拾う神は救われる？

駅で前を行く女性が白い衣類を落とした。
「もしもし、も～し」、聞こえないままに角を曲がってしまう。
拾ってかけて行ったら気がついたらしくて戻ってくるところ。
「ハイ」と渡したら、嬉しそうな顔をしないで「すみません」。
むしろちょっと怒ったような顔。

電車に乗って珍しく座れた。
前を通った女性がボタンを落としてそのままひとりおいて隣に座った。
丸い、手の込んだ刳り貫き模様が入ったボタン。
気がつかないようだから拾って「ハイ」と渡した。
「すみません」、やはり嬉しそうじゃない。
バツの悪そうな顔。

「すみません」といわずに「有難う」といえば笑顔になったかも知れないなあ。
謝るのと感謝するのとは随分違うようだ。
現代人は他人と距離を置こうとするから謝ってしまう。
感謝するってことは距離を縮めることになるモンね。


立て続けに若い女性とのちょっとした遭遇があってロマンスに発展することもなくランチタイム。
いつもの定食屋に久しぶりに行った。
どこまでも歩きたくなるようないい天気だものね、暑いけど。
4人がけのテーブルにひとりでいたら、二人連れの若い女性が入ってくる。
「相席お願いします」、店の人が言うと俺のほうをみて、肩をすくめて「いいです」と出て行った。
ゆっくりひとりで食べられるのは良いけれどちょっと、、。又距離を置かれた。

なんとなくオジサンの孤独をかみ締めながら「サワラの塩焼き」もかみ締めて帰途いつもの古本屋で買ったのが写真の本たちだ。
先日書いた「座右の名文」で読みたい本として挙げた本が並んでいた。
「日本の神々」というアルバムに「玉勝間」（上下）も入れて5冊で1800円！

若い子には敬遠されても本の神さまは見捨てていないんだ。