医療制度改革は生きた人間の視点で!
2008年 05月 18日
今朝の読売新聞一面「地球を読む」と言うコラムに垣添忠生氏が医療制度改革について厳しい論文を書いている。
「市場原理化見直し求める」と「医療費抑制政策撤回を」の見出し、垣添氏は国立がんセンター名誉総長だ。
アメリカのレーガン大統領、イギリスのサッチヤー首相はフリードマンのマネタリズム理論を背景に市場原理政策を徹底、小さな政府、規制緩和、民営化路線を強力に進めた。
医療制度も例外ではなく医療費抑制政策が徹底された。
その結果、一旦は経済は立ち直ったかに見えたが、医療は崩壊した。
経済もサブプライムローン問題一つとっても明らかなように元の木阿弥以前、悪化してしまった。
ブレアは事態を打開するために医療費増額などの政策転換を図ったが"一度崩壊した医療を立ち直らせるには、巨額の費用と長い歳月を要する"。
さて日本だ。
小泉だ。
アメリカの突き付ける「構造改革要望書」の実施が彼の課題だ。
当然アメリカ金融保険業界や医薬品業界の日本進出を利する市場原理の導入を忠実に推進した。
「改革なければ利益なし」じゃなくて、もう思い出したくもない「競争によってサービスの質が上がり、国民生活はより豊かになる」といい規制緩和、法人税引き下げをはじめ大企業優遇を進める一方社会保障費を大幅に削減した。
その結果が格差社会であり凄まじい医療崩壊だ。
それなのに今なお政府の規制改革会議は、経済界と一体になって、混合診療や株式会社化などの市場原理政策を進めようとしている。
垣添氏は経済界が金融・保険業務のビジネスチャンスをそういう公的な会議で推し進めるのは利益相反だと言う。
保険会社の経営者があたかも公平な第三者のような立場に立って政策決定することは許されない、と言う意味だ。
「医療でお金を儲けようとしてはならない。医療は社会の公共財である。(略)米国や英国で失敗した医療政策を何のために、この国に今さら導入しようとするのか。わが国のすぐれた医療制度を守るために、今こそ医療人は患者・家族、広く国民の理解を得て、この愚挙に徹底的に抵抗する必要があると私は思う」
「この国のために懸命に働き支えてきた人たちが年をとり、病気になった際、その面倒を国家が見ないとしたら、これは棄民そのものである」
そうすることがむしろ経済活発化につながると英国や北欧の例をあげる。
文藝春秋六月号には自民党元総務会長・堀内光雄が「『後期高齢者』は死ねというのか」と題して後期高齢者医療制度が如何に酷いものであるかを書いている。
小泉改革の負の遺産と呼び怒りまくっている。
小泉改革に対して読売新聞がどういう態度を取ったか、俺は定かではないが、今や医療、保険制度改革の方向に対しての反発は政治的な立場の違いを越えて広がっている。
保険料や医療費が払えないなら治療を受けられないのは当然だと言って憚らない人がいるのも事実で、今医療制度改革を推進している人の中にも少なくはなさそうだ。
本当かどうかは確かめてないが、アメリカで交通事故にあって倒れていてもやって来た救急車はクレジットカードを持っているかを聞いて支払い能力がないと判断するや置き去りにするという。
マサカ!と思うが、、今の日本はそっちを向いているような気がして怖い。
子どもたちにそんな社会を遺して行くのかと思うと堪らない。
瓦礫の下で絶望しつつある人にクレジットカードの有無を質すのか。
でもね、小泉待望論もあるようだし。
医療費と学費がただなのはすごく助かる」と言っていました。確かに。若い人も老人も大切に!
お医者さんたちも騒ぎ始めましたね。しかし、そういうお医者さんたちを「アカ医者」と呼ぶ連中もいるのです。まだ「アカ」という表現が生きていたとは...
>保険料や医療費が払えないなら治療を受けられないのは当然だと言って憚らない人
マネーゲーム屋の「木村ナニガシ」などの若い衆たちですね。アイツら、自分は年を取らないと思っているのかな?
>小泉待望論もあるようだし。
これがどうにも理解不能。
もっとも困るのは保険や年金制度を信じてマットウに生きて蓄財などと縁のない人生を送って来た普通の人びとですね。