よせと言われても止せない寄席の素晴らしさ 秋山真志「寄席の人たち」(集英社)
2007年 07月 31日
寄席ってなんだ?
落語(夢丸)を聴くところ、いや漫才(順子・ひろし)や手品(北見マキ)もあるよ。
そればっかりじゃない。
大神楽(柳貴家小雪)、お囃子(稲葉千秋)、講談(宝井琴調)、紙切り(正楽)、三味線漫談(小円歌)もいて、看板やめくりを寄席文字で書く人(橘左近)がいて、それら全てを束ねていく席亭(北村幾夫)がいる。
これらの人たちが寄ってたかってその日の寄席を楽しい空間に仕上げていく。
芸人だから自分を売り込むことが大好きだしそうしなくては生きていけない。
でもしかし、だ。
”寄席の寸法”をご存知か?
末廣亭席亭・北村が言う。
10人(組)のそれぞれについて先ず顔写真と簡単な紹介が表紙代わりになって裏をめくると、たとえば「あした順子・ひろし」で言えば「漫才師になりたい人へのアドバイス」と連絡先が1頁。順子さんだと
ここで俺などはもう寄席気分。
それから彼・彼女の生い立ちと何故その芸人になったかの動機やエピソード、その後の苦労話や喜びが活き活きと語られて、その間にその芸の歴史も要領よく紹介される。
写真も添えられている。
途中で「離合集散を繰り返す噺家団体と寄席との相関関係」「噺家と破門」とか「色物芸人は差別されているのか?」「寄席の符丁」というコラムが挿入されている。
「金ちゃん」「とうすけ」「載せる」、分かりますか?「お客」「顔」「食べること」の符丁です。
寄席ミニ百科の観がある。
楽しく読み終わると相当な寄席通になった気がする。
今度誰かに薀蓄ひけらかしたくなる。
それにしても寄席のワリ(日当)の少なさ!
高校生がコンビニでアルバイトするより少ない。
逆に2700円くらいで一日9時間でも居続けられる客の方からみたら寄席が如何に有り難い場所かということだろう。
小三治がウケを強要するようなえげつない芸をしていた小円歌を楽屋でこっぴどく叱った(彼女の師匠は円歌だが)、とか行き詰っていた小雪に「見ていてポカポカ温かくなるような高座にしたら」とアドバイスした話などいい話だネ。
落語(夢丸)を聴くところ、いや漫才(順子・ひろし)や手品(北見マキ)もあるよ。
そればっかりじゃない。
大神楽(柳貴家小雪)、お囃子(稲葉千秋)、講談(宝井琴調)、紙切り(正楽)、三味線漫談(小円歌)もいて、看板やめくりを寄席文字で書く人(橘左近)がいて、それら全てを束ねていく席亭(北村幾夫)がいる。
これらの人たちが寄ってたかってその日の寄席を楽しい空間に仕上げていく。
芸人だから自分を売り込むことが大好きだしそうしなくては生きていけない。
でもしかし、だ。
”寄席の寸法”をご存知か?
末廣亭席亭・北村が言う。
テレビと違って、寄席に出る芸人は自分だけ目立てばいいというものではない。仲トリ(仲入り・休憩の直前に出る噺家)も食いつき(仲入り直後)も膝替り(トリの直前)も、絶対にトリを食うほど目立ってはダメ。全員が連携して、最後のトリへとつなげてゆく。それでも自分の芸はお客さんに印象付けなければならない。この呼吸が難しい。(略)寄席の寸法に合わない芸人・・・つまり自分の個性を寄席という空間の中で抑えられなくなってしまった芸人は寄席には出られなくなるんだ。この本(副題・「現代寄席人物列伝」)が如何にサービス満点かを説明するためにはその構成を説明するのが手っ取り早い。
10人(組)のそれぞれについて先ず顔写真と簡単な紹介が表紙代わりになって裏をめくると、たとえば「あした順子・ひろし」で言えば「漫才師になりたい人へのアドバイス」と連絡先が1頁。順子さんだと
お互いに信じ合うことが一番。互いに理解し合って、やさしさといたわりがなければ、コンビは長続きしません。「なんだ、この人は」なんて疑ったら、終わりですよ。ついでその人の芸の特徴が実況中継のように描写される。
ここで俺などはもう寄席気分。
それから彼・彼女の生い立ちと何故その芸人になったかの動機やエピソード、その後の苦労話や喜びが活き活きと語られて、その間にその芸の歴史も要領よく紹介される。
写真も添えられている。
途中で「離合集散を繰り返す噺家団体と寄席との相関関係」「噺家と破門」とか「色物芸人は差別されているのか?」「寄席の符丁」というコラムが挿入されている。
「金ちゃん」「とうすけ」「載せる」、分かりますか?「お客」「顔」「食べること」の符丁です。
寄席ミニ百科の観がある。
楽しく読み終わると相当な寄席通になった気がする。
今度誰かに薀蓄ひけらかしたくなる。
それにしても寄席のワリ(日当)の少なさ!
