能楽堂に秋の月が 「千作千之丞の会」(2)
2008年 03月 22日
hanabi_cyuさんの家のじいちゃんのファンです。
たいてい机の前に座って何かおやりになっている。
アマリリスの生育日記をつけていたり、ジエラートを食べていたり、、ドクロ模様のネックウオーマーがおしゃれです。
しまむらで300円とは思えない^^。
4月から救急救命士になる学校に通う娘さんなど家族のみんながいろんな事に出会い頑張っているのを温かく見守っている。
みんなもじいちゃんがいることをとても大事にしているように感じます。
茂山一家にとっての千作じいちゃんもそんな風に見えます。
去年の10月に「魚説教」を弟の千之丞と演じたのをみてすっかり好きになって、続いて「居杭」で大笑いした。
今日は一昨年に茂山忠三郎で観た「月見座頭」だ。
8月15日名月の夜、目の見えない座頭(茂山千作)が月を見る代わりに虫の音を楽しもうと野辺に出るという、その趣向だけでうっとりしてしまう。
こおろぎ、きりぎりす、はたおり、ひぐらし、、さまざまな虫の音を聴き分けて、、松虫、さてもさても美しい音色かな、くつわ虫はずいぶん騒がしい、鈴虫はやさしい音色、松虫に並ぶなあ。
朗々と良い声で実に楽しそうに舞台のあちこちをめぐり時に座り込んで耳を傾ける。
そこに通りかかった男(茂山千之丞)が座頭と冗談を言い合い(いたずらっ子のように笑う千作さんの笑顔!)、酒を酌み交わし謡い舞う。
座頭も舞う。
はっとするけれど座興だ。
笑い興じる二人はやがて別れる。
さらばさらば。
だがしかし、帰りかけた男は突然心変わり
悲惨な状況なのだが千作の座頭にはどこか突き抜けたような明るさと開き直ったような野太さがある。
途中でちょっと顔をあげて空を見るようにしてまた前を向いて歩いて行く。
カツカツカツ、床を突く杖の音が響く。
ずっと人間どものさまを見ていた月は今天のどのあたりにいるのだろう。
帰るときに「なんだか分かんないね」としゃべっている若者がいた。
これが人間というものだよ。
きっといつか思い知ることがあるだろうね。
写真の月は昨夜、飛行機雲がおおきく膨らんでしまった。すぐに撮らないものだから。
今俺は目痒鼻水苦沙彌王子だ。
お菓子の三冠王ではなく花粉の三重苦。
狂言の二日間は点鼻薬も効いたのか音無しの構えだったのが不思議で有難いことだった。
たいてい机の前に座って何かおやりになっている。
アマリリスの生育日記をつけていたり、ジエラートを食べていたり、、ドクロ模様のネックウオーマーがおしゃれです。
しまむらで300円とは思えない^^。
4月から救急救命士になる学校に通う娘さんなど家族のみんながいろんな事に出会い頑張っているのを温かく見守っている。
みんなもじいちゃんがいることをとても大事にしているように感じます。
茂山一家にとっての千作じいちゃんもそんな風に見えます。
去年の10月に「魚説教」を弟の千之丞と演じたのをみてすっかり好きになって、続いて「居杭」で大笑いした。
今日は一昨年に茂山忠三郎で観た「月見座頭」だ。
8月15日名月の夜、目の見えない座頭(茂山千作)が月を見る代わりに虫の音を楽しもうと野辺に出るという、その趣向だけでうっとりしてしまう。
こおろぎ、きりぎりす、はたおり、ひぐらし、、さまざまな虫の音を聴き分けて、、松虫、さてもさても美しい音色かな、くつわ虫はずいぶん騒がしい、鈴虫はやさしい音色、松虫に並ぶなあ。
朗々と良い声で実に楽しそうに舞台のあちこちをめぐり時に座り込んで耳を傾ける。
そこに通りかかった男(茂山千之丞)が座頭と冗談を言い合い(いたずらっ子のように笑う千作さんの笑顔!)、酒を酌み交わし謡い舞う。
座頭の舞を所望するとは珍しいことじゃ。
ヤンヤ ヤンヤ ヤンヤ 良いお声でござる舞は見えないからね。
座頭も舞う。
盲目の悲しさは、貴賤の人に行き合いの、まろびただよい難波江に、足もとはよろよろと、げにもまこと弱法師(よろぼし)とて、人は笑い給うぞや。思えば恥ずかしや、、転んでしまう。
はっとするけれど座興だ。
笑い興じる二人はやがて別れる。
さらばさらば。
だがしかし、帰りかけた男は突然心変わり
いまひとしおの慰みに、作り声を致いて、きゃつに喧嘩をしかけてみよう。ご機嫌麗しく謡いながらやってくる座頭に突き当り、引き回し、突き倒す。
アア痛ア痛ア痛。卑怯者、卑怯者。2回目の卑怯者は「ひ・きよう・ものお」と叫んだ。
