ウタキ 今帰仁 座喜味 トンマッコル・・人の愚かしさと見守るやんばるの神々

ウタキ 今帰仁 座喜味 トンマッコル・・人の愚かしさと見守るやんばるの神々_e0016828_20212566.jpgウタキ 今帰仁 座喜味 トンマッコル・・人の愚かしさと見守るやんばるの神々_e0016828_20215668.jpg

水族館を見た後、本部町の「紀ノ川食堂」でランチ、最近那覇から移転したという一家の店は素朴な家庭料理。
店にたどり着くまでになんとなく”雰囲気”を感じたのでフト「このあたりにウタキはないですか」と尋ねると「ある」と。

今まで岡本太郎や中沢新一の本で読んでいただけで実際に見るのは初めて、近くにあるというのになかなか見つからず三回も後戻りして聞き直す。

暑い日差しの中に「キィンキョン」ともなんとも不思議な金属を叩くような鳥の声?あれは何かと尋ねれば「鴉」だとか「ウグイス」だとか頓珍漢な問答の挙句、後で別のところで「大島蝉」の鳴き声と教えてもらった、その不思議な音色を聞きながら、途中で「電照菊」(来年のお彼岸に出荷予定・写真右下)の苗を植えているおじさんにも教えてもらって、ついてみれば直ぐ近くの道を外れた林の中にあった、ウタキ。
拝んで写真を撮らせていただいた。
上の写真左がウタキに通ずる道。

古代、琉球という国すら出来ていない頃から、土地の人々が祈り、神と話をしていた森の中の空間だ。
天上の高みにいる絶対神とは違い自ら地上に降りてきて人と交わった古代の神々の、そのおりてこられる場所がウタキだ。

もともとの日本の、環太平洋の神々はこのような森の中の何もない・そこだけ空が見える明るい空間にお出でになった。
人間は時に神になり、熊になり・・神も木の中に住み、魚になり・・宮澤賢治やインデイアンの神話の世界そのものだった時代から存在するウタキ。
それが神社の原型。

今は自動車も通る道とゴルフ場に近接した場所になってしまったが菊作りのおじさんと食堂のおじさんは知っていても、ゴルフ場の工事をしているおじさんたちは知らない場所に密やかに生き続けている”聖なる場所”だ。

下・左が石室の中。
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今帰仁の城跡にも行った。13世紀頃から”誰かに”造られ沖縄の北部を支配していた北山城。
中国と貿易をするなど栄えていたようだが1416年に中山の尚巴志に滅ぼされる。
その後中山の監守の居城として北部を治めるが1609年に今度は薩摩軍に滅ぼされる。
以後は御嶽(ウタキ)として広く参拝されてきた。

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上の写真右が今帰仁城内のウタキ・御内原(ウーチバル)

下の写真は残波岬近くの座喜味城址、築城家として名高い護佐丸(ごさまる)が、15世紀初期に築いた城でアーチ型の門や壁の曲線が美しい。

護佐丸は中山・尚氏に味方して今帰仁・北山攻略に功をあげた後、奄美大島の阿麻和利に謀反を讒訴され王府から討たれる。その王府も結局薩摩に滅ぼされたわけだ。

11月下旬だというのにジリジリと肌を焼く日差しを浴びてここでも命の限りに鳴いている大島蝉を聞いていると異相のモノノフたちが撃たれ虚空をつかみ倒れ伏していく姿が現前したような不思議な感覚に囚われる。

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「トンマッコルへようこそ」という映画は不思議な映画だ。
まるで漫画のようなお話で戦争反対なんて正面から叫ぶわけでもないのに、肩を怒らして「国がどーの」「敵がこーの」という人たちがとんでもないアホに感じられてくるほのぼの映画。
静かな城跡でこの映画のことを思い出した。

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Tracked from 今日の気になるニュース@総合 at 2006-11-29 15:03
タイトル : 岡本太郎さんの幻の作品発見!
約60年間もの間行方不明となっていた、芸術家、岡本太郎(1911~96年)の作品、油彩画と未発表のデッサン画の2点が、東京都港区の岡本太郎記念館で発見されたようです。 2点とも保存状態は良いようで、少し修復を受けた後は、岡本太郎記念館で一般公開される予定です。... more
Commented by ちゃめ at 2006-11-28 00:17 x
 saheizi さん、お帰りなさいませ。
 沖縄、美味しそう、いや、楽しそうですね。
 泡盛は召し上がりましたか?

