豊年だ、千作だ、万作だ 狂言特別公演「特集・美しき老い」(国立能楽堂)
2007年 10月 27日
先日間に合ってよかった、と書いた千作爺ちゃん、文化勲章受章だって、間に合ってよかった!
そんなこと言うと叱られるなあ。
元気元気!また観せて貰った「居杭」の快演に笑いました。
親しさの表現として直ぐに頭を叩く亭主・何某(アド・茂山七五三)に閉口して清水寺に祈願すると夢の中でお告げがあって頭巾を授かる。
それをかぶると居杭(シテ・茂山千作)の姿が消えてしまう。
居杭を探していると占い師(アド・茂山千五郎)が通りかかるので早速占いで見つけてもらうと、スゴイ!殆ど見つかりそうになる。
慌てて逃げ回ったり逆襲に転じて二人の耳をひっぱったり鼻を摘まんだり頭をコツンとやったり、、悪戯にもほどがあるよ、おじいちゃん。
普通は子どもが演じるという役を千作爺ちゃん、とても可愛らしく演じて見所は大喜びだ。
この日は「特集・美しい老い」と銘打たれていて他の演目は主人公が老人なのだがこれだけは演者が老人・千作師、確かに美しい。
笑顔と立ち姿、登場するだけで能楽堂に温かい風が吹き抜ける。
狂言「腰祈」
祖父(シテ・山本東次郎)が久しぶりにあった孫・山伏(アド・山本則俊)の行力で曲がった腰を伸ばしてもらうのはいいけれど未熟なものだから伸びすぎたり縮みすぎたり、お爺ちゃんは散々な目に。
70歳の東次郎師はパンフレットの中に「『老い』を演じる」という一文を書いている。
確かに声も若いし山伏の祈りに応じて身体を反ったり折り曲げたりするのも俺には出来ないかも知れない。
太郎冠者・山本則直
笛・一噌隆之 小鼓・幸 正昭 大鼓・柿原嵩志
大曲とは三老曲といわれる「庵梅」のシテを別の日に演じたことを言っている。
その三老曲のひとつが「比丘貞」
「ふくれ」という大きめの変わった面をつけた老尼(シテ・野村万作)が成人した子ども(小アド・吉村康眞)の親(アド・石田幸雄)に頼まれて名付け親になり「あんだら(愚か者という意味もある)」と名付けたり親子と祝い酒を飲み愉快になって舞を舞う。
優しいお婆ちゃんなのだがどこか食えない皮肉なところもちらちらする。
腰の周りにしっかりお肉がついて背中も丸くなって「この人死なないかも知れない」と思わせるような存在感に溢れた女の老いた姿。
強い丸い豊かな老いだ。
女郎の舞を舞うにつれ老いの中から色気がしっかり顔を出す。
笛・一噌隆之 小鼓・幸 正昭 大鼓・柿原嵩志 太鼓・小寺佐七
地謡・高野和憲 野村萬斎 深田博治 竹山悠樹
他に素囃子「楽」、比丘貞の囃し方と同じメンバー。
朝日新聞に載った千作さんの喜びの声に
そんなこと言うと叱られるなあ。
元気元気!また観せて貰った「居杭」の快演に笑いました。
親しさの表現として直ぐに頭を叩く亭主・何某(アド・茂山七五三)に閉口して清水寺に祈願すると夢の中でお告げがあって頭巾を授かる。
それをかぶると居杭(シテ・茂山千作)の姿が消えてしまう。
居杭を探していると占い師(アド・茂山千五郎)が通りかかるので早速占いで見つけてもらうと、スゴイ!殆ど見つかりそうになる。
慌てて逃げ回ったり逆襲に転じて二人の耳をひっぱったり鼻を摘まんだり頭をコツンとやったり、、悪戯にもほどがあるよ、おじいちゃん。
普通は子どもが演じるという役を千作爺ちゃん、とても可愛らしく演じて見所は大喜びだ。
この日は「特集・美しい老い」と銘打たれていて他の演目は主人公が老人なのだがこれだけは演者が老人・千作師、確かに美しい。
笑顔と立ち姿、登場するだけで能楽堂に温かい風が吹き抜ける。
狂言「腰祈」
祖父(シテ・山本東次郎)が久しぶりにあった孫・山伏(アド・山本則俊)の行力で曲がった腰を伸ばしてもらうのはいいけれど未熟なものだから伸びすぎたり縮みすぎたり、お爺ちゃんは散々な目に。
70歳の東次郎師はパンフレットの中に「『老い』を演じる」という一文を書いている。
今現在、(略)、少なくとも舞台の上では、二十代・三十代の甥たちよりもまだ身体が動くという自負がある私は、このような大曲を付けて頂いて有り難い気持ちと同時に、まだまだ「老い」を演じる年齢ではないのでは、とも思っているのです。ですと。
確かに声も若いし山伏の祈りに応じて身体を反ったり折り曲げたりするのも俺には出来ないかも知れない。
太郎冠者・山本則直
笛・一噌隆之 小鼓・幸 正昭 大鼓・柿原嵩志
大曲とは三老曲といわれる「庵梅」のシテを別の日に演じたことを言っている。
その三老曲のひとつが「比丘貞」
「ふくれ」という大きめの変わった面をつけた老尼(シテ・野村万作)が成人した子ども(小アド・吉村康眞)の親(アド・石田幸雄)に頼まれて名付け親になり「あんだら(愚か者という意味もある)」と名付けたり親子と祝い酒を飲み愉快になって舞を舞う。
優しいお婆ちゃんなのだがどこか食えない皮肉なところもちらちらする。