アア、思えば思えば、今のやつは最前の人に引きかえ、情けもないやつでござる。気の毒だけれど思わず笑ってしまう。
悲惨な状況なのだが千作の座頭にはどこか突き抜けたような明るさと開き直ったような野太さがある。
いまさら思い知られたり。秋の最中に虫の音を聞かんとて盲目の、よしなきことに立ち迷い、小夜ふけわたるこの野辺に、ひとり我のみ泣きにけり。ひとり我のみ泣きにけり。そして
ハー、ハッハー、ハア、クサメくしゃみをして、なんだか目が覚めたかのように急ぎ足で橋掛かりを下がって行く。
途中でちょっと顔をあげて空を見るようにしてまた前を向いて歩いて行く。
カツカツカツ、床を突く杖の音が響く。
ずっと人間どものさまを見ていた月は今天のどのあたりにいるのだろう。
帰るときに「なんだか分かんないね」としゃべっている若者がいた。
これが人間というものだよ。
きっといつか思い知ることがあるだろうね。
写真の月は昨夜、飛行機雲がおおきく膨らんでしまった。すぐに撮らないものだから。
今俺は目痒鼻水苦沙彌王子だ。
お菓子の三冠王ではなく花粉の三重苦。
狂言の二日間は点鼻薬も効いたのか音無しの構えだったのが不思議で有難いことだった。
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ginsuisen at 2008-03-22 21:26
月見座頭は、かの白州正子さんが絶賛した狂言。元々はこの大蔵流茂山家のものです。この狂言、私も最初に見たときはショックでした。でも、よく考えてみると目明きのほうが不幸せであることに思い知らされました。そう、若者には判んないかもー。同じく「川上」「居水座頭」も、年齢を重ねたものならではの内容です。こんど是非!
その前に、次は万作さんの月見座頭かな。
>hanabi-chyuさんのブログ時々拝見しています。
かわいいおじいちゃん。亡き父にもしてあげればよかったといつも見ています。
その前に、次は万作さんの月見座頭かな。
>hanabi-chyuさんのブログ時々拝見しています。
かわいいおじいちゃん。亡き父にもしてあげればよかったといつも見ています。
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saheizi-inokori at 2008-03-22 21:39
ginsuisenさん、万蔵さんが「清水座頭」と「月見座頭」」は対だと書いていました。
どっちも観たいです。
どっちも観たいです。
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ginsuisen at 2008-03-22 22:45
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saheizi-inokori at 2008-03-22 22:57
七世です。「狂言 伝承の技と心」という本です。
昨日、古本屋で買ってぱらぱらめくっていたらそう書いてありました。
大倉流だけの「月見座頭」が秋の曲なのに対し和泉流だけの「清水座頭」は春の曲として一対をなす、、と。
昨日、古本屋で買ってぱらぱらめくっていたらそう書いてありました。
大倉流だけの「月見座頭」が秋の曲なのに対し和泉流だけの「清水座頭」は春の曲として一対をなす、、と。
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mmiizzz at 2008-03-22 22:58
大げさなお話よりも、こうゆう「わかんない」ようなちょっとしたことの方が、心に引っかかって残るような気がします。
きょうの花粉は酷かったですね。。。
でっかいマスクをするとスッピンで出掛けられるのが楽ですが。
きょうの花粉は酷かったですね。。。
でっかいマスクをするとスッピンで出掛けられるのが楽ですが。
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my_poppy at 2008-03-23 02:46
このお話、泣きたくなっちゃうくらい悔しくて、情けなく感じる状況なのに。。
「ひ・きよう・ものお・・」の声が、耳に残りそうです。
それなのに、笑いがあり、“目が覚めたように”歩いてゆく座頭を照らす月には爽やかささえ感じられるような・・・?