 ダイバーでもある私は、もちろん沖縄は好きです
 また行きたくなりました(笑)。

 映画「トンマッコルへようこそ」
 すごく気になります。
「ほのぼの」って良いですね。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-28 08:20
ちゃめさん、おはよう。
沖縄こそ”美しい国”というものがあるとすればそれだったのでしょうね。そんな感じがしました。
Commented by knaito57 at 2006-11-28 09:50
拒絶反応を持つほど宗教嫌いの小生ですが、信仰は別です。こういう場所に佇んだら、きっと物思いに沈むでしょう。手ぶらで近くの土手を歩くだけでなく、やはりsaheiziさんみたいに「読んだり・食べたり・旅に出たり」と、インプットに元手をかけなきゃダメかなあ……。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-28 10:40
knaitoさん、土手を歩き続けるのも大変な元手がかかっているのではないでしょうか?ただぼんやりと歩くのではなくいろいろ考えながら観察しながら毎日歩き続けるのは並大抵のことではないと思います。
好きだからというだけのことではないと思います。確かに旅費はかからないのでしょうが。
Commented by suppin-kan at 2006-11-28 12:44
とても素敵な旅を楽しんでらっしゃったのですね。
景色も文化も食べ物も飲み物も素晴らしいところですね。
一方で戦争がまだ終わっていないのだなということを実感させられます。仕事がらみで慌ただしくしか行ったことがないので、一度ゆっくり歩いてみたいです。
Commented by そら at 2006-11-28 13:52 x
梟さん、おかえりなさい♪
この頃、こちらは寒いですからねぇ。
暖かい(暑い?)沖縄から帰ってきて、風邪引かないように気をつけてね。
『トンマッコルへようこそ』、観たいな~と思っていた映画です。
観に行こうかな♪
Commented by tona at 2006-11-28 14:44 x
これらの城跡も世界遺産の1つなのでしょうか。
中国やら薩摩やらに攻められ、沖縄も休まる暇なく世界大戦の悲劇に巻き込まれたのですね。
そうした折々ウタキが心の拠り所として存在したのかと思っていましたが、何か違うような気がしてきまいた。
「トンマッコルへようこそ」話題の映画、観たくなりました。
Commented by YUKI-arch at 2006-11-28 15:14 x
グスクから見下ろす海、周囲は格別ですね。
何度行っても、その時々で、発見があります。
Commented by mitsuki at 2006-11-28 18:54 x
万里の長城とは似て非なる城壁ですね。一瞬「ムー帝国」という単語が頭の中をよぎりました。
彼方に見える電波櫓も、あと1000年経てばりっぱな遺跡になるのでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-29 00:05
suppin-kanさん、好い意味で沖縄は東京とは別の国だと思います。むしろ東北と同じ国かも知れません。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-29 00:06
そらさん、でも今日は新宿で楽しいお酒を飲んできましたから大丈夫^^。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-29 00:08
tonaさん、沖縄の古いグスクがまとめて世界遺産になっているようですよ。トンマッコル、楽しいですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-29 00:09
YUKI-arch さん、私はまだ数えるほどしか沖縄経験がありません。
しかしますます惹かれます。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-29 00:10
mitsuki さん、電波塔は、さて、どんなものでしょうか。1000年持つのだろうか?
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by saheizi-inokori | 2006-11-27 21:52 | こんなところがあったよ | Trackback(1) | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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