クスグリ満載 そして詩情も レジナルド・ヒル「死の笑話集」(ハヤカワ・ミステリ)
2007年 10月 21日
前に取り上げた「死者との対話」の続編。
未読の人はそっちから先にどうぞ。
でもこれだけ読んでも面白い。
現に俺は前編を忘れていた。
まあ、よくあることで同じ前編を買わなかっただけでもラッキーだ。
前編<ワードマン>連続殺人事件で犯人とされた男の親友である作家・ペンは警察が真相を隠してインチキな決着をつけたのではないかと疑い、あちこちかぎまわっている。
偉大なダルジール警視はペンの視点で事件を再構成したらマスコミは飛びつくことを察知し事件の生存者・ライを守ろうと監視をつける。
事件解決の際、負傷したハット・ボウラー刑事はライと熱々だから監視につけたのはハットのライヴァルである魅力的なノヴェロ刑事だ。
かつてパスコー主任警部が逮捕して刑務所に送ったフラニー・ルートは刑務所に付き物の暴力を牢名主に取り入ることで免れ理想的な囚人を演じ仮出所を勝ち取るばかりかヨークシャー大学研究生として未完のベドウズ評伝(恩師の遺作)を完成させようとしている。
それは良いとして獄中生活や出所後の発展をこまごまとパスコーに書き送ってくる(劇的で面白い)。
恨みを晴らすためではないと書いているものの、その内容を読むと殺人事件が次々に発生している。
ルートが犯人かと探りを入れても確証が取れない。
ルートの手紙の真意がつかめないままパスコーはノイローゼ気味だ。
一方、同性愛者であることをカミングアウトしたウイールド部長刑事はふとした弾みで若い男娼・リーと知り合う。
リーはウイールドを慕うようになり顧客の会話から気がついた犯罪計画らしきものをウイールドに伝える。
以上の3つのストーリーが次第に絡み合い大きな事件が姿を見せてくる。
645ページ、前編とあわせると1221ページ、読みでがあるね。
一体この話はどこに行っちゃうんだろうと心配になる。
行き先不明な広がり方をするけれど毎日の生活の中で本を手にするたびに旧知の世界に戻ったような安心感もある。
ダルジール警視という怪物(相変わらず品がない、ミもフタもあらばこそ!)を中心にいづれ劣らぬ個性派警察官たちが考え惑い動き回りするところが生きている。
インで昼間からビールをがぶ飲みするダルジールの傍らにいるような気がする。
人間的な弱点もたくさん持っているし、価値観やライフスタイルも異なる警察官たちが正義感でまとまっていく姿はリアルに描かれている。
いろんな表現を楽しむべきだ。
あたかも落語のクスグリを楽しむように。
品がないというのも考えてみれば人間の真実だ。
それをズバッと口に出すのはむしろ偽善的なマナーで覆い隠された嘘だらけの社交的集団に対するアンチテーゼだから読んで嫌な感じがしない。
けっきょくのところは詩情溢れるミステリになったと思う。
未読の人はそっちから先にどうぞ。
でもこれだけ読んでも面白い。
現に俺は前編を忘れていた。
まあ、よくあることで同じ前編を買わなかっただけでもラッキーだ。
前編<ワードマン>連続殺人事件で犯人とされた男の親友である作家・ペンは警察が真相を隠してインチキな決着をつけたのではないかと疑い、あちこちかぎまわっている。
偉大なダルジール警視はペンの視点で事件を再構成したらマスコミは飛びつくことを察知し事件の生存者・ライを守ろうと監視をつける。
事件解決の際、負傷したハット・ボウラー刑事はライと熱々だから監視につけたのはハットのライヴァルである魅力的なノヴェロ刑事だ。
かつてパスコー主任警部が逮捕して刑務所に送ったフラニー・ルートは刑務所に付き物の暴力を牢名主に取り入ることで免れ理想的な囚人を演じ仮出所を勝ち取るばかりかヨークシャー大学研究生として未完のベドウズ評伝(恩師の遺作)を完成させようとしている。
それは良いとして獄中生活や出所後の発展をこまごまとパスコーに書き送ってくる(劇的で面白い)。
恨みを晴らすためではないと書いているものの、その内容を読むと殺人事件が次々に発生している。
ルートが犯人かと探りを入れても確証が取れない。
ルートの手紙の真意がつかめないままパスコーはノイローゼ気味だ。
一方、同性愛者であることをカミングアウトしたウイールド部長刑事はふとした弾みで若い男娼・リーと知り合う。
リーはウイールドを慕うようになり顧客の会話から気がついた犯罪計画らしきものをウイールドに伝える。
以上の3つのストーリーが次第に絡み合い大きな事件が姿を見せてくる。
645ページ、前編とあわせると1221ページ、読みでがあるね。
一体この話はどこに行っちゃうんだろうと心配になる。
行き先不明な広がり方をするけれど毎日の生活の中で本を手にするたびに旧知の世界に戻ったような安心感もある。
ダルジール警視という怪物(相変わらず品がない、ミもフタもあらばこそ!)を中心にいづれ劣らぬ個性派警察官たちが考え惑い動き回りするところが生きている。
インで昼間からビールをがぶ飲みするダルジールの傍らにいるような気がする。
人間的な弱点もたくさん持っているし、価値観やライフスタイルも異なる警察官たちが正義感でまとまっていく姿はリアルに描かれている。
いろんな表現を楽しむべきだ。
あたかも落語のクスグリを楽しむように。
品がないというのも考えてみれば人間の真実だ。
それをズバッと口に出すのはむしろ偽善的なマナーで覆い隠された嘘だらけの社交的集団に対するアンチテーゼだから読んで嫌な感じがしない。
けっきょくのところは詩情溢れるミステリになったと思う。
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fukuyoka at 2007-10-26 12:14
このポット最高!DANSKですね。昔、このモダンデザインに憧れてコーヒーカップ、皿など、無理をして買い集めました。いまだに使ってますが、改めていいデザインだな〜と感激!
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saheizi-inokori at 2007-10-26 12:25
あはは、これも売れてしまったようです。いいものは足が速いですね。
by saheizi-inokori
| 2007-10-21 22:24
| 今週の1冊、又は2・3冊
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Comments(2)