浜の真砂は尽きるとも 世に企業スキャンダルは   映画「エンロン」

ミサワホームがストップ安、買い手がつかない。
子会社の粉飾決算が明るみに出たからだ。
企業の不祥事がいつまでもなくならない。
オープンになれば経営責任者の首が飛ぶだけでなくひどい場合は会社がつぶれてしまう。
それが分かっていても次から次へと実にいろんな”手”が使われる。
ばれると分かっていればやらないのだから、ばれないと思っていたのだ。
ということは実際にばれないですんでいることも多いのだろう。
ミサワホームも6年間続けていたという。

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ミサワの話なんか小さい小さい、と笑ってしまうほどの超弩級企業スキャンダルがエンロンだ。
売上高13兆円、全米第7位の企業、1996年~2001年(6年連続) 『フォーチュン』誌「アメリカで最も革新的な企業」 になったのに見られるように90年代のもっとも輝かしい企業だった。
”規制緩和”の旗を振り続けそこに生じたビジネスチャンスを自らの企業拡大に100パーセント以上生かしていった。
ブッシュ親子との親密な関係がモノをいった。
利益の多くはエネルギーを商品とする先物取引だ。政治力を生かして新しい市場を作り、そこには不正監視の立法なども及ばなかった。
子会社に損失を付け替えて見かけ上利益をあげているようにする。
見かけ上の利益といえば時価会計制度の悪用もフル回転。
従業員に自社株を持たせ、アナリストに提灯持ちをさせて(批判的なアナリスト・証券会社には飴と鞭で攻めあげる)株価を上げ続ける。
カリフオルニアの電力危機なるものもどうやらエンロンの策謀に起因しているらしい。
シュワルツネガー知事はエンロンの救いの神としての側面もあるという。
俺などは何べん読んでも理解できないような”高等な”手口を総動員して儲けまくる。
まあ、悪のデパート。

生粋のアホな俺が分からないのはしょうがないとして、プロである銀行、会計事務所、アナリストなどまで分からなかった。
という。
大嘘だ。
共犯だ。一緒に儲けたのさ。

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胸くその悪くなる企業。
実態がろくでもない会社だから株価操作のからくりが破れれば脆い。
子会社との癒着を暴いた新聞記事がきっかけとなり、わずか46日で倒産する。
負債総額2兆円、失業者2万人。
やりきれないのは経営者は破綻を見越して自分の持っている株を売り逃げして巨額の(何百億円!)利益を手にしているのに対し、会社の嘘の説明を信じて自社株を年金資金に繰りいれていた社員たちは失業した上に紙くずを握らされたことだ。

映画「エンロン」は、エンロンの腐敗がどのように進行し、崩壊して行ったかを関係者の証言と実録の映像や録音テープで明らかにしていく。
よくぞこれだけの資料を集めたと驚く。
天網恢恢・・だね。

ライブドア事件(立件された通りとして)との相似を感じるが規模の大きさ、脂っこく極悪な経営陣とホリエモンでは勝負にならない。

エンロン事件が契機になってさまざまな防止策が検討され日本でも会社法の改正となった。
コンプライアンス、内部統制・・一見万全の体制。
しかし、頭の良い人はいくらでもいる。
法律で縛り、監査の目を厳しくして、・・牽制になるかもしれないが
トップがその気になれば実は多くのことが出来てしまう。
そのことをこの映画は示しているように思えてならない。
嘘をついちゃいけない、なんて法律を改正しなくたって常識だもの。
大きな会社が一人や二人の悪人で自由になるわけはないことも常識、不正が行われればきっと分かるはずなのだ(直ぐにかどうかは別として)。

だから不正が表に出ないのはトップの姿勢に問題があるからだと思う。
Tracked from 書き留めておいた素晴らし.. at 2007-11-20 09:43
タイトル : 天網恢恢疎にして漏らさず。 老子
天網恢恢疎にして漏らさず。 老子の言われた言葉が あまりにも現代社会にマッチしているので、ブログにアップしました。よろしければご訪問ください。... more
Commented by antsuan at 2006-12-19 07:07
戦争を経済活動の一つと見做している国ではの大胆な手口と思いきや、日本の長銀や日債銀のやり方を真似ただけじゃないですか。日本は国民が泣かされ、米国は社員と投資家が泣いた。責任の所在をはっきりさせる事に関してはまだ向こうの方が上ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2006-12-19 08:19
どちらが真似たか、どっちにしてもこういうことでオリジナリテイを発揮してほしくはないですね。
エンロンの元会長は死んでしまったけれど終身刑は間違いないと言われていました。こういうところは日本も真似て欲しい。経営者の罪が軽すぎます。
インチキやって平気で居直っている日銀総裁を真似ているのかも。
まあ、そもそもが三菱とか何とか言っても政府から只同然に土地を払い下げてもらって出来上がってきたわけで、これも今から見れば不祥事でしょう。
Commented by 散歩好き at 2006-12-19 21:27 x
いじめ、子殺し、親殺し、企業の脱税、政治家のモラル喪失etcをTV、新聞で見る限り性悪説をし根底に世渡りをするしか無いと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2006-12-19 23:52
散歩好きさん、残念ながら私も今のトップ連中には期待できません。
でも、若者たちは・・何とかいい世界に生きて欲しいです。
Commented by ちゃめ at 2006-12-20 11:28 x
 エンロンの実録映画ですか?
 興味津々です。

 スキャンダルが表に出るまで、エンロンに就職すると「超優良企業に就職できた」として、親戚一同、友人知人の間で大騒ぎになったそうですね。
 しかし、内部は何処かの会社に良く似た、やれ行けそれ行けの「お祭り騒ぎ」だったそうです。
 それがわずか46日間で瓦解するとは…。

 企業のトップには、その社会的責任の大きさをよく考えて欲しいですね。
 目先の数字に心を奪われ、表面だけの「成長」を取り繕おうとするから、組織ぐるみの虚飾に走るのでしょう。
 日々の地道な前進を怠り、軽薄短小な目先の金儲けばかりを考えているなら、当然の結果でしょうね。
 裏を返せば、彼らは自分に自信が無いのだと思います。
 自分に自信が無いから、虚飾に走るのだと思います。

追記:「常に諸子の先頭に在り」、この本は読まねばなりませんね。
Commented by saheizi-inokori at 2006-12-20 23:13
ちゃめさん、是非ご覧ください。
これを見ると日本の悪どもが可愛く見えてきます。
実録というのが凄いですね。
Commented by makiand at 2008-10-03 09:52
「エンロン」見なくちゃ。
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by saheizi-inokori | 2006-12-18 22:09 | 映画 | Trackback(1) | Comments(7)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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