夢の中から夢の中へ 広島「白鷹」（広島３）

広島の夜は市内・「白鷹」。
繁華街の表通りからちょいと入った路地の突き当たりに神様が祀ってあってそのワキにある。
昔、新橋・烏山神社の前の小路の居並ぶ二階建ての小料理屋で飲んだことを思い出した。


このあたりの人たちは東京に転勤になって何が悲しいかと言うと魚がまずいことだ、と抜かす。
「よくこんなものを食ってうまいだのまずいだの言ってるなあ」とまで抜かす。
グヤジイけれど確かにこれが同じ日本国籍の魚かと思うほどウマイ鯛と鯵のおつくりが出た。
その後出たのが右の茸の盛り合わせ。
ホーキダケ、ホンシメジ、サクラシメジ、ミミタケ、ナメタケ、イワタケ、、
茸以外にムカゴ、銀杏、山葡萄、アケビなどがあって珍しかったのは写真上真ん中のポポー、切る前の実を見せてくれて、それはムベのようだが南方育ちのもので食べるとドリアンをさっぱりさせたような味だ。


魚は「さわらの西京焼き」「鰯のつくね」「オコゼの煮たのと揚げたの」「イセエビのサラダ」、「土瓶蒸し」やらなんやら忘れたほどいろいろ出たが写真は省略。
牛肉のステーキがうまいのなんの、それこそ「やわらか～い！」肉がジュワ～とジューシーにしてきちんと肉の味を主張する。
俺は後から合流したので車中でお握りひとつ、それと厳島で穴子の弁当を食べただけ、１１時ともなれば腹が空くのも当然だけれど、同行の皆さんは昼はお好み焼き（しかも２種類）に穴子丼に白焼き、デザートにもみじ饅頭まで食べたと言うのに食うわ食うわ、次から次へと追加注文してはきれいに平らげていく。
食べ物に歓声を上げ、話題はあっちへこっちへ笑いも絶えない。
まあ、だからこんなに食べられるのかも。
酒は「白鷹」の燗が絶えることなく供される（って頼んでいるからだが）。
あっという間に日付変更線を超えたのに「これがここの名物なんだから」と頼んだのが「ウニご飯」。
ウニをかき分けるとぷっくらと元気な卵黄が顔を出す。
この際、コレステだの中性だののことは忘却の彼方へ。
夢のような能を観て夢のような晩餐を夢中になって気がついたら一時も大分過ぎて下のお客さまがみんなお帰りになっていた。
オカミサンが極めて魅力的でしたなあ。


階下のカウンターのイス、入ったときは気がつかなかったがそれぞれ内田繁さんなど名だたるデザイナーの作品なのだ。
作者の何人かはときどき客として来店するそうだ。

大満足でホテルに帰ってほんとの夢をみたのでありました。