凄いですね。不思議です。
月の下にたなびく雲・・・、出来すぎ!と思ったら、飛行機雲だったんですね。^^
hanabi-chyuさんのご家族、素敵ですね。おじい様をとても大切にされていて、見ている者(私)まで幸せな気持ちになります。
「ひ・きよう・ものお・・」の声が、耳に残りそうです。
それなのに、笑いがあり、“目が覚めたように”歩いてゆく座頭を照らす月には爽やかささえ感じられるような・・・?
凄いですね。不思議です。
月の下にたなびく雲・・・、出来すぎ!と思ったら、飛行機雲だったんですね。^^
hanabi-chyuさんのご家族、素敵ですね。おじい様をとても大切にされていて、見ている者(私)まで幸せな気持ちになります。
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sweetmitsuki at 2008-03-23 06:41
今時の若者にもわかるようにアレンジすると、
ブログに優しい絶賛のコメントをくれた人と、酷い中傷のコメントを書いた人が、実は同一人物だった。というところでしょうか。
狂言は花粉症にも効き目があるのですね。
ブログに優しい絶賛のコメントをくれた人と、酷い中傷のコメントを書いた人が、実は同一人物だった。というところでしょうか。
狂言は花粉症にも効き目があるのですね。
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saheizi-inokori at 2008-03-23 07:48
mmiizzzさん、私はいつもスッピン、だからメリットゼロ、テイッシュもったないから何べんも使って落語を思い出してしまいました。
このあと天日に干して最後はといれで、、、それを逆にやっちゃったって^^。
このあと天日に干して最後はといれで、、、それを逆にやっちゃったって^^。
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saheizi-inokori at 2008-03-23 07:50
my_poppyさん、人間の悲しさ、いとおしさが感じられました。
月見座頭は懲りずにまた風流に楽しみを求めて生きていくのだと思います。
月見座頭は懲りずにまた風流に楽しみを求めて生きていくのだと思います。
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saheizi-inokori at 2008-03-23 07:52
sweetmitsukiさん、自分自身にそういうところがあります。
信じられないくらいやさしくなったり残酷になったり、、。自分に対しても。
信じられないくらいやさしくなったり残酷になったり、、。自分に対しても。
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hanabi_cyu at 2008-03-23 15:42
おそれ多いです~(+o+)はは~おだいかんさま~<m(__)m>
そんな感じです~@@;恐縮しています。
じいちゃんのことを書いていただいてありがとうございます<m(__)m>
私たち家族は、saheiziさんはじめ みなさんの温かいお言葉で大変助けられています。
こんなすばらしいお話に引き合いに出していただき本当にありがとうございました<m(__)m>
そんな感じです~@@;恐縮しています。
じいちゃんのことを書いていただいてありがとうございます<m(__)m>
私たち家族は、saheiziさんはじめ みなさんの温かいお言葉で大変助けられています。
こんなすばらしいお話に引き合いに出していただき本当にありがとうございました<m(__)m>
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たま
at 2008-03-23 15:45
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春は「黄色」の季節ですね。「ソシンロウバイ」に「オウバイ」、そして写真で拝見の「トサミズキ」(土佐水木)、まもなく「レンギョウ」です。トサミズキより少し小型の「ヒュウガミズキ」も今が盛りでステキです。井の頭公園もソメイヨシノが1つ2つほころび始めたようです。
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saheizi-inokori at 2008-03-23 16:13
hanabi_cyuさん、苦しゅうないぞちこうよれ、なんちゃって^^。
こちらこそいつもじいちゃんと皆さんの温かさに助けられています。
じいちゃんの健康を祈ります。
娘さんが彼氏と健やかに成長していきますように。
こちらこそいつもじいちゃんと皆さんの温かさに助けられています。
じいちゃんの健康を祈ります。
娘さんが彼氏と健やかに成長していきますように。
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saheizi-inokori at 2008-03-23 16:23
狂言三昧の佐平次さんは、落語の世界の隠居さんみたいね。(イヤッ!失礼。そ、そんなおとしではない。)ペコリ!!
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saheizi-inokori at 2008-03-25 22:20
fumiyoo さん、落語の世界じゃなくて現実の世界で隠居の心境になりたいと思っています。
思うだけでなかなかですが。
思うだけでなかなかですが。
by saheizi-inokori
| 2008-03-22 21:13
| 能・芝居
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