笑っている場合？ 「チーム・アメリカ」 ９．１１の１０００倍は？

のっけから、チーム・アメリカは、テロ犯人を殺すのに「このテロを食らえ！」と女性隊員が無表情に銃をぶっ放し、エッフエル塔をぶっ壊し、ルーブル美術館を爆破する。その間に隊員同士の愛の告白もある。全編が真剣さとか、深刻さ、清潔さのパロデイ、というか、そういう美しい立派な顔をしながら、とてつもなくお下品なのが”アメリカと言うチーム”なのだ、といっている。大真面目にふざけるのだ。これでもか、これでもかと４文字言葉やら、オゲレツ言葉の連続。大真面目に。人形によるセックスシーンは、昔何かで見た体位教則本だ。人形劇であることが、有効に、そういう表現を成立させている。音楽も大真面目に美しい・ノリのよい・いい曲ばっかり。しかし、その歌詞はふざけまくり。「パール・ハーバー」のマイケル・ベイが、この世の全てより”糞”なんだと。

ハリウッド・スターたち、マイケル・ムーア、金正日などが実名で登場し徹底的におちょくられる。ハリウッドの俳優協会のスターたちが偽善者として金正日より手厳しくからかわれているように見えた。まっと・でいもん君のかわいそうさ！



「Ｉ’ｍ　ｌｏｎｅｌｙ」とひとり切々とうたう金さん、カワユクみえる。

ゲラゲラ笑っている人もいた。俺は？こういうものに心から笑うような育ち方をしていない。古いのかなあ。あまりにもストレートで。アメリカのユーモアにはこういうのが時々あって、何でそんなにそれがおかしいの？と聞きたくなることがある。小さな子供がウン子やオちんちんのことを繰り返し言ってげらげら笑うのをみると、鼻白ンでしまう。それみたいな。それともこの映画が言いたいことが気に入らないのかも。

敗戦記念日。知覧を特攻として飛び立った若者の遺した言葉をラジオで聞いたり、アフリカの内戦状態で人間の尊厳もなにもかも奪われて生きている子供たちのことを書いてある本を読んだり。

それもこれもあって、イマイチ、そんなに大きな口を開けて笑う気にはなれないのでした。



Ｐ．Ｓ．
ＴＶをポカンと見ていたら今度の選挙９．１１なんだ。映画の中で、９．１１の１０００倍の爆弾が破裂すると言う警告に対して、「９１１の１０００倍？それは９１１０００ということなんだ」と言うギャグがでてくる。落語で「大変(てーへん）と言うことは（てなあ）、そりゃあオメエ、大変なことなんだよ」と言うギャグの方が優れていると思うけれど。比較する頭が”大変”なのかな。今度の選挙で９．１１みたいなインパクトで日本が変わるといいね。