茹で落花生を知ってるかい？

茹で落花生。
俺は落花生が大好き。
転勤して部下から仕事の説明を聞くときなど殻付き落花生を用意して皆で食べながらやることも度々だった。
緊張したくても緊張の方が逃げ出していい雰囲気になるんだ。

１５年ほど前に千葉で一緒に働いた男二人と飲んだ。
東京駅・グラン・アージュ「野らぼう」いつか書いたＴ君お勧めの店が東京駅に登場したのだ。
行ってみたらなかなかリーズナブルで美味しい。
便利な場所だし中国人のスタッフとも仲良し（片思い）になってこれで３回目だ。
メニューにあって喜んだのが茹で落花生。
千葉の名物（中国産？）で旧交を温めるなんて嬉しいね。

Ｇ君が定年退職したと言いながらゴソゴソやっている。

取りだしたのがＡ５判ほどのアルバムだ。
表紙に「思い出」とあってめくるとＧ君の制服姿の写真がある。
その後ずっと彼が職場で机に座っていたり皆と話をしていたり現場で働いている姿がアルバムに奇麗に収められている。
「息子が作ってくれました」

思い出した。
俺は若い頃から自分の職場で退職する人がいるとその人の職場での写真を撮ってあげて一冊のアルバムにして差し上げる習わしだった。
Ｇ君と一緒のときもそうしていた。
実は転勤で千葉を離れるときに俺も立派な手作りアルバムを頂いて感激したものだ。

その習わしがもう千葉ではなくなってしまった。
けれど彼の息子さんが親父の職場に来て写真を撮ってアルバムをつくってくれたという。
おとなしくて自分のことなど殆どしゃべらないＧ君がとても嬉しそうに千葉からアルバムを持って来て見せてくれた。
「それで？これ、俺にくれるの？」
「いや、それは！ちょっと見てほしかったから持ってきただけですよ」あわてて答えるＧ君。
当り前だよ。俺も人が悪いなあ。

写真に写っているＧ君はカメラを構えている息子さんに誇らしげに、嬉しげにしている。
俺も嬉しかった（お土産の落花生も）。