うつ病にどう対処したらいいのか 和田秀樹「精神科医が信用できるか」(祥伝社)

今日本にはうつ病の人が400万人くらいいると推定されるそうだ。
急激に増えている。
自殺者がこの9年間毎年3万人超えと言うことだ。
そのうち8割は心を病んでいたという。
著者はこれはあきらかに小泉に代表される新自由主義政策の影響だとみる。

良くも悪くも日本社会の特徴だった終身雇用と年功序列は中高年者にとっては救いだった。
うつ病が年をとると増えるのはそれだけストレスが強くなってくることもあるが加齢に伴い脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌量が減ることも一因だ。
そういう意味で若いうちに頑張って年を取ったら比較的楽ができるという終身雇用はうつ病抑止にはいい制度だった。
それがすっかり壊された。

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精神科医である著者は安倍前首相の突然の辞任はうつ病によるのではないかと推測する。
お坊ちゃん育ちで甘えん坊だからうつ病になったのではないという。
正義感が強くて生真面目、ものごとを白か黒か、敵か味方かのように二分して考える人がなりやすいかもしれないが、そうでなくてもなる人はなるそうだ。
日本ではまだ精神の病気は色目で見られる。
脳溢血など他の病気で倒れた政治家はむしろ”評価”すらされるのに精神を病んだことが理由だと意志薄弱な駄目男みたいに見られる?
あの時もっと早い時点で安倍さんはうつ病であることをはっきり言って休むことにしたら良かった。
そうして治療して元気になって見せればどれだけうつ病についての正しい考え方が広まったか分からない。
そうすれば医者にいって治療する人が増えて自殺者も減る。
小泉が増やしたうつ病患者や自殺者を安倍が減らすことが出来たのにと著者はいう。

朝青龍の精神状態について複数の医者が異なった見解を表明したことが話題になったがあれは在りうることで、三人の医者が同じ治療方針、モンゴルに帰る、を出したことが重要だという。
刑事裁判の精神鑑定と違って精神科医は病気を治すことが一番大切だ。

会社に行くとか嫌いなことをやろうとすると症状がでるのに楽しいことをやるときは大丈夫で見違えるように明るい。
そういうところを見た人が、あれは詐病だといったりするが、大間違い。
そういうことはうつ病にママみられるのだから。

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(ママはお買いもの中。家の孫ではないです)
薬の種類、安定剤の方が抗うつ剤より危険性(依存性など)が高いともいえる。
間違ったカウンセリングを受けることの危険性は薬の危険性より高い。
いずれにしても治療と副作用(どんな薬にもある)をよく見極めて適切な指示やアドバイスができる医者が必要だが、、。
そしてそういう医者にかかり家族などの適切なバックアップがあればうつ病は治る(とくに早期治療が大事)。
現在の医療制度の弊害もあって駄目な医療を行なう精神科医も多い。

うつ病の治療について基礎的な知識を要領よく書いてある。
いい医者の見分け方、とかいい医者をみつけられる病院リストなどは身近にうつ病の疑いがある人にとってはありがたいのでは。
「『心のかかりつけ医』の見つけ方」が副題。
うつ病の家族の心得も書いてありますよ。

