アリバイつくりの”改革”に泣かされるのは現場だよ

コンプライアンスとか内部統制とかマスマスうるさいことになってきて(その割りに不祥事・スキャンダルが続発するのが不思議なのだが)どの会社も規程の整備などを始めている。

たとえば現金の扱いをする人を限定しておいて一人で勝手に出来ないように社内で相互牽制の仕組みを作るとか。
神ならぬ身ゆえ誘惑にも弱いし、ミスだってあるから複数の人間がチエックする仕組みを作るのは結構なことだ。
俺のようなボケになると、こちらからお願いしたくなるくらいだ。

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問題はチエックの仕組みは作るのだが、それを実行するかどうかをチエックする仕組みまでは作らない。
だから上司は部下の行為をチエックする(そんなことは規程に決めなくたって当たり前だのクラッカーではあるんだけれど)と決めてもいつの間にかナアナアでメクラ判(これって自粛言葉らしいが他の言い方を知らない、視力障害者判なんて言う方がよほど差別的だ)、ひどい場合は「ハンコ預けとっから」になってしまう。

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チエックをすることを担保するルールを決めることがもっとも大事なのだ。
たとえば、経理部長は毎月定例的にチエックしたことを常務会に報告することをルール化するのだ。
常務会事務局は最初から会議議題に「チエック報告」を書いておく。
企画・計画→実行→検証・反省があって又→次の計画に戻っていくといういわゆるビジネスサイクルのことは大抵の教科書にも載っている。
ところがそういうことを新人に教える様な立場の人が案外「言いっぱなし」「決めっぱなし」「やりっぱなし」であることに平気なのが俺には不思議でしょうがない。

まあ、本気でチエック・検証をすると、えてして決めたことに内包される矛盾とか現実離れだったことが分かってその収拾・解決にはそれこそ「本気で改革=自己否定」が必要になることが多いということに気がついていて逃げているのかも知れないなあ。
要するにアリバイつくり。

写真、上は千駄木で。下は日暮里・川村「牡蠣せいろ」。
Commented by antsuan at 2007-03-29 23:17
当たり前だのクラッカー、小学校の作文にこの言葉を書いて先生にエラク怒られたのを思い出しました。
 部下の不祥事の責任をとる覚悟が出来ていればなんも言う事ないのですがね。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-29 23:28
antsuanさん、こんばんは。
クラッカーなんて今の子わかるかなあ。
まったくその通り、上の人間の責任感の問題ですよ。アメリカ人にはそういう感覚がなく巨額の報酬を貰って直ぐ辞めていくような経営者が多いから必要な”内部統制”システムを形だけ導入して事タレリとする日本の経営者もだらしがないですね。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-30 04:30
>どの会社も規程の整備などを始めている。

そのお陰でアタシャー11月の下旬から大晦日も元日もぶっ飛ばして15時間労働の連続。
国内でも外国人の役員社員が増えているし、海外の出先にも徹底しなければならないってのが理由なんですけど、まず「ヤッテマスヨー」かな?
アタシャ、ゼニ貰えるからいいけど。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-30 17:40
Count_Basie_Bandさん、内部統制なんてのもコンサルや会計士のビジネスチャンスを増やすのが隠れた目的かもしれませんね^^。
Commented by gakis-room at 2007-03-30 19:24
「当たり前だのクラッカー」の前田製菓は大阪の会社です。藤田まこと主演の「てなもんや三度笠」で有名になりました。私の高校〜大学時代のことです。関西地区限定の番組とばかり思っていましたが,関東でも放映されていたのでしょうか。
ところで,チェックの仕組みはいろいろ机上で作成されるのですが,それを命じるトップ(全員かな?)の品性がそのままでは何も変わらないように思います。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-30 23:27
gakis-roomさん、白木みのるでしたっけ、コンビで驚異的な視聴率を撮った番組、関東も見ていましたよ。
トップにきちんとしたものがあれば仰々しくシステムなど造らなくても収まるところに収まるはずだと、思います。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-31 08:46
saheizi-inokoriさん、

>コンサルや会計士のビジネスチャンス

さすが炯眼ですね。
先日、中央青山は消えましたが、外部監査における日本と欧米諸国との根本的な違いは、監査報酬の支払い方式です。日本では被監査企業が監査法人に直接支払います。さらに何十年経っても担当監査法人は代わりません。被監査企業が変える意志を持たないかぎり代わりません。そして被監査企業は担当監査法人の幹部や担当会計士の家族の面倒まで見ています。進学、就職、結婚などすべてです。
欧米、特に米国の監査法人+系列コンサルタント会社にとってはまさに「黄金の国ジパング」です。そこで日本の行政および金融政策のトップを脅して自分たちのビジネスチャンスを広げさせてきました。
これで誰の仕業か明らかでしょう。
私が頂くオコボレなんて大海の一滴。
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by saheizi-inokori | 2007-03-29 23:07 | 梟のゴタク | Trackback | Comments(7)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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