。私は男を見る眼があるつもりだが、あの首相でエリツインに勝てるのかと思うと不安だ」というようなことを言ったそうだ。
佐藤がそのことを鈴木沖縄開発庁長官(当時)に話したら鈴木の目が猛禽類のように光り「それは人間性の問題だな。自分中心のところがある人間は、女性に対してそういうことをする」と答えた。
鈴木氏の用語体系の中で、「人間性の問題だ」というのは、とても強い非難の意味をもつ、と佐藤は書いている。
佐藤が、「気になるのはエリツインに勝てるのか」の方だ、と言うと「俺たちが一丸になって、裂帛の気合いで橋本さんに迫って、最後まで突き進むしかない」と答えたという噺。
俺はハシリュウって気持ちの良くない男だと思っていたからありそうな噺だと思うが「死ぬ者貧乏」って言葉、「落語の国からのぞいてみれば」に出ていた言葉、を思い出した。
「梟通信~ホンの戯れ言」で既に言及されているが、『文藝春秋』(9月特別号)に「医療費削減の戦犯は誰だ」という記事がある。1997年に大蔵省に入省したが2006年7月に32歳で財務省を辞めた元キャリア官僚である。「村上正泰」という人だ。 「医療費削減」という政策自体は、「梟通信~ホンの戯れ言」で管理者のsaheizi-inokoriさんがお書きになっているように“別に事新しいニュース”ではないのだが、たとえば療養病床(長期療養の必要な患者が入院するベッド)の6割、23万床の削減によって、主として高齢者...... more
元財務省課長補佐の村上正泰氏が「文芸春秋2008年9月特別号」で「医療費削減の戦犯はだれだ」というタイトルで持論を述べられていた。愉快痛快奇奇怪怪さんが要約されているので引用する。(以下引用) ● ぎ..... more
未だに行けていません。
トホホホ、です。
天安門事件から既に20年近く経ってしまったということに愕然としました。
アサコさん、どんな人なんだろう?
そう言われてみるとうちのコメント欄もふんどしみたいですね。
高麗山さんは夏にはパンツ一枚派なんですって。
佐平次さんは?
相撲は外国人力士に席巻されていますが、日本文学も同じ運命をたどるのでしょうか。この主人公のように複雑な心境になります。
夏は家にいるときはショートパンツのことが多いですよ。
日本文学にもいいものはあるし海外にも素晴らしいものはあります。勝ち負けではないからいいものを、好きなものを読めばいいと思います。ただ芥川賞がね、と思いますが。
先日アップした「ほらふきヤーコプ」も読み終わってから彼女が「凄い本」として取り上げていたことを知りました。
その書評も読みましたが「木」の理解が同じだったのも嬉しかったですよ。
だとすれば、たしか、ドイツ人のフックス氏の名前に因んだ花名だったと思います。
saheiziさんの読後感読んだから、ゆっくり読みます(笑)
なつかしい!sakuraasakoさん、どうしているのでしょう?
このブログ読んでくれていると思いますよ!
コメントくれると嬉しいのにね。
聞いてみます。
asakoさん、ブログ消去してしまったのはさびしいですね。
antsuanさん、
ここでもそれを仰るのですか。
「女を絶つ」に付いては女性のご意見を伺いたいと思います。
そして50年間ゴルフという競技に精進してきた者として「ゴルフを絶つ」のが「尊敬」に値する行為とするご発言は聞き逃すわけに参りません。
是非、明快かつ論理的で納得できるご説明をお願いします。
ご説明次第では訴訟も辞さない覚悟です。
お平らにって標準語ですよね?
酒はうまいし、○○は、きれいだ、、^^。
そうか。
言われてみれば、古希に達してからは「○○は、きれいだ」テナところへは愚息一派に連れて行かれるだけになってますな。
やはり「長い階段」を上りますか?
エッ、「下り」?「下り」もあり、ですか!