昇太がんばる いっ平がんばりすぎ 「にっかん飛切落語会」(イイノホール)
2007年 11月 27日
林家木久蔵「竹の水仙」、林家いっ平「黄金餅」、春風亭小朝「扇の的」。
後からでた誰かが「ワイドショーを見ているようだ」と評した。
いっ平は力が入っていたなあ。
西念があんころ餅で銀貨をくるんで飲み込むのを金兵衛が覗くところ、と西念がひっくり返ったのを助けにいったところをみっちりやる。
あまりみっちりやるので、もしかすると前半で切り上げる演出か、そうだとしたらこの噺の一番面白いこところがなくなっちゃうなあ、なんて心配したほどだ。
結局最後までやったのだが息切れして、後で昇太が「サゲをとちった」と冷やかした。
三平襲名を目の前にして大ネタに挑み精一杯自分なりの工夫も取り入れてがんばったのだろう。
この噺は志ん生の十八番、どうしてもあの録音を意識せざるを得ない。
新しい黄金餅をやろうとすればするほど蟻地獄に墜ちてしまう恐怖との戦いだ。
息切れもシャーナイ。
がんばれがんばれ。
小朝、冒頭、あまり冴えないマクラを振って
立川志の吉「水屋の富」
初めて聴く人だ。
澄んだきれいな声。
メリハリの付け方が独特で富くじで千両当たったところなどは他の噺家よりサラッとしたやり方。
上に書いた黄金餅でもいえることだが同じネタでもやる噺家によってまるで違う噺のようになってしまう。
春風亭昇太「人生が二度あれば」
この会のキップをまわして下さった方は「小朝が出る」ことを強調していたので会場で昇太がトリだと知って驚いた。
土曜日、一昨年9月号の「文学界」(芥川賞を取った絲山秋子の「沖で待つ」を読むために買った)に「落語研究」と言う特集があってそこに昇太と談春の対談が載っているのに気がつく。
一昨年はまだ今ほど落語も能も一生懸命観ていない頃で談春も聴いたことがなかったから読む気もなかったのだ。
この対談が面白かった。
柳昇を「ぼくの中の面白い落語家の最高峰は春風亭柳昇なので、柳昇を目指していく」と言い切る昇太の落語観、特に新作落語にかける思いが伝わってくる。
34年前に始まったこの会はホールの改築のために今日で休止。
若手二つ目の古典落語研究会、円楽などが肝いりで当時の人気真打が応援出演してきたのだそうだ。
芸暦25年の昇太は学生時代にここで小朝の噺を聴いたのが落語初体験だという。
「記念だから」と言ったかと思うと、突然懐からカメラを取り出して会場をパチパチ、続いてそれを客に渡して自分はめくりの横でポーズを取る。
マクラに柳昇のことをタップリ振って、自分の代表作に入っていく。
ボケが始まっている老人が盆栽を弄りながら越し方を振り返って「あァ、あの時こうすればよかった、ああすれば、、人生が二度あれば、、」と悔やむ。
松の精が現れバック・トゥー・ザ・フューチャーの望みを叶えてくれるのだが、、。
かなり年齢層が高い場内。
暗いテーマだが昇太一流のエネルギーと明るさで笑いを取っていく。
なるようになってきたのが人生さ、と開き直っていく力も感じる。
今日は「飛切大賞」の審査員などもずらっといたせいか「こういうバカなことをするから新作は駄目だと評論家に云われるんです」と何度もいいながら”バカなこと”をたくさんやってみせた。
新作も良いものだ。
写真上、帝国ホテル。
下、どの子が忘れたか昨日の朝からフエンスにかけてあるコート。
探しているんじゃないか?