俺もどちらかというと二分割思考だなあ。
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 12:10
タイトル : ご機嫌よう
テレビは「いよいよゴールデンウィーク」と、さも全国民が休日にになるかのごとく騒いでいますが、365日24時間稼働の職場、交通機関、小売業、レジャー施設などで働いている皆さんにとっては逆に多忙な時期。 私のような稼業も忙しいのです。 それなのに、2年前、全くの出来心でブログを開いてしまいました。 以来、独断と偏見、悪口雑言の数々を並べ立てて皆さんに不快な思いをさせてきました。 実は、ほとんどの記事は自分では実験、テストのつもりで書いたものであり、必ずしも私の思想信条や客観的事実を述べたもので...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 12:24
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Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 12:26
タイトル : 月刊『文藝春秋』から
今売られている月刊「文藝春秋」四月号の330ページに「名医に問う」連載の2回目が載っています。 今回の「名医」は精神科医の「岩波明」という人です。 数々の精神病院で臨床医を務めた後、現在は埼玉医科大学精神医学教室准教授です。 著書もいくつかあり、いろいろなところで話したり書いたりされているようですが、私がその発言に接するのは今回が初めてです。ネットで検索してみると、おどろおどろしい病的殺人を描写したり、患者の実名を明かしたりすると言う悪評も見られます。要するに毀誉褒貶相半ばする人物でしょうか...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:16
タイトル : 本当の狙い
最近、「心の病」に関する新聞記事が増えたように思う。 いかし、大抵の記事は「心を病む」人が増えたと報じている。本当だろうか。 私の周辺で収集した情報から判断する限りでは、単に「カミングアウトする人」すなわち「隠さない人」が増えただけなのだ。 私がサラリーマンだった頃「心の病」、つまり精神科の診療を受けていることは「隠す」のが常識だった。大昔の「ライ」、近年の「エイズ」と同様だった。「性病科」と「精神科」では保険証を使わなかった。万一保険証を使うと、それらの医師からの請求が会社の健康保険組合に...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:21
タイトル : 本当はどうなんだろう?
11月17日付だから前号になるが『週刊ダイヤモンド』が「うつ」の特集を組んでいた。書き出しは うつ病を「心の風邪」と表現する医師がいる。誰もがかかることがあり、治療すれば治るが、放置して悪化すれば死を招くからだ。最近は30代を襲う“新型”が続出したり、子どももおとな同様の有病率であったりと多様化し蔓延している。 となっているが、私が接した精神科医の見解は アレルギー体質が変わらないように、鬱気質が変わることもない。 アレルギーを持っている人がアレルゲンに近づいてはいけないように、鬱...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:22
タイトル : 復帰できるかな?
8月23日に入院する前、1ヶ月以上もの間、夜1時間から2時間程度しか眠れなくても昼間眠くなることはなかった。まさに異常な状態だったのである。 ところが、入院してから数日後には連続7時間から8時間眠れるようになった。ところが、それだけ眠っているのに朝食後も昼間も眠くなるのである。3時間から4時間眠ってしまう。これまた異常である。しかし、その状態のまま退院してしまったのだ。主たる理由は精神病院での生活に耐えられなくなったこと、その苦痛からか、主治医と衝突してしまったことにある。 退院後のケアを...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:24
タイトル : 水虫並?
昨晩、一昨晩と続けて60分程度の「短時間覚醒」が起きた。今回は「導眠剤」がスーと効いてくれたから苦しまずに済んだが嫌な予感がする。 男性の場合は」中高年が多くて10%ぐらい、女性は中年期で30%という数字をちらりと見たがそんなに多いのかな。 そんなに患者数が多いのであれば何か予防薬のようなモノが開発されても良さそうなものだが、水虫と同様、生命に危険はないそうなので製薬会社の向精神薬、導眠剤の販売促進に利用されているだけか。... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:27
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ヒョンな偶然から私の病気についての3rd opinionを得ました。 生来、あるいは国民学校2年生の時に大阪で食らった機銃掃射がきっかけで「鬱」気質が埋め込まれているようだ。 以後の、比較的明るくて活発な生活はすべて「仮面」であり、学生時代の「離人症」、サラリーマン末期の「Panic Disorder」、そして今回の「短時間覚醒」のように時々その仮面が剥がれる。「仮面疲れ」とでもいうのだろうか。 そこで私は↓のコメントでも書きました物心ついたときからの疑問をぶつけてみました。 「(仮面を被...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:28
タイトル : 忘れたい!
10月4日(木)に新しい担当医の問診を受けました。病院では医師を替えて2回問診を受け、その結果は引き継がれていたのですが、新しい医者は「肝心な点を隠していませんか」と突っ込んできます。結局、両親にも妻にもセガレ共にも話していないことをいろいろ白状させられました。 結論としては、これまでの心理的精神的疲労が限界に達し、もし「自殺」や「分裂病などの諸疾患」の素質があれば発症していたはず。幸か不幸か、そのような素質がないので「過覚醒」が発症したのだということだそうです。 心理的精神的疲労の限界...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2008-06-13 13:30
タイトル : 一応生還
実は9月7日(金)に退院していました。 ただ、強烈な「向精神薬」をいろいろ飲まされた結果、朝食後急に強烈な睡魔に襲われる、歩行中ふらつく、自転車をコントロールできない、PCのキーボード操作も信じがたいほど間違えるようになった上、普通の言葉が思い出せないこともあるという状態ですので沈黙していました。 退院後のケアを担当することになった近所のドクターの見通しでは、キーボード操作や言語連想力などが回復するには後2週間ばかり必要だろうとのことです。 収容された部屋は¥10,000クラスのビジ...... more
Commented by sweetmitsuki at 2008-06-13 06:25
以前週刊誌で読んだことの受け売りですが、精神科や心療内科の開業は、医師免許さえあればそれまでに経験のない内科や外科のお医者さんでも出来るのだそうで、初期投資のいらない(例えば内科を開業するなら、せめてレントゲンや胃カメラぐらいは設置しないと話にならないのですが、精神科は脳波計がなくてもイスと机だけで開業できる)という手軽さから「儲かる」という理由で精神科を開業するというケースが増えており、その一方で過酷な病院勤務の現場では医師が深刻に不足しているといいます。
心療内科バブルという言葉もある位ですが、踊らされないためにも診察を受ける側にはしっかりとした知識を持つ必要がありそうですね。
Commented by saheizi-inokori at 2008-06-13 07:21
sweetmitsukiさん、ほんとに不思議ですね。医師免許に診療科は関係ないというのは(精神科に限らないようですが)。
精神的な病だと医師との相性も大事だから気持ちが合えば治療効果も上がる場合もあるのかもしれません。
Commented by ginsuisen at 2008-06-13 09:42 x
私がかかっている医者は、総合的な医者をめざしている方で、安倍さんに関しては、誰かが早くにウツであることを気づかせてあげるべきだったと言ってましたね。学会でも発表したようです。でも、ウツの人を抱えている場合、病院に本人を行かせることすらも大変です。
本人が自覚する時点で治っている方向なのですが、そうでない場合は家族も本人も大変です。ウツが増えている・・昨今の事件もそうですが、周りの「愛」、温かな無関心の目が大事ではないかと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2008-06-13 10:50
ginsuisenさん、愛、それがなければどうにもなりませんね。
プラス、うつ病の場合は病気に対する知識。
頑張れがんばれではかえって悪化することもあるようですし。
知識としてそれをしっていても目の前にグータラしている人がいるとついつい「しゃきっとしなさい!」なんて”愛情から”云ってしまったりします。病気でなければそれが正しい対応かも知れないのですが病気だったら駄目な対応になる。
その見極めを医者にしてもらうのですから医者も大変ですね。
Commented by convenientF at 2008-06-13 14:16
どういう理由経緯があったのか記憶はないが、私は「和田秀樹」という人に好感を持っていなかった。「東大にあらざれば人に非ず」の東大入学コンサルタントだが、精神科医という仕事も一応やっている、という先入観を抱いていた。

