客がなめられている？

近所に出来たウエスタン・カフエ。
入っていくと客はいなくてマスターがギターの練習をしている。
テレビは休日のゴルフ番組で黄色い声のタレントがうるさい。
まもなくテレビを止めてウエスタンのＣＤをかけたのでヤレヤレと思っているとギターを取り出しチューニングを始める。
おや、ＣＤにあわせて演奏するのかと、それはそれで楽しみだと思っていると、まったく関係ない曲を爪弾く。
テレビより遥かにうるさい。
音楽をやる（プロっぽい）上に音楽をテーマにしたカフエをやっていながら！
コーヒーを飲み残して店を出た。

これも新しい蕎麦屋。
以前も蕎麦屋があって、その店はとても売れて出世して他所に移ったその跡だ。
入ると突き当たりにナントカタローというタレントの描いた魚の絵が大事そうに飾ってある。
それだけで、後戻りしようと思ったが最近の俺は練れているから引き戸を開けて中に入る。
あらまあ、よくデパートの特売で売っているような写実的な風景画があって、狸が置いてあって、モダンな花瓶があって、アブストラクト（安っぽい）の小品が飾ってある。
別に容貌で蕎麦を打つわけじゃないとは承知しているけれど見るからに石油・燃料店のオヤジ、または大衆食堂のオヤジみたいな雰囲気（決してこれらの店を誹謗・軽蔑していってるのではないです）のでっぷりしたオジサンが厨房からこちらを一瞥する。
そば？
旨いわけがない.

たんびたんび（と言う人がいたっけ）小三治で恐縮だけど。
彼は「落語家論」で、鼻濁音が発音できない歌手や落語家が増えたことを憂えて叱っている。
江戸っ子が鼻濁音を使えないと江戸っ子の喋りにならない。

たとえば「何を言やがる」という言葉、この「が」
はもちろん、鼻濁音でなくてはならない。（略）軽くいなせな言い回しをすると「何を言やぁる」（略）つまり、鼻濁音の「が」が簡素化、省略化されていく途中過程での「ぁ」であります、、

江戸弁が使えない噺家は江戸っ子の出てくる噺をするな。
どうしてもやりたかったら自分の訛りの地方の噺に全てを置き換えてやってくれ。

荒井由美は、あれは歌も顔も濁音の世界そのもので、実に時代の産物だった。二人（松田聖子と）のレコードも買って持ってるけど、長時間聞いていると不愉快になる。（略）彼女らは（和田アキ子と小柳ルミ子）、プロになったことで、濁音から鼻濁音に矯正して直したのである。なんてったって、大阪も九州も濁音の本場、真ッ只中なのである。

本来、プロとしてお客からお金をいただけるのは到底無理な人たちが平気で出てくる。
それでも通用してしまいそうな、時には通用している世の中になってしまった。
責任者は誰なんだろう？

何とか皆さん成功してほしいものだ。

たら～り、いけない！チョコレートを食べ過ぎた。

写真は高田馬場の菓子屋、気持はわかるがちょいと日本語としてはね。
林檎を煮るだけで後はほかの店に任せているとも取れます。