万里さん、もう、肥る心配なくなったね いい本たくさんありがとう

”美貌の敵””生活習慣病の元”憎むべき脂肪、これが寝ている間に電力に転化されるような装置(簡易な)が発明されることを望んだ”ツバキ姫”、大食漢にして早飯食いの万里さん(「旅行者の朝食」文春文庫)。

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俺が遠い国のあまり縁のない出来事としか見ていなかった東欧の現代史の中で子供たちが家族と共にさまざまな生き方をしていることを自分の親友たちのことを面白おかしく・哀しく語りながら教えてくれた万里さん(「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」角川文庫)。

「日本語は、日本で生活する全ての人の共有財産であって、どんなに権威ある人や団体が強制しても圧倒的多数の人々がその言葉を使うようにならない限り、その言葉は言葉になれない。言葉は、絵を描くときの絵の具の色。世の中の森羅万象、複雑怪奇な人の精神を描きつくし、伝え、批判し、呪い、祝福するためには、美しく正しい言葉と言葉遣いだけでは到底間に合わない」とおっしゃった同時通訳の達人・コミュニケーションの魔術師・万里さん(「ガセネッタ&シモネッタ」文春文庫)。

同時通訳という仕事がいかに下準備に猛烈勉強が必要か、と説きながらいつの間にか猥談に発展していく万里さん(「不実な美女か貞淑な醜い女か」新潮文庫)。

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小咄の成り立ちを説きながら病魔のせいか、いまひとついつもの切れ味を欠いた(ように見えた)上に小泉やブッシュをかなり辛らつに・生々しく取り上げて皮肉った万里さん(「必笑小咄のテクニック」集英社新書)。

25日に亡くなっていたそうだ。天国でも神さまにシモネタを披露してグルメを楽しんでください。
Tracked from 「む一ちょ写真日記」 at 2006-05-31 03:30
タイトル : 追悼・米原万里さん
 おととい夕方、駅の売店のスポーツ新聞の見出しがちらりと目に留まった。「米原万里さん急死」。ええっ、そんな!!!・・・あまりにショックだった。  米原万里さん。好きになりたての作家さんだった。帝政ロシア時代に関する芝居に撮影で携わり、シベリアに抑留された日本人の悲劇を描いた芝居を観てロシアに興味が湧いたというタイミングで出逢った彼女の「オリガ・モリソヴナの反語法」。ロシア・ソ連邦がたどった時代と、幾多の困難をくぐり抜けて生きてきた女性とをわかりやすく描いた見事な人間ドラマで、読み終えた後感激で心...... more
Commented by naomu-cyo at 2006-05-31 03:27
 わたしも米原さんへの追悼日記を書いてました。
 まだ作品ふたつしか読んでなくて、遅ればせながら面白い作家さんだ!と知った矢先の訃報。もう残念です。これからのロシアのことももっともっと描いて欲しかったですね。
Commented by saheizi-inokori at 2006-05-31 08:56
naomu-cyoさん、おはよう。せめて書きのこしたものでも読みましょう。漱石とか百閒だと亡くなった人のものというのがそんなに不思議じゃないけれど万里さんだと暫くは違和感を感じるでしょうね。もう、こういった人はいない、という事実ばかりが気になって。
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by saheizi-inokori | 2006-05-30 22:13 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback(1) | Comments(2)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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