二つの話 トップの責任は大きいよ

まず30代の銀行員、社長(今は銀行でも全部が頭取とはいわないのか)たちトップの前で意見発表をしたそうだ。
何を話したか知らないが「現実的じゃない」とケチョンパだったって。
どういう場なのかと聞いたら、社内活性化のための小グループ活動発表なのだと。
社員が会社はかくあるべし、を考えて発表しろということらしい。
「じゃあ、社長は銀行をどうしたい、ということを具体的に示しているんだね?」と聞くと
「それは君たちが考えろみたいな感じでした」という。二つの話  トップの責任は大きいよ_e0016828_014133.jpg

そりゃ、聞こえません伝兵衛さん、だ。
銀行自体が何を目指すか、どういう企業になろうとするかは優れてトップが明らかにすべき事柄だ。
それを明らかにした上で、その目標を達成するために社員の意見を聞くとか、目標について共通理解を深めるためにデイスカッションさせたりするのは分かるけれど根っこから社員に議論しろってのは無責任だ。
せいぜいのところが社長も一緒になって目標策定会議を行なうというなら分かるけれど。
そもそも社長を身近に見たのはこのときが初めてだと、まるで外国に本社があるみたいな話にも驚いた。
道理でどの支店に行ってもフロントや案内の社員が目をつり上げて声を枯らして、そうして不機嫌なお客を裁いている。
日に日にめんどくさくなる銀行の窓口だもの。

もうひとつ、これはある優良・大企業のトップの話。
最近の若い社員が自分達の若かった頃から見るとまったく去勢されたように大人しく上司に抵抗することなんてまず見当たらないのだそうだ。
自主的にものを考えることも少なくいわゆる”指示待ち”型が多い。
俺もその企業のことを少しは知っているが、確かに指示待ちというより無責任かつ保身の塊が多いように感じる。
そのトップはこのままでは自分の会社の先行きが心配だと真剣に悩んでいた。

二つの話  トップの責任は大きいよ_e0016828_095699.jpg
お気の毒だが、それは我と我が身に跳ね返ってくる話だ。
確かに若い子たちに覇気や突進力が足りないように思う。
なぜなら、それはその企業がそういう社員に育てている・しかも実のところはそういう社員を可愛いと思っているからだ。
もっといえば若い子とトップをつなぐ中堅管理部門ないし役員諸侯が覇気も突進力もなくひたすら保身に走っているということ。
それはトップがそういう部下で周りを固めたからなのだ。
総論では活性化とか「古い壁をぶち破れ」というものの各論では「但し俺は例外だ。俺の言うことは金科玉条だぞ」というのが多くのトップの本音だ。
そういうトップこそブレークスルーをするどころか過去の成功体験に寄りかかって延命治療に身を委ねているのだ。

それではブレークスルーする子なんて現れないさ。
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2007-03-20 05:03
タイトル : Naiveな人々
E-DIC(朝日出版社)からの引用 ***************** naive せけんしらず[世間知らず] 日本語の「ナイーブ」即、英語のnaiveではないことに注意。「ナイーブ」は「(神経が)繊細な」の意味で使われている。英語ではsensitiveがこれにあたる。英語のnaiveには「天真らんまんな」とか「無邪気な」のほかに「経験に欠けた」「世間知らずな」の意がある。普通、口語では後者の意で使われることの方が多いと言えるだろう。つまりYou're very naive.と言われても、無条...... more
Commented by antsuan at 2007-03-14 07:22
目的が見えない仕事に熱意が湧く訳ないですよね。
大工さんや植木職人、板前さんみたいに、働く気概のある技術労働者が、個人事業主としてやって行ける環境作りが必要ではないかと思います。
Commented by otayori at 2007-03-14 08:51 x
どんな集団にもいろいろありますよね~
そんな中でも、力を出していくしかないのでしょうか。。

