「お早う」の首尾は？

昨日書いた二人連れに挨拶をする。
そう”決心”したらワクワクした。

出かけるときに手間取ってしまう。
どうも日に日にひどくなる。
服を着終わってから腹巻をしてないことに気がつき（ワイシャツ一枚では体に毒だと思い先週から始めた）、靴を履いてから昨日買い換えたばかりの携帯を取りに戻り、そうだ、マスクも、テイッシュも「鼻セレブ」をもう一袋もって、、毎朝大変だ。
そうこうする内にトイレに行きたくなることもあるし。
とまあ、そんなわけで又少し遅くなって家を出た。
バスをやめたんだからもっと早く出なきゃいけないのに逆になってるんだから！ったく。
寝坊をしてるわけじゃない。出際にもたつくだけ。

ワシワシと歩く。
昔の母親と今の母親の違いについて考える。
よく言われるように洗濯機も掃除機も冷蔵庫も我が家なんか水道もないのに、子どもをたくさん育てて夫にも尽くし近所の子どもの面倒もみた昔の母親たちは偉かったと思う。
そういう偉かった母に育てられたのに今の大人男たち、どうして駄目な奴が多いんだろう。
駄目なやつが目立つだけでしっかりした男たちもいるのかなあ。
エライ母親に育てられた団塊世代ですらこんな連中が多いのなら今の母親に育てられる男たちは一体どのような大人になってくれるんだい？
それとも男ってのはどう育てられようがある一定の比率で駄目になる生きものなのかもしれない。
親の育て方と関係なく。
いや待て、こうして毎朝幼稚園に子どもを送り迎えするなんて昔の母親はやらなかったよな。
今のお母さんも暇ってわけじゃないんだ。
このことはどう評価すればいいのだろう？
いやはや、考えるというより頭ん中に湧き上がってくるヨシなしごとを転がしながら歩いていく。

やがて、件の二人が大きな道路をはさんで向こうから見えてきた。
今までで一番幼稚園よりだ。
マスクを外さないとナ。変なオジサンと思われる。
ドキドキ。
と、ちょうど交差点の信号が変わって、俺と二人は横断歩道を挟んで向かい合う形になった。
交通量が多いから結構長い赤信号。
寒いからまだマスクは外せない。
二人は少し後戻りしてビルの軒下で風を避けるかのようだ。
相変わらずお祖母さんはぎゅっと口を結んで前を向いて、左手にはブルーの袋を提げ右手で坊やの手を握っている。
黒いコートに白っぽいマフラーを首の周りにグルグル巻いている。
坊やは退屈なんだろう、左右をみたり、足を交互にぶらぶらさせたり所在なさそうだ。
今日も二人は無言だ。
朝の日ざしに照らされて眩しそうにしている。

やっと信号が変わった。
横断歩道に５，６人が横に広がってこちらに向かってくる。
と、後ろから更に３に、４人追いついてきて二人はその中に飲み込まれそう。
あ、と思う間もなく目の前に二人が近づいてくる。
今だ！大きな声で「おはよう！」。

誰も俺の方を向かずにさっと通り過ぎて行っちゃった。
お祖母さんの横顔が５０センチくらいの近さにみえた。
凸凹してるな、それと靭さ！老人ではない、お母さんかも知れない。
前から人が来るし振り返ってみることも無く駅に急いだ。


あ～、マスクも外してなかった。

拍子抜けして虚しくなって、「なんだ俺の一人よがりジャン。もう止めた」と思った。

昨日の記事へのコメントを読んで、もう一度やってみようと思った。
それにはもう少し手際よく家を出なきゃならない。
写真は、練馬「日の出湯」