高校生がコンビニでアルバイトするより少ない。
もっとも、寄席で儲けようなんて考える芸人はひとりもいない。寄席は自分から出る「修行の場」であり、ホール落語や地方の落語会は呼ばれて出かける「ハレの場」。当然、お足のケタが違う。のだと。
逆に2700円くらいで一日9時間でも居続けられる客の方からみたら寄席が如何に有り難い場所かということだろう。
小三治がウケを強要するようなえげつない芸をしていた小円歌を楽屋でこっぴどく叱った(彼女の師匠は円歌だが)、とか行き詰っていた小雪に「見ていてポカポカ温かくなるような高座にしたら」とアドバイスした話などいい話だネ。
放送メディアと言えばラジオしかなかった子供の頃、「寄席中継」を、耳をそばだってて聴いていた覚えがあります。漫才ではアチャコ、エンタツ、落語では「ばあさんシリーズ」が持ちネタの古今亭今輔(5代目)が特に印象的でした。私の本棚を見ると20代の頃に買ったと思われる「古典落語全集」(講談社文庫)があります。と言うことは、しばらくの間は落語に興味を持っていたと言うことです。いなかですから、生の落語を聞く機会もありませんが、死ぬまでには(おおげさですが)一度寄席で落語を聴きたいと思います。
はっきりした記憶ではないのですが、小さん(?代目、談志の師匠)が勲章をもらったことがありました。
芸人(落語家にかぎらず)が勲章をもらうと、とたんにその芸人(芸能)に対する興味がなくなるというヘンな癖が私にはあります。ひょっとして落語もそうだったのかな。
はっきりした記憶ではないのですが、小さん(?代目、談志の師匠)が勲章をもらったことがありました。
芸人(落語家にかぎらず)が勲章をもらうと、とたんにその芸人(芸能)に対する興味がなくなるというヘンな癖が私にはあります。ひょっとして落語もそうだったのかな。
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my_poppy at 2007-08-01 00:39
寄席って、素敵な空間ですね~。そして、芸人さんたちにとってはちょっぴりやせ我慢もしなくちゃならない、粋な場なんですね。。自分だけ目だっても駄目という。
御本も、親切で嬉しいです。それを語る佐平次さんの文も生き生きとしていらっしゃって、にっこりしながら拝見しておりました。^^
御本も、親切で嬉しいです。それを語る佐平次さんの文も生き生きとしていらっしゃって、にっこりしながら拝見しておりました。^^
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saheizi-inokori at 2007-08-01 06:28
umeさん、金馬もきっと聞いたのでしょうね。
今聴いても面白い。ラジオの前に正座して聴いていたという人とこの間思い出話に花を咲かせました。
今のだらだらしたテレビドラマとかニュースショーに比べどれほど密度の濃い時空間だったことか!
今聴いても面白い。ラジオの前に正座して聴いていたという人とこの間思い出話に花を咲かせました。
今のだらだらしたテレビドラマとかニュースショーに比べどれほど密度の濃い時空間だったことか!
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saheizi-inokori at 2007-08-01 06:29
my_poppyさん、ありがとう。ほんとに楽しい素敵な人を素敵に紹介した本です。お勧めします。
by saheizi-inokori
| 2007-07-31 21:19
| 今週の1冊、又は2・3冊
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