”梨木ワールド”」は癒しの世界 「家守綺譚」と「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 (新潮社)
2005年 08月 21日
「家守綺譚」は、大分前に読んで、その独特の世界に引き込まれてしまった。河童は出てくる。庭のサルスベリが人語を解する。亡き友がしばしば友の家を守る主人公・作家を訪れてくる。ちょっと内田百閒の短編・たとえば「冥途」などの趣も感じる。漱石にもあるなあ。「夢十夜」だったっけ。
「西の魔女が死んだ」は「家守・・」をワクワクしながら読んだ俺のことを喜んで、本屋の平台から俺に声をかけてきたのだ。「こっちもよ」と。こちらは”魔女”は登場するが、サテ魔法は?ネタバレにならないようにここまで。でも、そのネタのところで俺ともあろうものが不覚にも涙ぐんでしまった。
どちらもお伽噺。とても優しい。どちらも、死ぬのが怖くなくなる。絵本を読むようだ。素敵な絵が描かれている植物図鑑。こういう本を読んで心を清めて欲しいものだ、世のタケダキシキ者たちよ。作品としては「家守・・」が完成度が高いと思うけれど「魔女」には梨木さんの資質が素直に表れているようで愛すべき作品だ。それにしても今の子供たちにとって学校での友人との付き合い方ってよほど難しいものなんだなあ。「対岸の彼女」でも重要なモチーフになっていたし。
「西の魔女・・」の表紙は早川司寿乃が書いていて、とてもいいのだが、その絵の意味を彼女自ら文庫版の解説の中で説明している。太陽の光の分解、美しく実った果実がおばあちゃん、精神の普遍性、受け継がれていくべき種。早川さんが読者にこの本を味わい深く読むために、3つの提案をしている。これも素敵な提案だ。味わい深く生きていくための提案でもある。
この2作品の植物アルバムを創って下さったかたがいます。
http://mother-goose.moe-nifty.com/ehondouwa/
(このアドレス、前に間違って掲載しました。粗忽なことで、関係のかたがたにご迷惑をおかけしたことをおわびします)。
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from ほのぼの文庫
at 2005-08-22 16:14
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from 月乃春水 ツキノ・ハルミ..
at 2005-08-23 05:27
タイトル : 梨木香歩さんの作品に出てくる植物
bk1書評の鉄人 、まざあぐうすさんのブログ ほのぼの文庫 では、梨木香歩さんの作品に出てくる植物の写真を見ることができます。 素晴らしい… 作品をより深く味わうことができますね。 まざあぐうすさん、ありがとうございます。 からくりからくさ post... more
bk1書評の鉄人 、まざあぐうすさんのブログ ほのぼの文庫 では、梨木香歩さんの作品に出てくる植物の写真を見ることができます。 素晴らしい… 作品をより深く味わうことができますね。 まざあぐうすさん、ありがとうございます。 からくりからくさ post... more
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from 笑う猫には福来たる。
at 2005-09-19 10:51
タイトル : 梨木香歩 「西の魔女が死んだ」
学校でいじめられ不登校になってしまったまいはおばあちゃんの家でしばらく過ごすことになります。英国人のおばあちゃんから魔女の血筋だと聞かされたまいは戸惑いながらも魔女修行に励むのですが・・・。 この小説は児童文学に分類されているそうで、確かに読みやすいし道徳的な内容でもあります。人が生きていくための基本姿勢がおばあちゃんによって示され、それをまいが一生懸命遂行し、精神的に強くなっていく成長物語ともとれるでしょう。なので、小学生あたりが読むのにもってこいではありますが、私はあえて大人に読んで欲し...... more
学校でいじめられ不登校になってしまったまいはおばあちゃんの家でしばらく過ごすことになります。英国人のおばあちゃんから魔女の血筋だと聞かされたまいは戸惑いながらも魔女修行に励むのですが・・・。 この小説は児童文学に分類されているそうで、確かに読みやすいし道徳的な内容でもあります。人が生きていくための基本姿勢がおばあちゃんによって示され、それをまいが一生懸命遂行し、精神的に強くなっていく成長物語ともとれるでしょう。なので、小学生あたりが読むのにもってこいではありますが、私はあえて大人に読んで欲し...... more
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from ナナメモ
at 2005-11-10 13:02
タイトル : 「西の魔女が死んだ」梨木香歩
西の魔女が死んだ梨木 香歩「西の魔女が死んだ」ママのママでイギリス人のおばあちゃんが亡くなった。おばあちゃんの家に向かうまいは二年前おばあちゃんの家で過ごした1ヶ月を思い出していた。中学2年生の5月。学校に行きたくなくなったまいはおばあちゃんのところに...... more
西の魔女が死んだ梨木 香歩「西の魔女が死んだ」ママのママでイギリス人のおばあちゃんが亡くなった。おばあちゃんの家に向かうまいは二年前おばあちゃんの家で過ごした1ヶ月を思い出していた。中学2年生の5月。学校に行きたくなくなったまいはおばあちゃんのところに...... more
