2008年 01月 20日
圓蔵がいい 落語ブームはバブルじゃない |
寄席はトリを中心に前座から二つ目、中堅、色もの、お囃子、、その日のメンバーが力を合わせて盛り上げていく。
そのことは秋山真志「寄席の人たち」を紹介した時に書いた。
先日の小三治が主任(トリ)のとき中トリは橘家圓蔵だった。

月の家円鏡で知っている人も多い。
軽くて調子がよくておかしい。
いい間で脱線ギャグが入る。
志ん生、文楽がやり、落語ブームの中を突っ走る若手や中堅の「ウナギ」を聴いてどれも楽しかったが、その演出は様々だ。
売れない野太鼓の哀歓をシミジミと演ずる、これぞ”芸術“というようなのもあって、それもよかった。
圓蔵は無造作に他愛もない噂話に興ずるがごとくに太鼓持ちの間抜け振りを笑い飛ばす。
落語には弱り目に祟り目、落ちた犬を叩いて笑いのめすような噺が結構多い。
四角四面に弱者保護・差別反対を言う向きからは眉をひそめられるような噺。
それがちっとも嫌な感じにならない。むしろ優しささえ感じさせるのは演じる噺家の笑顔や口調、間の取り方とか、いわく言いがたい”芸の力“だろう。
もっといえば噺家の人柄かもしれない。
小三治が文字に書いたらそれほど面白くないようなマクラをうっとりと聴かせるのも同じことだ。
「お前の母ちゃんデベソ~」と囃すこちとらも「お前もやっぱりデベソ~」であることを腹ん中で飲み込んでいるというのが落語の国の決まりでもあるし。
軽くていかにも行き当たりばったりにやっているような芸風。
突然、イマそのもののギャグを挿入したり。
だが、こんなことを言っている。
そのことは秋山真志「寄席の人たち」を紹介した時に書いた。
先日の小三治が主任(トリ)のとき中トリは橘家圓蔵だった。

月の家円鏡で知っている人も多い。
太鼓持ちあげての末に太鼓持ち圓蔵は座るや否や知る人ぞ知る川柳をいって笑った。
こういう出だしから始まる噺といえば『鰻の幇間』か『太鼓腹』だけど、どっちをやりましょうか?場内から圧倒的に『ウナギ!』の声。
えっ、ウナギ?参ったなあ。三日もやらないと忘れてしまうと笑わせて間があって
ヨシ、思い出したぞと噺に入っていく。
軽くて調子がよくておかしい。
いい間で脱線ギャグが入る。
志ん生、文楽がやり、落語ブームの中を突っ走る若手や中堅の「ウナギ」を聴いてどれも楽しかったが、その演出は様々だ。
売れない野太鼓の哀歓をシミジミと演ずる、これぞ”芸術“というようなのもあって、それもよかった。
圓蔵は無造作に他愛もない噂話に興ずるがごとくに太鼓持ちの間抜け振りを笑い飛ばす。
落語には弱り目に祟り目、落ちた犬を叩いて笑いのめすような噺が結構多い。
四角四面に弱者保護・差別反対を言う向きからは眉をひそめられるような噺。
それがちっとも嫌な感じにならない。むしろ優しささえ感じさせるのは演じる噺家の笑顔や口調、間の取り方とか、いわく言いがたい”芸の力“だろう。
もっといえば噺家の人柄かもしれない。
小三治が文字に書いたらそれほど面白くないようなマクラをうっとりと聴かせるのも同じことだ。
「お前の母ちゃんデベソ~」と囃すこちとらも「お前もやっぱりデベソ~」であることを腹ん中で飲み込んでいるというのが落語の国の決まりでもあるし。
軽くていかにも行き当たりばったりにやっているような芸風。
突然、イマそのもののギャグを挿入したり。
だが、こんなことを言っている。
僕は飛行機や新幹線に乗っても、窓におでこをあてて、人に見られないように、納得いかない高座を思って涙をこぼしたりしてるン(東京かわら版1月号)
by saheizi-inokori
| 2008-01-20 00:10
| 落語・寄席
