業平ちゃんシャレが利きすぎ 「千作千之丞の会」(国立能楽堂)
2008年 03月 21日
キップを仕入れるのはネットの情報を頼りにやるのだが何ヶ月も前からスケジュールを見ると空いている日が多いから行きたい公演は予約してしまう。
すると結果的に連日と言うことにもなる。
飲み会の予約もそうだなあ。
やはり能楽堂はいいよ。
会場に入っただけで気分がまるで違う。
能・狂言は能楽堂、落語は寄席、古典芸能はそれにあった舞台とともに伝承され発展してきたんだから西洋演劇に適したホールでは勝手が違うのは当たり前だ。
たとえば今日は脇正面の席だがホールでは正面を向いている役者を端っこの席から(止むを得ず)斜めに見ることはあっても完全に舞台全体を脇から見るということはない。
能・狂言では役者も脇から見られていることも意識して演じているから脇からみても十分に鑑賞できる。
橋掛かりと言う独特の舞台には正面よりは近いし。
今日は「茂山千作文化勲章受賞記念」茂山一家勢ぞろいかな。
さてまず「空腕」。
太郎冠者・茂山千之丞 主人・茂山千五郎
千之丞の高いけれど心地よい声と臆病な太郎冠者が”幽霊の正体見たり枯れ尾花”を演じているのを見てうっとりしているうちに俺は夢うつつ。
45分間、ほとんど夢の中に行って見ました。
べつに探し物はなかったんだけれど。
もったいない!
だけどゼイタク!
「業平餅」。
在原業平(茂山七五三)が傑作。
「ぼくちゃん、かの有名な業平だよ~ん」
歩き始めたら直ぐに「お腹が減ってもう一歩も歩けないよ。あそこの茶屋で何か食べたいよ~ん」
高貴な方だよ、お金なんて下賎なものを持っているはずがない。
「”お足”ってなあ~に?」
こんな美味しそうな餅があるのにお足がなければ食べられないなんてひどすぎ!
ぼくちゃんが歌を作ってあげるってのはどうだい?
茶屋の店主(茂山正邦)はしっかり者よ、そんなものでは動かない。
業平ちゃん、餅を前にして「餅尽くし」を謡い舞う。
初春は鏡餅、神のみ前に鏡餅~草もち、菱餅、柏餅、蕨餅、かき餅、亥の子餅、、、かく様々の餅なれど~この家の餅は名物と聞くに欲しさはいや増せど許されざれば是非もなし~って、あんたほんとに業平ちゃん?
「えっ、金がなければお代の代わりに娘さんを引き取れって?そりゃ又願ったり叶ったり、この業平ちゃんがどんなプレイボーイなのかも知らないな。オーケーオーケーOK牧場、任しておけって」
それにつけても業平ちゃんの餅の食い方!
立ったまま「あうっあうっ、あっ、うぐうぐ」あれよあれよとカボチャくらいな大きさの餅を5つもだよ、食べるというより、かぶりつき飲み込んじゃった!
さて団子が済んだらいよいよ花だ。
被り物をかぶった娘の立ち姿をみてヨダレを垂らして近づいた。
「どうせぼくちゃんの女になるんだから早く顔をみせて頂戴」
嫌がる娘(茂山逸平)を猫なで声で、え~い!面倒だ、力づくで被り物をはいだら、、
こっからは今のPTAでは駄目だろうな。
ありゃなんじゃ?ブスを差別してる!
辟易してお供に押し付けようとするが彼も娘の顔を見た途端、震えだし腰を抜かしていうことには「私には妻がいることを思い出しましてん」。
貴族、しかも具体的な名前を挙げてここまで笑い飛ばすって誰が作者か(調べているがまだ判らない)知らないが、えらいもんだ。
稚児に茂山莢、3歳くらいかな、可愛い可愛い、後見の茂山茂(父?)たちに気をもませながら天晴れやりとおしました。
侍・茂山宗彦 白丁・茂山童司 白丁・島田洋海 白丁・茂山あきら
「月見座頭」。
千作じいちゃまのこれが観たくて行ったんだ。
期待通り素晴らしかったが、ちょうど時間になりました。
この続きは又明日。
写真上は北澤川緑道で。下は下北沢・「トムズ製麺」「汁なし坦々麺」、なんとも日本離れの味ですじゃ。
こんどはどうぞ、能楽堂で野村家を!そして、山本家の大蔵流、名古屋の野村家も・・坦々麺同様、狂言にもいろいろあります、ハイ。
この一家、ほんとに楽しいですね。
あっ、さっき古本屋で一家のグラビアあったんだけど買わないで来ちゃいました。
急に欲しくなってきた。
先代万蔵の本は買ったんですが。
そんな気分になりました^^