芸術家と友情

五月晴れ、けさの気分はシューベルトの「鱒」だな、とおもったら、ラジオもこれだった。
高校のときに小遣いを貯めて買った最初のクラシックは「鱒」だった。
長野の五月もリンゴ畑をわたる風がきらきらしていたなあ。

僕の買った10インチのレコードは、ウイーンコンチェルトハウスだったと記憶するが、趣向をかえてウイーン少年合唱団で。




友情についてのプルーストの考察。
自分のために生きることができる人間は、またそうする義務もある(中略)。
友情とは芸術家にとって、この義務の免除であり、自己放棄である。友情の表現形式である会話そのものが、ごく皮相のたわごとで、私たちに何ももたらしはしないのだ。私たちは一生のあいだ人としゃべりつづけても、ただ空しい一瞬を無限にくり返すばかりかもしれない。それに対して芸術的創造の孤独な営みへと進む思考の歩みは、縦に深く降りて行くもので、それはたしかに苦痛こそ多いが、真理獲得という結果に向かうために私たちに閉ざされていない唯一の方向、私たちの前進し得る唯一の道なのだ。


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友情は、真理獲得になんの効果もなく、有害ですらあるという。
そんなことはないだろう、といいたくなりはしないか?
真の友情こそお互いの切磋琢磨によって、それぞれが真理獲得の有益な助けとなるのではないか?

プルーストはいう。
私たちは外側から石を補強できる建造物とはわけが違い、あたかも自分自身の樹液から、幹に生じる次の節や上へ上へと伸びる葉の茂みを引き出してくる木々のようなものだ。

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優れた友人の言葉は「外側からの石」に過ぎないというわけだ。
プルーストは「内部に住んでいる自分自身とは別の存在、私たちが思考の重荷をいつも喜んで肩代わりさせてしまう存在」という言葉を提示する。
それは習慣的な自己、社会や他人に合わせて生きていく自己という存在を指している。
そういう自己は、ほんとうの、ある意味では他人と共有できない自己とは違うから、そこでなされた理解は、真理獲得には役に立たない。
だから孤独を癒されることによって安易な自己にとどまる傾向を助長する友情は有害なのだ。

厳しいね、なんだか禅の修行僧か、それとも剣の修行者?
邪魔物を削り取って、一瞬のひらめきを捉えるのだ。
でも禅は無を悟るのだけれど、プルーストは失われていた記憶の洪水が押し寄せる、そこが違うな。

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Commented by unjaku at 2026-05-05 12:54
やっぱりわかんないや。プルーストって難解な世界に生きていたのね。
プルーストは、いつも連立方程式や微分積分の向こうにしか恋愛はないと思っていたのかな?
友情のために人生を投げ出すなんてことはしない人だったのかな?
すんません。
Commented by saheizi-inokori at 2026-05-05 16:17
> unjakuさん、ほとんどの人が反発するところかもしれませんね。
でもよくよく考えると理解できる、好き嫌いは別にして。人と人はほんとうのほんとうのところではわかり合えないのでしよう。
Commented by chronoir2023 at 2026-05-05 21:03
2枚目の写真、道の向こうに富士山の左半分が見えている?
すぐに違うと分かりはましたが、しばしその大迫力に圧倒されました\( 'ω')/
Commented by yossina-lani at 2026-05-06 07:20
私は 他人に興味がない ようです。
なので、友情と言われると・・・
職場でも、浅いつきあいしかせず
踏み込もうとも思いません、冷たい人?

他人に興味がない割には、10年以上前に1度だけ質問した、
お子さんの名前の由来を覚えていて
数日前その会話をして感激されました。
どうやらヘンなところにメモリーを使っているようです・・・
Commented by saheizi-inokori at 2026-05-06 09:10
> chronoir2023さん、偶然の映像なのですが、ほんとの富士山もあの方向にもっとずっと小さくちょっと右寄りに見えるところでした。
花畑も猫の額なのです。
Commented by saheizi-inokori at 2026-05-06 09:12
> yossina-laniさん、友情をあたためようとすると、どうしても相手に理解される人間になろうとしますね。
子どもの名前も、たまたまでなく意識的に覚えようとするとか、それは私も苦手です。
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by saheizi-inokori | 2026-05-05 10:07 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori