コストパフォーマンスは新自由主義時代の負けだね 「傷だらけの男たち」と「地下室のメロデイー」

「傷だらけの男たち」、考えてみればいかにもベタな題名、そう思ったときに止めればよかったんだ。
「インファナルアフェア」のメンバーが絡んでいると言う宣伝文句につられたのと「パイレーツオブカリビアン」で不完全燃焼の”アクション見たい!”感が満たされるかと思ったら大カラブリ。
前半思わせぶりな、しかし何の意味もないシーンをグダグダとつないで行く。
後半ドタバタと種明かし。有り得ない不自然なストーリー、頭の悪い俺には未だに飲み込めない人物がチョロチョロする。
複雑な人間登場も映画の深みを増すわけではない。基本の枠組みは単純そのもの。

「お楽しみはこれからだ」の期待だけで最後までみてしまった(ケチだからか)。

家で食後一休みしながら衛星放送をザッピングしていたらジヤン・ギャバン!
懐かしくてそのままにしていたらアラン・ドロン!
カンヌのカジノを強盗する話。
モノクロだし合成技術など稚拙な頃の映画。
余りお金もかかってないような撮影なのに面白い。
もって回った描き方をしないのにスリルありユーモアとエスプリありで最後まで観てしまった。

コストパフォーマンスは新自由主義時代の負けだね 「傷だらけの男たち」と「地下室のメロデイー」_e0016828_23595947.jpg
アラン・ドロンが初々しくカッコイイけど育ちの悪い生地をチラっとみせるチンピラ、それを苦々しく思いながらも年を取って自分では出来ない役割をやらせなければならないギヤングがジャン・ギャバン、渋いなあ、惚れ惚れするぜ。

ラストで完全犯罪がずっこけるのはこの映画が嚆矢かも、あと「太陽がいっぱい」とか「オーシャンと11人の仲間」など。
映画の題名は「地下室のメロデイー」。1963年。BGMは聞いたことのある人も多いはずだ。
お金をかければいい映画が出来るというのはそれなりの監督や脚本が存在することが前提だ。
巨額の資本を投資することがかえって無意味なシーンを増やし俳優のいい加減な演技を招く。
それは映画界の自殺行為なのになあ。
Commented by fuku(ginsuisen) at 2007-07-27 00:18 x
今夜は「危険がいっぱい」でした。ジェーン・フォンダの若くて可愛くて美しいこと。映画に思い入れをみんなが感じて作っていましたね、このころは。
Commented by 高麗山 at 2007-07-27 00:41 x
地下室のメロデイー、ジャンギャバンでコメントしようと思いましたが、「嚆矢」で挫折してしまいました!  残念。。。
Commented by antsuan at 2007-07-27 06:06
ジャン・ギャバンやアラン・ドロンが有名な俳優とは知らず、しかもフランス映画だとも気がつかないで観に行ったのが「地下室のメロディー」でした。ハッピーエンドでないところがギャング映画でも救われますね。スティーブ・マックィーンの「ゲッタウェイ」は嫌いです。
Commented by saheizi-inokori at 2007-07-27 10:00
fukuさん、粋だったですね。ヒタスラこれでもかとスペクタルやCGの多用、アメリカ映画は壁にぶつかってしまったように感じます。
なによりも映画の楽しさ、いとおしむ心が感じられない。興行収入が全てみたい。
Commented by saheizi-inokori at 2007-07-27 10:53
高麗山さん、すみません。
それ以前にもあったかもしれませんね。
Commented by 散歩好き at 2007-07-27 21:12 x
高校時代は映画を見たくても見られない雰囲気でただ羅列すると「河は呼んでいる」のパスカル・オードレ。「3月生まれ」のジャクリーヌ・ササール。「愛情の花咲く樹」のモンゴメリー・クリフト。「死刑台のエレベータ」ジャンヌ・モロー。「従兄弟同士」ジャンクロード・ブリアリ。「戦争と貞操」のタチアナ・サモイロワ。邦画で赤木圭一郎。支離滅裂で済みません。
社会へ出てかは映画は殆んど見ていません。
Commented by saheizi-inokori at 2007-07-27 22:03
散歩好き さん、「河は呼んでいる」!あの曲覚えていますか。「デイユランヌ河の流れのように~」懐かしいです。「死刑台のエレベーター」も主題曲がよかったです。
Commented by fumiyoo at 2007-07-28 09:22
この時期フランス映画全盛期ではありませんでしたか?私も幼いながら、良く見ました。「太陽がいっぱい」アランドロン確かにカッコイイが育ちの悪さがチラッ・・あれはフランス映画の妙ですね。ジャンギャバン・・渋いの一言ですが、存在感が圧倒的でした。「地下室のメロデー」「↑の人が書かれてる「死刑台のエレベーター」「従兄弟同士」・・それに「軽蔑」コレは忘れられない映画になりました。我々は明治維新の時、入欧した。それは正解だったんだろうけど、その遺伝子が今なお我々に受け継がれているのか?やはり、アメリカ映画の単純さもオモシロいし、アジアの映画も良いのがたくさんあるんだろうけど、若い頃にみたフランス映画はその後の生活にも影響した・・とおおげさかも知れませんが思います。
Commented by ちゃめ at 2007-07-28 11:48 x
 最近の映画はあまり見ていないのですが、仰るとおり、映像の迫力で押し捲ってくるような印象が強いですね~。
 結局、見た後の印象はどれもあまり変わらないという感じです。
 古い映画をのんびりと見たくなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2007-07-28 19:14
fumiyooさん、たしかに私たちの感性のどこかにフランス映画の影響がありますね。
意識してはいないけれど。今の若い人たちはアメリカが圧倒的でしょうが。
Commented by saheizi-inokori at 2007-07-28 19:16
ちゃめ さん、私も二つの映画を見比べて始めてわかったことでした。
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by saheizi-inokori | 2007-07-27 00:10 | 映画 | Trackback | Comments(11)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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