ネギよ 鴨よ 岩舟よ~オレタチャ蕎麦なきゃ生きられない 大塚・「岩舟」賛歌

ネギよ 鴨よ 岩舟よ~オレタチャ蕎麦なきゃ生きられない 大塚・「岩舟」賛歌_e0016828_2165367.jpgネギよ 鴨よ 岩舟よ~オレタチャ蕎麦なきゃ生きられない 大塚・「岩舟」賛歌_e0016828_2174913.jpg

京浜東北線で品川から田町に入る寸前
 山手線と東海道線の電車がグーンと近づいてくる

田端の橋の上から見るヤードの景色 
とくに夕方 ”青大将” ブルトレが夕闇をついてお客様を迎えに上野に走るのもいい 
食堂車の明かりがわずかばかりの旅の思い出を映し出す

 こういう景色にわくわくすると 「俺も男の子だなあ」と思うよ
スピード 力強さ 技術の粋 
俯瞰 聞こえるのは轟音であったり金属音
見知らぬ人々は点景

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大塚・岩舟の窓越しに見える乗り物たちはちょっと違う
まず自転車 タクシー バス そして都電 これが主役たち
山手線は遠く高く ホリゾントに溶け込むようにするすると走る 
別の街とをつなぐ ここでは端役だ 

ガラス窓で隔てられていても 触ろうと思えば触れる 
普通の声で呼びかければ答えてくれる
視線はレベル ぷおっ スットボケた都電の警笛 チリンチリンと自転車
店内にジエイク島袋のウクレレ

ここに流れる光景は俺と同じ空気の中にいる
たとえ見知らぬ人ばかりであっても 寂しさは感じない いつでも友達になれるから
何を考え何をして生きている人たちかが分かるようだ

ネギよ 鴨よ 岩舟よ~オレタチャ蕎麦なきゃ生きられない 大塚・「岩舟」賛歌_e0016828_21104563.jpgネギよ 鴨よ 岩舟よ~オレタチャ蕎麦なきゃ生きられない 大塚・「岩舟」賛歌_e0016828_2193110.jpg

ここで食う蕎麦がうまかったら それはもう贅沢の極みというもの

鴨南蛮は
鴨の吟味 鴨とネギの焼き加減 
柔らかすぎず硬すぎず 太すぎず細すぎず 蕎麦の打ち方茹で方 
上品だけどひ弱ではない出し汁
つまるところ それらのすべては焼きネギをうまく食うために準備されたのだ
こわごわと しかし一刻も早くと 口に運ぶと 
あっちち 黒く香ばしい焦げ目のついたネギが内懐に隠し持っていた 
白くやさしい何かが エロチックとすらいいたいような何かが つるっと飛び出してくる
総力をあげて協力をしたものどものすべてを潤沢に身にまとって飛び出してくる
植物でも肉でもない 今初めて誕生した何ものかが

窓の外を都電が通る
自転車が走る 人が歩く
俺はその愛しい何ものかを惜しみつつ飲み込む
するりと喉を通り過ぎていくと 喉は意思をもつ
とどまれこの余韻よ

これはもう贅沢の極みというもの

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(写真・上・「岩舟」の窓のブラインドから覗いた 隣にはおもちゃ屋さんが
下・鴨南蛮を惜しみつつ食べて 蕎麦・飢餓状態になっていることに気がつきセイロを追加)
Tracked from 蕎麦の散歩道 at 2006-07-22 07:41
タイトル : 岩舟 大塚  居座りたい宵
先日は、「岩舟」の会に熱海に出張になって、出席できなかった。今日は一人である。水曜のまだ明るい夕方である。特別、蕎麦屋酒をやるのに理由があるはずもなく、ただ柔和なご主人と少し話ができて、掻き揚げのひとつも食べたかったわけである。南口の左手には「江戸一」がある。少し行けば、「くう」がある。岩舟の裏手にもたくさんの小料理屋、居酒屋が軒を並べている。一帯が激戦区であり、客には魅力的なエリアである。経営者なら、頭がクラクラするだろう。6時に最初の客になった。生ビールをいただいて、ひとしきりお話をさせていただい...... more
Commented by Fou at 2006-07-21 22:33
皆さんの話題になる岩舟は大塚のどのあたりだろう?と見当をつけてみたのは、この裏手の方でした。駅前のようですね。薄皮饅頭の柏屋の並びでしょうか。大塚の駅前に小粋な割烹飲み屋?を想像するのは昔を知るのみの私には至難の業です。