後からでた誰かが「ワイドショーを見ているようだ」と評した。
いっ平は力が入っていたなあ。
西念があんころ餅で銀貨をくるんで飲み込むのを金兵衛が覗くところ、と西念がひっくり返ったのを助けにいったところをみっちりやる。
あまりみっちりやるので、もしかすると前半で切り上げる演出か、そうだとしたらこの噺の一番面白いこところがなくなっちゃうなあ、なんて心配したほどだ。
結局最後までやったのだが息切れして、後で昇太が「サゲをとちった」と冷やかした。
三平襲名を目の前にして大ネタに挑み精一杯自分なりの工夫も取り入れてがんばったのだろう。
この噺は志ん生の十八番、どうしてもあの録音を意識せざるを得ない。
新しい黄金餅をやろうとすればするほど蟻地獄に墜ちてしまう恐怖との戦いだ。
息切れもシャーナイ。
がんばれがんばれ。
小朝、冒頭、あまり冴えないマクラを振って
これでお客様の反応を読んでいるのです。前のふたりでは分からなかったから。正直な感想は「なんだ、ちゃんと笑うじゃないか」小朝は扇ならぬ注目の的だが、その話題には触れず那須与一の噺を時事ネタ(それにしても今日の出演者が全員赤福と吉兆、少し芸がないかも)やらいろいろ挟み込み場内爆笑、俺の前の席の女性など膝を叩き身体を揺すってオオウケだった。
立川志の吉「水屋の富」
初めて聴く人だ。
澄んだきれいな声。
メリハリの付け方が独特で富くじで千両当たったところなどは他の噺家よりサラッとしたやり方。
上に書いた黄金餅でもいえることだが同じネタでもやる噺家によってまるで違う噺のようになってしまう。
春風亭昇太「人生が二度あれば」
この会のキップをまわして下さった方は「小朝が出る」ことを強調していたので会場で昇太がトリだと知って驚いた。
土曜日、一昨年9月号の「文学界」(芥川賞を取った絲山秋子の「沖で待つ」を読むために買った)に「落語研究」と言う特集があってそこに昇太と談春の対談が載っているのに気がつく。
一昨年はまだ今ほど落語も能も一生懸命観ていない頃で談春も聴いたことがなかったから読む気もなかったのだ。
この対談が面白かった。
柳昇を「ぼくの中の面白い落語家の最高峰は春風亭柳昇なので、柳昇を目指していく」と言い切る昇太の落語観、特に新作落語にかける思いが伝わってくる。
「うまい落語とは何か」と考えると「想像」がキーワードだと思う。お客さんによりクリアに想像してもらえるかどうかが、うまい下手だと思う。上手にしゃべることそのものが「うまい」んじゃなくてね。たまたま、本を片付けようと(結果は何も変わらなかったが)して読んだ人が出てくるたァ、こいつは冬から縁起がいいや。
34年前に始まったこの会はホールの改築のために今日で休止。
若手二つ目の古典落語研究会、円楽などが肝いりで当時の人気真打が応援出演してきたのだそうだ。
芸暦25年の昇太は学生時代にここで小朝の噺を聴いたのが落語初体験だという。
「記念だから」と言ったかと思うと、突然懐からカメラを取り出して会場をパチパチ、続いてそれを客に渡して自分はめくりの横でポーズを取る。
マクラに柳昇のことをタップリ振って、自分の代表作に入っていく。
ボケが始まっている老人が盆栽を弄りながら越し方を振り返って「あァ、あの時こうすればよかった、ああすれば、、人生が二度あれば、、」と悔やむ。
松の精が現れバック・トゥー・ザ・フューチャーの望みを叶えてくれるのだが、、。
かなり年齢層が高い場内。
暗いテーマだが昇太一流のエネルギーと明るさで笑いを取っていく。
なるようになってきたのが人生さ、と開き直っていく力も感じる。
今日は「飛切大賞」の審査員などもずらっといたせいか「こういうバカなことをするから新作は駄目だと評論家に云われるんです」と何度もいいながら”バカなこと”をたくさんやってみせた。
新作も良いものだ。
(日本では)古典芸能をやっている人は新しいことをやるとバカにされて、古いことをやっていると「ああ、この人はまじめにやっている」という、、。文学界・昇太の発言。
写真上、帝国ホテル。
下、どの子が忘れたか昨日の朝からフエンスにかけてあるコート。
探しているんじゃないか?