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from 日だまりで読書
at 2005-12-13 08:01
タイトル : 「西の魔女が死んだ」梨木香歩
引き続いて梨木香歩。 日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞などに輝いた作品です。 だから児童書なんだろうな〜、これ。 西の魔女、おばあちゃんのカント... more
引き続いて梨木香歩。 日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞などに輝いた作品です。 だから児童書なんだろうな〜、これ。 西の魔女、おばあちゃんのカント... more
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from たりぃの読書三昧な日々
at 2006-01-15 19:50
タイトル : 「西の魔女が死んだ」(梨木香歩著)
最近書店で、その書店のおすすめ本に小学校高学年から中学生を対象に書かれたような本をちょくちょく見かける。 そんな中の一冊に「西の魔女が死んだ」 梨木 香歩著 がある。... more
最近書店で、その書店のおすすめ本に小学校高学年から中学生を対象に書かれたような本をちょくちょく見かける。 そんな中の一冊に「西の魔女が死んだ」 梨木 香歩著 がある。... more
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from たりぃの読書三昧な日々
at 2006-01-15 19:51
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from イイオンナの為の「本ジャ..
at 2006-01-31 23:59
タイトル : 梨木 香歩「西の魔女が死んだ」
今のように本を読み出すようになる、ずーっと前。 小学校の頃はいわゆる「児童書」というものをたくさん読んでいました。 大好きな先生の影響です。その先生は面白い本をたくさん教えてくれました。 あれからもう20年近くが経ちます。 最近はずっかりご無沙汰だった児童文学... more
今のように本を読み出すようになる、ずーっと前。 小学校の頃はいわゆる「児童書」というものをたくさん読んでいました。 大好きな先生の影響です。その先生は面白い本をたくさん教えてくれました。 あれからもう20年近くが経ちます。 最近はずっかりご無沙汰だった児童文学... more
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from about ・ぶん
at 2008-08-05 10:11
タイトル : 映画ー『西の魔女が死んだ』
映画 長崎俊一監督 原作:梨木香歩(同名タイトル)による。原作もロング・セラーだとか。彼女の本は読んだことあるけれど、この本は名前も知らなかった。 年若き友人がヨーロッパのある国への引越しに向かう機中で見て、じ~んとしたと教えてくれたので、、、。 家族で暮らす初めてのヨーロッパの生活、沢山、沢山エンジョイして来て下さい♪ ... more
映画 長崎俊一監督 原作:梨木香歩(同名タイトル)による。原作もロング・セラーだとか。彼女の本は読んだことあるけれど、この本は名前も知らなかった。 年若き友人がヨーロッパのある国への引越しに向かう機中で見て、じ~んとしたと教えてくれたので、、、。 家族で暮らす初めてのヨーロッパの生活、沢山、沢山エンジョイして来て下さい♪ ... more
はじめまして。ぽんと申します。
トラックバックいただきまして、記事を拝見しました。
えーと、
>この2作品の植物アルバムを創って下さったかたがいます
として、わたしの記事を参照されていますが、アルバムを作った方はリンク先の「ほのぼの文庫」のまざあぐうすさんです。わたしはリンクをしているだけですので、記事の訂正をお願いします。
誤解を招くようなリンクの仕方をしてしまい、申し訳ないです。
突然のコメント失礼しました。
トラックバックいただきまして、記事を拝見しました。
えーと、
>この2作品の植物アルバムを創って下さったかたがいます
として、わたしの記事を参照されていますが、アルバムを作った方はリンク先の「ほのぼの文庫」のまざあぐうすさんです。わたしはリンクをしているだけですので、記事の訂正をお願いします。
誤解を招くようなリンクの仕方をしてしまい、申し訳ないです。
突然のコメント失礼しました。
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こんにちは。TBありがとうございます。
梨木香歩さんの世界、とてもいいですね。
植物アルバムをお作りになったまざあぐうすさんの「ほのぼの文庫」は↓です。
http://mother-goose.moe-nifty.com/ehondouwa/
梨木香歩さんの世界、とてもいいですね。
植物アルバムをお作りになったまざあぐうすさんの「ほのぼの文庫」は↓です。
http://mother-goose.moe-nifty.com/ehondouwa/