御茶ノ水橋から深い掘割の複雑な線路の眺めもいいですね。特に雪が降りそうな時、ポイントにカンテラを置いて凍結を防ぐ光景はかつて「女の子」だったけどワクワクしました。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-21 23:22
Fouさん、その光景は性別を問わないかも。岩舟から見る都電も。上野に向かうブルトレも。でも、スピードを上げて走る電車は、やはり男の子の領分でしょうか。
Commented by ちゃめ at 2006-07-21 23:53
 saheiziさんの「ルーツ」をみるような投稿ですね。
 その「ルーツ」は、男の子であった人たちが共有するところでもありますが(笑)。
(青大将のブルトレは、写真でしか拝見した事がありませんけど(笑))

 鴨南蛮の描写にはやられました。
 参りました、降参です。
 今すぐにブルトレに飛び乗り、東京にそばを食べに行きたくなりました(笑)。
Commented by Fou at 2006-07-22 00:22
あら、saheijiさん、お目覚め?
カンテラの火がちらちら、雪が舞う暗い谷底のカーヴに電車が突っ込んできます。

もうひとつ、思い出した面白い光景:
御茶ノ水のホームから外堀に向かって右手上方に目をやると聖橋。ある日(ずいぶん前のことですが)、黄昏時、ぎょっとしました。橋の上端の右半分ほどに20ほどの首が並んでいる!
バス停があったのですね。待っている人たちが橋の壁(欄干ではない)を背にして並んでいたようです。
最近は利用しないので、見る機会がありませんが、その後何回か見ました。今でもバス停はあるのかしら?
Commented by ふく at 2006-07-22 02:53
女の子にも電車好きはおりますよん。
路面電車大好き。大塚も、広島も、長崎も、チューリッヒも・・・
ブルートレインも。
東京駅も上野駅も。
なぜか、御茶ノ水駅が好きで、学校も会社も御茶ノ水駅を選びました。
特に、飯田橋から水道橋、御茶ノ水への光景が好きです。
で、御茶ノ水葉しから、ホームを見るのも。
そうだ、バス停、ありましたね。
私も、お蕎麦食べたくなりましたー。
明日はお蕎麦にしよう!
しかし、鴨南とせいろ。おなかふくれそうですねー。
Commented by ふく at 2006-07-22 02:56
すみません、寝ぼけて、橋が「葉し」にー。うまく変換できませんでした。
おやすみなさい。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 06:18
ちゃめさん、美味しいものは表現したくなりますね。ネギは女性だな。色っぽい。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 06:21
Fouさん、ロシア文学に出てこないかな、そんな光景。モノカラーの版画にあいそう。火影だけうっすらと赤を塗って。首の陳列には驚きですね。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 06:23
ふくさんも御茶ノ水博士?確かにあの辺りどこからどこを見ても”東京”を感じますね。蕎麦を食べて健康になりましょう。ただし食べ過ぎないように。
Commented by 夢八 at 2006-07-22 07:48
佐平次さん、岩舟行かれたのですね。
僕は、地鶏せいろでしたけど、その鴨蕎麦も、おいしいですね。

岩舟は、本当に丁寧で、完成度が高いです。

>蕎麦を食べて健康になりましょう。ただし食べ過ぎないように。
気をつけます。
Commented by Fou at 2006-07-22 09:48
『アンナ・カレーニナ』?
Commented by hanamaki3 at 2006-07-22 10:01
あのね、夢八さんも佐平次さんも、もしかして花まきに喧嘩売ってる?

く、くっそぉ~~!
なんて野蛮な表現書いちゃいけないよね。
ホント、品位を穢すよね。ごめんごめんごめんよ。く、く、、、、
Commented by Fou at 2006-07-22 10:02
ふくさん、
お茶の水は独特の街ですね。服を売る店はないけれど、スリッパ専門店がある... 楽器店は新聞の紹介によると30店も、レコード店もいくつあるでしょうね。以前は駅前のジローを始め、レモン、マロニエ、丘、、、ゆっくりおしゃべりできる喫茶店がいっぱいありましたが。ミロはまだ健在だと思いますが、しばらく行ってないですが。病院もいっぱいですね。
Commented by ふく at 2006-07-22 18:29
Fouさん、はじめまして。
そうです。黒岩スリッパ店でしたっけ?そして、ジローにレモンに、マロニエ!ミロ!すごい。あと、あの船の格好をした2階に上がる喫茶店はなんでしたっけ。マロニエの先です。なつかしい面影はないけれど、まだ、ナイルがあった気がします。それにレモンも。駿河台下にも、健在の喫茶店はあるようです。今は、カレーの街とか。街も人も変わります。
また、よろしく。
Commented by Fou at 2006-07-22 19:01
ふくさん、
マロニエの先に専用の、雰囲気のある通路があって、雨よけのある階段を上るとやや弓形の総ガラス窓、船のデッキのようでしたかしら。窓の下は斜面に庭木がありましたね。紫陽花が咲いていた。西日の眩しい、静かなサロン。でも空を真ん中で遮る前のビルは男の独身寮?無粋な光景でした。
始めから名前を覚えなかったようです。待ち合わせには「2階の」で事足りていたみたい。あそこはマロニエよりも早くなくなってしまったようです。
私は黒岩スリッパ店のフェルトのスリッパばかり。先日久しぶりに寄ったら、フェルト生地がなくなった紺、茶は製造終了だと。店番は息子さんかしら?ご主人は?と訊けませんでした。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 19:03
hanamkiお姉さま、とんでもないですよ。ワタシャあなたの影を慕って歩いているのですよ。
Commented by Fou at 2006-07-22 20:02
「砂山の砂に... 初恋の痛みを ひとり想う日」
午後、県立音楽堂で聴いてきた歌のひとつです。
古傷を思い出させてしまったようですね。ごめんなさい。

