よく書いた!田中森一「闇社会の守護神と呼ばれて 反転」(幻冬舎)
2007年 08月 01日
平戸の極貧家庭に育って苦学して検事になり立身出世を考えることもなくひたすら検事の仕事に生き甲斐を感じて実績を上げていく。
ところが
この平和相銀事件を体験し、私は東京地検特捜部の恐ろしさを知った。事件がどのようにしてつくられるか。いかに検察の思いどおりになるものか、と。捜査に主観はつきものだが、それが最も顕著に表れるのが、東京地検特捜部である。竹下登、自民党安倍派・森喜朗事務局長(当時)、自民党防衛族、中曽根総理、住友銀行、、政財界の犯罪が見えてくると圧力がかかって事件はつぶされた。
基本的に検察の捜査方針は全て国策によるものである。換言すれば、現体制との混乱を避け、ときの権力を維持するための捜査ともいえる。そういう検察の官僚機構に生きることを嫌って著者は弁護士になる。
弁護士事務所の開所披露パーテイを三日間やったらご祝儀が6千万円集まった。
顧問料だけで毎月1000万円入ってくる。
ホンの気持ちとして渡された紙包みに1000万円が入っていたことも珍しくなかった。
山口組組長・渡辺芳則の顧問になり特に若頭・宅見勝とは人間同士の信頼関係で結ばれる。
「光進」小谷光浩、「イトマン」伊藤寿永光、山口敏夫、仕手筋・加藤暠、「末野恒産」「朝日住専」「富士住建」、佐川急便・佐川清、5えんやグループ代表・中岡信栄、イ・アイ・イー・高橋治則、、バブル時代の英雄たちの顧問弁護士となり「闇社会の守護神」と呼ばれる。
古巣の検察の恨みを買い許永中とともに石橋産業手形詐欺事件で懲役3年を言い渡され現在上告中。
いやあ、面白いなあ。迫力満点!
映画や「噂の真相」、週刊誌なんてものじゃない。
バブルの始まりから収束までの日本の政財界の裏表が実名で暴かれる。
とくに検察の実態、裏金つくりなんて当たり前の嫉妬社会、とか事件にならなかった大阪府の汚職、同和と税務署の癒着、、こんなことまで書いちゃっていいのか。
生々しい。
間違いなくいえることがある。この国は、エスタブリッシュメントとアウトローの双方が見えない部分で絡み合い、動いている。彼らはどこか似ている。エスタブリッシュメントと呼ばれるトップ階層から、アウトローと呼ばれる裏社会の住民にいたるまでの付き合いのなかから、それを感じた。表と裏の社会が一体となり、ことを運ぶその現場を、この目で何度も見てきた。本書を読みつつテレビで辞めない総理とその周りの人々、を見ていると不思議な調和を感じてしまう。
ここに書かれている闇の中に半分足を突っ込んでいる人たちが、今その隠しておきたい足を見せているんじゃないか。
驚くべき事実が暴かれているのだが、「そうだろうな、そんなことだろうな」と事実そのものには驚かない(それを書いているということには驚いても)自分が情けない。
★★★ 著者: 田中森一 出版社: 幻冬舎 同じマンションに住んでいる友達の家に行ったら、多分お父さんが読んだと思われる法律の本がいろいろ置いてあって、その中にこの田中森一著の『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』が置いてあったので手に取りました。表紙に『反転』という文字があったんだけど、その『反』が白い字で、『転』が黒い字で書いてあったなぁ、そういえば。それですこし興味がわきました。 読んでいて、とても面白いなぁ、と思いました。政治家(表社会)と、ヤクザ(裏社会)は密接に...... more
けど....
立法、司法、行政の三府が腐っている社会こそが健全な社会であることを確信させられただけで...
行政府と司法府のメンバーは国民が選べないわけで...
続きは蛇足だと思いますが。念のため付記しましょう。
ヒラ議員の時から「女装趣味」で有名だっただけの人物を大臣に起用した総理も「女装趣味」かな?
じゃあ、どうする?といわれても困るけれど。マア、それなりに、、戦って来たつもり。