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ginsuisen at 2007-11-28 00:22
先日、私も散歩途中で小さな手袋がフェンス横に置いてあるのを発見。なくした人、探していますよね。ブログからブログへ、伝わるといいですねー。
落語・・ますますブーム?のようですね。
落語・・ますますブーム?のようですね。
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29日に上越に志の輔がきます。初めての高座体験になります。演し物が何であるかは分かりませんが楽しんできます。
出掛ける時は寒くてコートが手放せないのに、日中の陽射しは暖かく、つい置き忘れてしまう。そんな季節です。
私も、どこに置き忘れたのか、いつの間にか失くしてしまったセーターが幾つか・・。
女性が膝を叩き身体を揺すってリアクションしても、はしたなくない空間が寄席ですね。
私も、どこに置き忘れたのか、いつの間にか失くしてしまったセーターが幾つか・・。
女性が膝を叩き身体を揺すってリアクションしても、はしたなくない空間が寄席ですね。
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saheizi-inokori at 2007-11-28 08:14
ginsuisenさん、今朝の朝日に朝日名人会の通し券の募集(抽選)要綱が載ってます。運試しです。
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saheizi-inokori at 2007-11-28 08:16
ume さん、チケットが手に入ったのですね。羨ましいです。
私は志の輔の高座はまだみていないのですよ。
私は志の輔の高座はまだみていないのですよ。
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saheizi-inokori at 2007-11-28 08:17
mitsuki さん、子どものコートなのです。大学のフエンス、四つ角。
ナンか小さなドラマを感じますよ。
ナンか小さなドラマを感じますよ。
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hanamaki3 at 2007-11-28 11:21
小朝、志の輔、談春、まだだなぁ~。
CDで聴いてるとつい高座でも聴いた気になるけれど^^;
CDで聴いてるとつい高座でも聴いた気になるけれど^^;
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散歩好き
at 2007-11-28 14:19
x
寄席に行きだし一生懸命聞いています。楽しいです。
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sakura
at 2007-11-28 17:57
x
真っ赤になって驚いたら今度は真っ青・・・・
赤より青いほうが未だ目には、あまり強く感じないかも、、
お風邪かと一寸心配しましたが、ブログ更新なさって
お元気で良かったです。それに あちこちお出かけで、、
ま~お風邪が流行っているそうですからお気をつけて、、
赤より青いほうが未だ目には、あまり強く感じないかも、、
お風邪かと一寸心配しましたが、ブログ更新なさって
お元気で良かったです。それに あちこちお出かけで、、
ま~お風邪が流行っているそうですからお気をつけて、、
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saheizi-inokori at 2007-11-28 22:06
hanamaki3さん、小朝は寄席でも聴くことが出来ますが、立川はキップを取らないといけませんね。
どなたも一度は高座を!
どなたも一度は高座を!
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saheizi-inokori at 2007-11-28 22:07
散歩好きさん、落語は結構奥が深いように思います。
どのように付き合ってもそれなりの音を聞かせてくれるようです。
どのように付き合ってもそれなりの音を聞かせてくれるようです。
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saheizi-inokori at 2007-11-28 22:08
sakuraさん、有難うございます。
今日は医者に薬を貰ってきました。早く寝ます(今日も)。
今日は医者に薬を貰ってきました。早く寝ます(今日も)。
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polaris
at 2007-11-28 22:12
x
saheiziさん、寄席に行けていいですねェ。夜は足元が危なくて出歩けなくなり、落語はもっぱらテレビです。
11月はBSで、米朝さんを4週見ました。蔵出しエンターテイメントとかいう番組で、笑いながら、話芸のすばらしさに拍手してました。
録画するのを忘れて残念です。
11月はBSで、米朝さんを4週見ました。蔵出しエンターテイメントとかいう番組で、笑いながら、話芸のすばらしさに拍手してました。
録画するのを忘れて残念です。
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saheizi-inokori at 2007-11-28 22:20
polaris さん、私は米朝はテープしか持ってないです。
一度高座で見たかったけれど、もう無理なのかなあ。
一度高座で見たかったけれど、もう無理なのかなあ。
by saheizi-inokori
| 2007-11-27 22:11
| 落語・寄席
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