我がオットなど、毎月70時間くらい時間外で働いていますが、手当は数千円です。聖なる奉仕の心ばかり求められてもですね~~
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-14 09:37
antsuanさん、よしんば企業としての目標を明確にしても実際にやるのは派遣とかパートの人たち、というケースが増えてます。
正社員や管理職だけの「お客様第一」などという企業の接客はそれとは関係のないアルバイトスタッフが担っている。どこか変ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-14 09:39
otayori さん、小集団活動というのは”自主的な活動”と位置づけられていますから、残業手当の対象にならない企業が多いのです。
強制されている自主性なのですが。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-14 10:00
>トップがそういう部下で周りを固めたからなのだ。
>過去の成功体験に寄りかかって延命治療に身を委ねている

そして、あるいは従って、致命的になるかもしれない意志決定の時には常にいなくなる。

これら三条件を満たさないトップはなかなか見当たらなくなりましたね。
つまり、これら三条件を満たさなければ組織のトップになれない社会になってしまったのです。

いまや、勝手にしろ、ですけど。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-14 10:18
>個人事業主としてやって行ける環境作りが必要

まず、国民健康保険税を含む税制ですね。
拙稿「変じゃないでしょうか」(02-05)に書いたように、国保の負担は企業などの健康保険組合を遙かに上回ります。そして窓口負担も30%。

個人事業主に残業手当もボーナスもないのは当たり前です。
しかし、サラリーマンの方々にはまったく誤解されているようですが、損金算入を認められる経費の収入に対する率は「給与所得控除」より遙かに低いのです。「給与所得控除」を上回る経費を計上して申告すると「調査」が入って問答無用で「修正申告」させられ、「過少申告加算金」まで取られます。

だから「包丁一本」の板前でも何とかして「会社員」になろうとして会社に服従し、妥協していくのです。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-14 10:29
Count_Basie_Bandさん、経営者の責任感などどこにも見当たらない企業が毎日新聞をにぎわしています。
しかし、氷山の一角でしょうね。
個人事業者になったことがないのでそこまで厳しいとは知りませんでした。そこまで行かなくても毎年税務申告だのいろいろやるのは大変ですね。仕事の腕とそうした事務の才能は別物だろうと思いますが。
Commented by roko at 2007-03-14 19:25 x
耳の痛い話ですね~まるで、現阿部内閣(笑)
私も、銀行系企業に居た事がありますが・・・・本当に、体質古いです^^;
学校でも、社会人になっても・・・抵抗しない「おりこうさん成人」が増殖している・・・・
我日本の将来っていったいどうなるんだろう??
私は、本当に70年代安保の時代に青春を過した先輩達が羨ましいです(苦笑)OLやってた時なんて死んでました・・・・(>_<)
本当に、自由に物を(真の意味の建設的な議論)言えない国や社会だと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-14 22:53
roko さん、70年安保時代に青春した人たちが”転向・挫折”して”えらくなって”いるというのも不思議なことではありますね。
しかもそれを恥じるんじゃなくなんとなく自慢たらしく飲んだ時に回想したり。
Commented by my_poppy at 2007-03-15 01:48
アハ・・、私はそういう「回想」する人の言葉は聞こえないふりしちゃいますね。面倒くさいから。(笑)
佐平次さんは、お見通し・・・透徹していらっしゃいますね。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-15 05:25
70年安保ねぇ。
アタシは安保ってぇと60年の議事堂戦争しか思い出しません。高校時代のコーラス仲間が数人負傷しました。

話の続き。
サラリーマンやサラリーマン家庭の人と話していると、経費計上のことは理解されず「自営業は収入を隠せるからいいですねぇ」としばしば言われます。これぞまさに迷信です。
法人から受け取るお金からは所得税が源泉徴収されています。サラリーマンと同じです。ただし、100万までの部分から10%、100万円を超える部分から20%という粗い金額です。
そして1月になると支払元から「支払調書」が送られてきます。「支払調書」の写しは受取人の住所を所轄する税務署に送られます。税務署に届いて整理されるの夏頃です。それから「支払調書」が発行されている支払について確定申告が済んでいるかどうかチェックされます。申告されていなければ呼び出されます。
つまり、隠せるかもしれないのは個人事業者が個人から受け取るお金だけなのです。しかし徴税当局は預金にもチェックの網を張っていますからいずれ捕まります。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-15 05:25
>仕事の腕とそうした事務の才能は別物だろうと思いますが。

