「猫定」「五貫裁き」、意欲十分に好演 柳家三三独演会(国立演芸場)

餌をやってるのに商品の魚を食べちゃう居酒屋の真っ黒な猫。
手癖が悪いから重石を括りつけて川に放りこんじやおう。
店の連中が相談している。
そりゃアンマリ可哀相だと引き取ってフトコロに入れて帰る魚屋の親方定吉。
魚屋と言っても内実は博打打ちだ。
助けた猫は透視能力があってツボの中の目を読んでニャーゴで半、ニャーゴニャーゴで丁、合図をするから定吉百発百中ーまたたく間に金持ちになる。

「猫定」「五貫裁き」、意欲十分に好演 柳家三三独演会(国立演芸場)_e0016828_22345120.jpg貧乏所帯のときは仲の良かった定吉夫妻、金が出来ると隙間も出来て女房・おたきは浮気が本気になってとうとう定吉を殺せと男にいう。
定吉の帰り道を待ち伏せ、竹槍で後ろからズブリ
たまらず倒れた定吉のフトコロから黒いものが宙を跳ぶ!
朱に染まって倒れる男。

殺しの首尾イカンと長屋で待つおたきが引き窓を開けると又もや宙跳ぶ黒い稲妻。
おたきもバッタリ。

事の次第も分からぬままに夫婦の遺体が入った早桶を並べお通夜に集う長屋の衆。
「親方は良い人だった。それなのにオカミさんが浮気して、、」
「しいっ!お通夜の内はこっちにいるから余計な事いうと三途の川で二人が喧嘩始めるぞ」
そうすると桶のフタが開いて目と口から血を垂らした定吉とおたきがヌーっと立ち上がりお互いに睨み合う。

ぎやあーみんな胆をつぶして逃げ出して仏の前にいるのは按摩の三味市ただ一人、絶やした線香を供えている。

そこに来たのが浪人・真田某、見ると腰板のあたりで何やら動く気配あり。
エイッと刀で突くとギヤアッ!
残された猫の二本の両の手には男とカミサンの喉笛が。

アッパレ黒猫!主人の仇を討ったと御奉行は回向院に猫塚を造って顕彰したというお話。

命を助けた狸がサイコロに化けるという滑稽噺「狸賽」は良く聴くがこの「猫定」は初めて聴いた。
筋だけ書くとオドロオドロした怪談噺のように思うかもしれないがメリハリつけてクスグリも入れて笑いもある。
かつては円生だけがやったようだ。
熱烈なフアンに恵まれて満員の独演会で大ネタに果敢に挑戦した。
先にやった「五貫裁き」どちらも1時間近い熱演、手応えがあったはずだ。

前座の古今亭志ん坊が「元犬」をやったが明晰な語りでフラもあり有望な新人とみた。
写真は造幣局東京博物館で、「殷などの刀貨、布貨、貝貨」。五貫裁きにちなんで。
Commented by 散歩好き at 2007-10-18 09:19 x
着物の後ろエリを大きく開けうなじを見せ内股で芸者歩きで出てくる
三三を何だろうと見ていましたが上手いと思いました。初心者が恐れ多いですが。
Commented by saheizi-inokori at 2007-10-18 10:12
散歩好き さん、人気に甘えて楽に笑いを取ろうとしていないように感じました。すくすく伸びていくと楽しみです。
独演会なんて初めて行きましたが寄席とは違った空気があってこれもまたヨキカナ、でした。
Commented by molamola-manbow at 2007-10-18 12:46
知らない噺です。久しぶりに末広辺りに、そんな気持ちにさせられました。
我が家にも真っ黒な野良猫が餌を食いにやってくる。
何かしてくれますかね~?
Commented by saheizi-inokori at 2007-10-18 16:34
咽笛掻き切られないようにご注意!
ヨットに連れて行けば魚の居場所を教えてくれるかもしれませんよ^^。
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by saheizi-inokori | 2007-10-17 23:02 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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