腰の周りにしっかりお肉がついて背中も丸くなって「この人死なないかも知れない」と思わせるような存在感に溢れた女の老いた姿。
強い丸い豊かな老いだ。
女郎の舞を舞うにつれ老いの中から色気がしっかり顔を出す。
笛・一噌隆之 小鼓・幸 正昭 大鼓・柿原嵩志 太鼓・小寺佐七
地謡・高野和憲 野村萬斎 深田博治 竹山悠樹
他に素囃子「楽」、比丘貞の囃し方と同じメンバー。
朝日新聞に載った千作さんの喜びの声に
心がけたのは、からっと朗らかで愉快に笑って頂ける芸。逆境でもくよくよせず、なにくそやったるわいと力いっぱい演じてきたから体も達者で続けてこれた。願いは、04年に生まれた双子のひ孫の初舞台で共演すること。
もう一年は待ってなならんな。一年なんてスグデッセ、お爺ちゃん。
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ginsuisen
at 2007-10-28 08:51
x
千作さんの文化勲章、おめでたいですね。あの方は、本当に別格。生まれながらのものなのでしょう、ほんわかほんわか。ご家族も一族仲がいいとか。舞台にそれがにじみ出ていますね、よかったよかった、saheiziさんも間に合ってよかった。
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>からっと朗らか愉快に笑って・・・
美しき老いの秘訣ですね。わたしもかわいいおばあちゃんになろうっと(笑)
美しき老いの秘訣ですね。わたしもかわいいおばあちゃんになろうっと(笑)
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saheizi-inokori at 2007-10-28 10:56
ginsuisenさん、よーく考えてみると千作さんばかりでなく毎日出会う全てのもの・人・出来事は「間に合ってよかった」のですね。
一期一会、の瞬間の積み重ね。
一期一会、の瞬間の積み重ね。
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saheizi-inokori at 2007-10-28 10:58
みい さん、私は頭で分かっていてもそれがなかなか、、。
大声で笑ったのって何時が最後かな?今日は落語、よ~し!笑ったるぞ~。
大声で笑ったのって何時が最後かな?今日は落語、よ~し!笑ったるぞ~。
saheiziさん、こんにちは。お久しぶりです。
広島に行ってらしたのですね。たくさんのものを持ち帰られたようですね。
文化勲章受章者の言葉って深みがあってさすがです。
逆境でもないけれども、「逆境でもくよくよせず」の精神でいきたいものです。
広島に行ってらしたのですね。たくさんのものを持ち帰られたようですね。
文化勲章受章者の言葉って深みがあってさすがです。
逆境でもないけれども、「逆境でもくよくよせず」の精神でいきたいものです。
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saheizi-inokori at 2007-10-28 13:44
tonaさん、お帰りなさい。
そうですね。くよくよせず、それがいい!
そうですね。くよくよせず、それがいい!
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fumiyoo at 2007-10-28 15:09
明日、狂言見に行きます。「蝸牛」です。茂山七五三、茂山宗彦、茂山逸平親子狂言です。
早川一光先生と七五三さんの対談もあります。
千作さんのは見たことがありませんチケット代が高いので・・・今度のは対談もあって、2500円これは行かなくては・・月曜日・お店も
休み、場所は四条烏丸・・近くです。これを逃す手はないと・・・で又、後術談をお聞きください。ごめんね記事は帰ったら又ゆっくり読みます。遊びに行く前日はお~~~いそがしなのです!!。
早川一光先生と七五三さんの対談もあります。
千作さんのは見たことがありませんチケット代が高いので・・・今度のは対談もあって、2500円これは行かなくては・・月曜日・お店も
休み、場所は四条烏丸・・近くです。これを逃す手はないと・・・で又、後術談をお聞きください。ごめんね記事は帰ったら又ゆっくり読みます。遊びに行く前日はお~~~いそがしなのです!!。
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saheizi-inokori at 2007-10-28 16:30
fumiyooさん、楽しみにお待ちしてます。
by saheizi-inokori
| 2007-10-27 23:15
| 能・芝居
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Comments(8)