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タイトル : キレる老人
このところ、「キレる老人」が何かと話題になっているらしい。 総務省によると、65歳以上の人口は最近10年間で約40%増だったのに対し、刑法犯で摘発された同年代の人の数は3.5倍だったそうだ。 犯罪の種類別では、殺人は111人で18%増だったが、強盗は98人で3・8倍、傷害は4・4倍の1038人に上ったとある。 全世代で見ると刑法犯は僅かに減少傾向にあるらしいから、高齢者の増加が話題になって当然だ。強盗は一般に経済的理由から発生する一方、傷害には「殺意はあったが殺人に至らなかった」ケースを含む...... more
このところ、「キレる老人」が何かと話題になっているらしい。 総務省によると、65歳以上の人口は最近10年間で約40%増だったのに対し、刑法犯で摘発された同年代の人の数は3.5倍だったそうだ。 犯罪の種類別では、殺人は111人で18%増だったが、強盗は98人で3・8倍、傷害は4・4倍の1038人に上ったとある。 全世代で見ると刑法犯は僅かに減少傾向にあるらしいから、高齢者の増加が話題になって当然だ。強盗は一般に経済的理由から発生する一方、傷害には「殺意はあったが殺人に至らなかった」ケースを含む...... more
月の家円鏡さん!!子供の頃からテレビで拝見していました。
ますますご活躍で嬉しい限りです。
涙をこぼしたりしてるン・・のは、こちらの方ですよね?
こんなに偉くなられても、この純真さ。。母性をくすぐられてしまいます。^^
ますますご活躍で嬉しい限りです。
涙をこぼしたりしてるン・・のは、こちらの方ですよね?
こんなに偉くなられても、この純真さ。。母性をくすぐられてしまいます。^^
考えてみれば、落語ほど庶民の文化に精通しているものは無いような気がします。こういう大衆的であっても高い文化が育まれていたからこそ、日本の漫画やアニメが質の高い普遍的なものとして国際社会に受け入れられているのでしょう。
19日のブログのコメントになりますが、使えるものを捨てるのにはやはり抵抗があります。物であれ人であれ十分に使いこなせない自分が悲しくなるばかりです。
19日のブログのコメントになりますが、使えるものを捨てるのにはやはり抵抗があります。物であれ人であれ十分に使いこなせない自分が悲しくなるばかりです。
my_poppyさん、円鏡時代よりずっといい味が出ています。
本当に嬉しいですね。
本当に嬉しいですね。
antsuanさん、多くは知りませんが落語のような演芸は日本独特のものではないでしょうか。
スタンダップコメデイというのとも違いますよね。あれはいわば漫談なんでしょう。
スタンダップコメデイというのとも違いますよね。あれはいわば漫談なんでしょう。
圓蔵さん良いですね。
圓蔵さんの話しを聴いているといつもどこかに三平さんの影を感じ、「三平にはかなわない」という思いとリスペクトが、軽やかな圓蔵さんの高座に一抹の翳りを与えているような気がするのです。
まさに人柄でしょうか。
圓蔵さんの話しを聴いているといつもどこかに三平さんの影を感じ、「三平にはかなわない」という思いとリスペクトが、軽やかな圓蔵さんの高座に一抹の翳りを与えているような気がするのです。
まさに人柄でしょうか。
maru33340さん、そうですか。
私は子の人の高座は最近何回か聴いていいなあと思ったのです。
円鏡のイメージが強かったのでしたが、ずいぶん変わったと思いました。
三平のことを云ったのは意識しなかったなあ。
私は子の人の高座は最近何回か聴いていいなあと思ったのです。
円鏡のイメージが強かったのでしたが、ずいぶん変わったと思いました。
三平のことを云ったのは意識しなかったなあ。