だから

>著者はこれはあきらかに小泉に代表される新自由主義政策の影響だとみる。

には少なからず驚いた。
おっと、小泉も竹中も東大ではないから何でも言えるのか(^^;)。

>そういう意味で若いうちに頑張って年を取ったら比較的楽ができるという終身雇用はうつ病抑止にはいい制度だった。

と方々で主張したばっかりに、最初はグローバリズムとも呼ばれていた新自由主義の世界から永久追放された人もいる。

>駄目な医療を行なう精神科医も多い。

アタマの変な患者をまともに相手にできるか、という本心をまともに態度に、言葉に出す医者も少なくないそうで、そういう医者の名簿作りを始めているメディアもあるとか。楽しみに待つか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-06-13 23:08
CFさん、私はこの人の本を読むのは初めてですが、そしてあまり知らない人でしたが、結構分かりやすく説得力のある本だと思いましたが。
Commented by convenientF at 2008-06-14 17:13
この著者、デビュー当時の売り文句が

父親は関西大学を卒業してカネボウに入社したが、慶應閥の会社だったため出世できず、そのため秀樹の母は子供たちに学歴の重要性を叩き込んだ。1965年、母親の意向で教育程度の高い私立幼稚園に入園。大阪の公立小学校に入学した時には平仮名や片仮名から漢字の一部まで読み書きできるようになっていたため、大阪市内の名門公立小学校に1年生の2学期から越境入学。

だったのですっかり軽蔑してしまいました。
彼より14歳年長の私が、幼稚園の年少組入園時に既に「平仮名や片仮名から旧漢字の一部まで読み書きでき」るようになっていたのですから「こんなガキがどうした!」てなもんです。

ただ「何かについて論評する」時は「誰が言った」にはこだわらず「何か」だけを論ずる姿勢が見えてきましたので評価し直し始めています。

「進学技術指導者」としての地位を確立して経済的な不安がなくなったからではないか、と推理しております。
「恒産なき者は恒心なし」ですか。
Commented by ゆうこ at 2008-06-16 09:37 x
saheizi-inokori 様
 私のほうへのコメント、TB、有難うございます。興味深い内容満載のブログですね。そうでしたか・・・安部ちゃんは病気でしたか。それで理解できました。・・・な・る・ほ・ど。「お坊ちゃん育ちで甘えん坊だから」俄かに辞任した、って思ってました。
 私の身内の者が鬱病でした。大変心配もし、鬱について勉強?しました。病院(医師)、薬等々、治療方法にも多くの問題のあることに気付かされました。
>小泉に代表される新自由主義政策の >終身雇用はうつ病抑止にはいい制度だった。
 ↑全く同感です。小泉さんの新自由主義政策、碌なことはありませんでしたね。負の遺産ばかりです。1週間前の事件の遠因の一つに、派遣・非正規雇用といった悪の構造があると思います。人々が疲弊しストレスを溜めていっているようです。ガス抜きとして機能しているのが死刑制度かもしれない、と思ったりします。

 今後ともよろしくお願いします。
 
Commented by saheizi-inokori at 2008-06-16 09:54
ゆうこさん、いらっしゃいませ。
ガス抜きで死刑!
リンチと変わるところがないですね、それじゃ。
少なくとも死刑が抑止力になっているとは思えない事件が多いですね。
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by saheizi-inokori | 2008-06-13 00:41 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback(10) | Comments(9)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori