しつこくてすみません つぶそう裁判員制度

若い頃地方支店で人事担当の課長をしていたことがある。
管内の現場社員が東京の反戦デモに参加して逮捕された。
そのため何日か欠勤したら本社からクビにしろという指示がきた。
他の支店ではその指示に従ったけれど俺は拒否した。
逮捕された事由も不明だし起訴されることもなく釈放されているのだから違法な行為をしたと決め付けるわけにはいかない。
急進的な労働運動家は会社当局から見るとうるさい・ありがたくない存在だ。
出来ればこういうときに排除したいと言う考え方も分からないことはない。
しかし、排除したいからクビにするんじゃその会社は無法な会社に成り下がる。

まあ、いろいろな観点から本社のエライ人の前で俺は「わが支店では首にしません」といって支店に帰った。
当時の支店長は「君がそういったことは勇気がいったことだろう。良くがんばってくれた」と誉めてくれた。
独断で頑張ったのだ、若かったよ、俺も。

こんな古い思い出話をしなくても会社務めで人事担当をしていると、いろんなことで人を処分(クビとは限らないが)することがあった。
そのときの部下担当者が作ってくる報告書などにはいい加減なものが沢山あった。
作った本人は大真面目で、どこがおかしいのですか?と不愉快そうにするけれど、人一人を処分するのに検討すべき事柄は沢山あるのだ。
人事の担当をしているからそういうことに慣れているかとも思うけれどそれまでの上司がキチンと教育をしていないといい加減な書類でも通ってしまう。
裁判沙汰になることなどはまず考えられないから相当オカシナ処分でも食らった方が”運が悪かった”だけのことだ。

またまた裁判員のことです。
俺が昔接した本社の幹部とか支店の担当者は手ごわかったよ。
こんな人たちが裁判員になったら?
他の事案との均衡など無視して感情の赴くままに重い量定を主張する?
警察の調書がいい加減でもそれを見抜く力がない?
本社の言いなりになった人たちなら裁判官や誰か声の大きい人がいると反論もせずにそのいうことに従うのだろう。
俺もいい支店長に恵まれたから良かったけれど本社の意向ばかり気にするような人(が多いのですね)だったらどやしつけられてオシマイだった。
企業内のクビはまだ他の会社で生きていけるかもしれないし、訴訟を起こせば勝って戻れるかもしれないけれど刑法上のクビは死刑だ。
高等裁判所があるって?
必ず救ってくれるかな。

俺はどうしても市民の健全な常識を裁判に取り入れたかったら重大な刑事事件ではなくて、行政訴訟とか国家賠償訴訟などのように国や行政が当事者(とくに被告)になっている民事訴訟とか大企業に対する薬害・公害訴訟のようなものに裁判員制度を導入したらいいと思うけれど。
どうも今もっとも世の中の常識とかけ離れた判決が出るのがそういう裁判のようだから。
Tracked from 楽餓鬼 at 2008-05-26 19:10
タイトル : シナリオ通りに踊らされ,しかし,責任はすべて自前で。裁判..
いよいよ,裁判が始まります。裁判員としての私は出廷するために休暇を取らなければなりません。「年次有給休暇届」だけを出して,事情を隠しておけばいいのかもしれませんが,毎週に近い公判となれば,実際にはそうもいきません。口頭であれ事情を説明すれば,裁判員になっていることの噂はいつしか広まるというものです。 ましてや,実際の私の場合,時間契約労働ですから,年次有給休暇はありません。無断欠勤を避けるために,申告することになろうかと思います。私が裁判員になっている事実の漏洩については,私の見たところ「裁判員...... more
Commented by gakis-room at 2008-05-26 19:17
なんとか拙文をまとめていたら,saheiziさんの記事はいつも1つ先に行っています。それで,厚かましくきょうと昨日の記事にトラックバックさせていただきました。お許しを。

70年代初期に,熊本地裁の宮本判事補の再任拒否事件を思い出しました。その前に札幌地裁の平賀書簡問題もありました。裁判所がおかしくなったのはあのころからでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2008-05-26 19:38
gakis-roomさん、なつかしい?事件ですね。
ただし、今回の裁判員制度の対象となる重大刑事事件などでは裁判官のまじめさとか独立性が比較的に保たれているのではないかと思います。
問題は国や行政がらみの事件ですね。
それこそ健やかな野次馬精神が必要かもしれない。
Commented by みい at 2008-05-26 23:17 x
一連の記事しっかり読ませてもらいました。
わたしも絶対にやりたくはありません。人を裁くなんてとんでもないし、死刑制度も反対です。はじめからそう思っています。
裁判員制度、つぶしてください!
Commented by saheizi-inokori at 2008-05-27 07:42
みいさん、一緒につぶしましょう。
近くの人に話をするだけでも違うと思います。
Commented by lotus at 2008-05-27 09:58 x
裁判員制度は昔から何度も俎上に載せられてきたんですね。40年くらい前の早稲田の法学部の授業で、高名な法律学者が「はっつぁん、くまさんにそんな判断なんかできっこない」と喝破していたそうです。今こういった専門家からの反対声明などはあるのでしょうか?  少し前に嵐山光三郎さん達が反対表明していたけどその後どうなったのやら。一個人としてできること、他にどんなことがあるでしょう。官邸のホームページにメールを送るとか? 
Commented by saheizi-inokori at 2008-05-27 10:12
lotus さん、そういうことと無縁なところで御託を並べているのがクマさんハッツアンの真骨頂ですよね。
「被告人の育ってきた環境を鑑みると、、」なんて、洒落じゃなくなってしまいます。
官邸のホームページ、そういう手がありましたか。考えてもみなかったです。いいかも、悪用されないだろうな。どうも最近(元々か?)疑い深くなりました。
嵐山さんも発起人になっているのが
http://no-saiban-in.org/
のようです。
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by saheizi-inokori | 2008-05-26 18:41 | 責任者を出せ! | Trackback(1) | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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