サラリーマン時代は税務を含めた経理が専門だったので私は平気ですし、Excelで自作した帳簿で経費を記録しています。そして経理関係の文書も営業品目にしていますから最新の情報に接しています。
私みたいな自営業者は全国で数人しかいない例外です。だから文筆屋のセガレやデザイナーの姪などの申告を代行してやっています。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-15 08:09
my_poppyさん、でも私もときどき気持ちよく昔話をしていると前の席の子が急に食卓のことを気にしだしたりすることがあるのです。
あわてて話題を変えるのです。
爺さんの話も聞いてる振りくらいしてやってね^^。時には、でいいけど。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-15 08:11
Count_Basie_Bandさん、私はどっちの才能もないから、脱税する意思はないのですが申告しないことがあります.荒い10パーセント引かれているんだからいいやって。
Commented by Count_Basie_Band at 2007-03-15 08:43
>申告しないことがあります

副業=雑収入とみなされる額なら大丈夫ですよ。そんな金額に構っている暇はありません。税務署も効率第一。
もし何か言ってきたら私が話を付けてあげます(^^;)。
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-15 10:15
よろしくお願いします^^。心強いなあ。
Commented by roko at 2007-03-15 23:15 x
>70年安保時代に青春した人たちが”転向・挫折”して”えらくなって”いるというのも不思議なことではありますね。
>しかもそれを恥じるんじゃなくなんとなく自慢たらしく飲んだ時に回想したり。

とても、健全だとおもいますよ♪なんか、いつまでも少年みたいにキラキラしていて・・・ホント!羨ましいです♪(あの時代の方々は本当の親友(戦友みたいな)がいるのです。
そして・・・私は、あの時代の人たちで(生意気ですけれど)日本男児は死滅していると・・・本気で思っています(他の方m(__)m・笑)いい上司がいっぱいいました。
Count_Basie_Bandさんのお話・・・実家が自営なので凄く良く分かります(私は、そこの経理してます)
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-16 00:46
roko さん、今晩は。でも本来は田園で静かに隠棲しているというのがホンとじゃないかな、なんて思うのですよ。
チト厳しいかもね。
Commented by my_poppy at 2007-03-16 11:58
さ佐平次さん、ごめんなさい!!そういうつもりで言ったんではないんです。若かりし頃の宴席を思い出してしまって、つい。。
昭和20年生まれの従兄は、ぶち込まれたクチです。でもあまり話してくれないんですよ。どうせわからないだろうと思っているのかな・・。
私はあの頃の熱気が、よくわからないところがあるので、本当は話を聞きたいんです。先日の書き込みとは矛盾しているようですけれど。きちんと聞きたいというのが本当かな。
静かに隠棲なんて、もったい(笑)!もっといろいろお聞かせくださ~~い!!
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-16 23:00
my_poppyさん、ご心配なく。分かってますよ。
でもほんと、考えてみれば年よりは(若者も?)思い出話好きだよね。
Commented by my_poppy at 2007-03-17 01:02
佐平次さん、
良かった~。これで安心して眠れます。^^
思い出話とはちょっと違うけれど、
子供たちに、まだもの心つく前のエピソードを(あなたはこんなこと言ってたのよとか)話してやると、目を輝かせて聞き入ります。佐平次さんのお孫さんも?
Commented by saheizi-inokori at 2007-03-17 09:11
my_poppyさん、おはよう。寒いですね。
そうだなあ、逆に孫たちにはそろそろいろいろ話してやるべきかもね。
彼らはまだ小さいからもの心つき始めたところだけど、ダンダン昔のことやおばあさんのことなども。
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by saheizi-inokori | 2007-03-14 00:10 | 梟のゴタク | Trackback(1) | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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