昔のジローにはさらに奥があったから、行ったり来たりして待っていたのでしょうね。泣けてしまう。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 20:06
皆様、皆様、ついていけない話題!でもひとつだけ、ごめんねジローじゃない、ジロー。ここで初?恋のデートにふられたんだよ。待てどくらせど来ない。そのうち電話で目の病気で行けないって、朝のうちは片目眼帯だったけど夕方は両目眼帯だって。せっかく友達に借金してセーターも借りて行ったのに。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 20:07
Fouさん、シャンソンは嫌いにはなりませんでしたよ。
Commented by Fou at 2006-07-22 21:05
初恋デートにふられた、と読んで書いたコメントがどういうわけか先になってしまってますね。わたしのPCの時計が狂っているのかしら?
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 22:02
Fouさん、ごめんなさい。間違いを直したらそうなっちゃった。先に挿入できないんですね。
Commented by ふく at 2006-07-22 22:11
Fou さん、なつかしくて、つないでしまいました。
そうでした、あの奥の間は特別でした。
私は、田舎者なのに、文化学院や池坊のお譲様の真似をして、
2階のカフェテリアで、セルフでランチを・・なんて、気取ってました。
それこそ、仕送りのあったときや、ボーイフレンドのおごりのときだけ。
東京が実家の子がうらやましかったです。大抵はお弁当を持っていってたんですから。
ジローの名物店主(クレオパトラカット)はどうされたのでしょう。
駿河台下のミロンガ、ラドリオも代替わり。
斎藤コーヒーも遠くへ。さ、この辺でおしまいに!


Commented by saheizi-inokori at 2006-07-22 22:19
ふくさん、どうぞごゆっくり。私はそろそろ休みます。よく飲んだものだから眠い。明日又読ませていただきます。アーシタ天気になあれ!
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-23 11:34
お茶の水メドレー、読み返すとシミジミいいなあ。大塚からナゼお茶に飛んだのかは分からないが。
Commented by Fou at 2006-07-24 13:17
saheijiさんが振られたデートの原因は「両目眼帯」、モノモライか?

読み直したくなって見ていたら、髭弟の両目がつぶれてしまった顔を思い出しました。風邪のウィルスかなんかのいたずらだったと思いますが。
あなたの待ち人さんも、もしかしたら、同じ年の同じはやり風邪じゃなかったのかしら。
髭もたしか朝起きたら「両目が開かない!」とモグラのような顔でしたよ。
髭が大学に入りたてのころの冬だったとおもいます。
セーター借りて、とあるから冬のことでしょう?
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-24 13:38
早春でした。着たきり雀でしたから。軍資金(なんの?)まで借りて。がっかりして帰る途中で両目見えないなんてウソ!振られたんだ!と思い軍資金をすべて行きつけのバーで使いました。ビール12本(大瓶)までは覚えていますが。寮に帰るや否や・・でした。あの子も私と同じ年になっているということがどうしても想像できません。
Commented by Fou at 2006-07-24 19:30
よくぞ呑みにけり。
母が昔言ってました。「息子のような年齢になってしまった。生きていたらきっとロマンスグレーね。」
36歳で死んでしまった夫のことです。
Commented by saheizi-inokori at 2006-07-24 20:43
私のオヤジも息子のような年のマンマです。生きてればアル中ですね。
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by saheizi-inokori | 2006-07-21 21:29 | 気になる店・ひと皿 | Trackback(1) | Comments(28)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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