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saheizi-inokori at 2005-08-25 10:09
ぼんさん、月乃春水さん、ありがとう。そしてごめんなさいでした。昨日、「りかさん」「からくりからくさ」「エンジエル エンジエル エンジエル」買いました。
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waraneko at 2005-09-19 10:47
梨木さん、いいですね。読んだ後、背筋をピンとのばさなければって思います。新刊の「沼地のある森を抜けて」は図書館に予約を入れるタイミングが悪く、まだ読んでいません。
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そら
at 2005-12-13 08:12
x
おはよー♪今日は一段と冷えますが、おひさまがまぶしいです。
saheizi-inokori さん、お言葉に甘えて、「梟さん」と呼ばせてもらっちゃおう!(コメントがあちらこちらに飛んでいて、ごめんなさいね)
よかった。私の中ではもう既に「梟さん」なのだもの。
梟さんは「西の魔女…」のあそこで涙されたのね。
私は泣きそうと思ったけど泣かなかった!ちょっと意地になって頑張った(いや、がんばるところじゃないと思うんだけど^^;)
本当に、おっしゃるように優しいお話でしたね。
心の奥底にすーっと入って、ポッと灯火がともるようなお話でした。
どーでもいいんですけど、「粗忽」という言葉、久しぶりに聞きました。
何だか、日本語ってきれいだなと思いました。
saheizi-inokori さん、お言葉に甘えて、「梟さん」と呼ばせてもらっちゃおう!(コメントがあちらこちらに飛んでいて、ごめんなさいね)
よかった。私の中ではもう既に「梟さん」なのだもの。
梟さんは「西の魔女…」のあそこで涙されたのね。
私は泣きそうと思ったけど泣かなかった!ちょっと意地になって頑張った(いや、がんばるところじゃないと思うんだけど^^;)
本当に、おっしゃるように優しいお話でしたね。
心の奥底にすーっと入って、ポッと灯火がともるようなお話でした。
どーでもいいんですけど、「粗忽」という言葉、久しぶりに聞きました。
何だか、日本語ってきれいだなと思いました。
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saheizi-inokori at 2005-12-13 10:03
粗忽の使者、という落語もあります。粗忽者は落語界の主役です。
こんばんは!
「西の魔女が死んだ」しか読んだことがないんですけど。
佐平次さんと同じく、本屋の棚で本が私をよんでいたんです。
なにげなく手に取り、題名になんとも言えない感覚が生まれて、
思わず内容も確認せずに買ってしまいました。
あっという間に読んでしまいましたね・・・確か一晩。
ラストは「やられたぁ~!」と感動してしまいました。
その頃、娘は小学校5年生、「いいから読んでごらん」と
すすめましたが、途中でやめてしまいました。
ところが、中学生になって再び彼女はこの本を手にしました。
理由はわかりませんが・・・。
そして、彼女の愛読書の中の一冊になりました。
「最後がいいんだよねぇ~」とめずらしく素直に語りました。
「西の魔女が死んだ」しか読んだことがないんですけど。
佐平次さんと同じく、本屋の棚で本が私をよんでいたんです。
なにげなく手に取り、題名になんとも言えない感覚が生まれて、
思わず内容も確認せずに買ってしまいました。
あっという間に読んでしまいましたね・・・確か一晩。
ラストは「やられたぁ~!」と感動してしまいました。
その頃、娘は小学校5年生、「いいから読んでごらん」と
すすめましたが、途中でやめてしまいました。
ところが、中学生になって再び彼女はこの本を手にしました。
理由はわかりませんが・・・。
そして、彼女の愛読書の中の一冊になりました。
「最後がいいんだよねぇ~」とめずらしく素直に語りました。
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saheizi-inokori at 2006-02-03 08:33
園長さん、おもちちゃん、同じところで感動したなんて!そのことが感動だ。あったこともない俺もだぜ!そして今日ののじ丸!俺もああいうカッコウよくしたよ。何で面白いのか自分でも分からないけれど面白いんだよな。
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bs2005 at 2008-08-05 10:11
こんなに沢山の人が感銘を受けているお話だったんですね~。映画を観るか、本を読むか、あるいは両方とも、是非と思っています。TB有難うございました!
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saheizi-inokori at 2008-08-05 22:39
bs2005さん、好きになるかどうか、一度は読んでみる価値はあるように思います。
by saheizi-inokori
| 2005-08-21 23:25
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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