枇杷熟るる

おとといサボった都立大学のパン屋に昨日行った。
雪ウサギさんのブログに刺激されて東光寺の、これも羅漢さんだろうか、を見に寄った。
去年は三郷の菜の花、こないだは舎人公園のネモフィラと雪ウサギさんのあとを追いかけている。
雪ウサギさんは羅漢さんたちにいろんなセリフをしゃべらせている。
さて、このお方からはどんなセリフが聞こえてくるか。

枇杷熟るる_e0016828_18551200.jpg

「あ~あ、もう!」もう、なにか?それは喋らないようだ。

枇杷熟るる_e0016828_18561213.jpg

松江の空見chronoirさんを想って、ときどき僕も空を見上げるけれど、雲一つない青空だった。
両側を木に挟まれた小径を、ひらひらとあとさきになる、モンシロチョウをサンチの魂かと思いつつ歩き続けていたからかもしれない。
アイツが幼い頃、この道を散歩して医師に歩かせすぎといわれたのだ。
あなたの1万歩はサンチの何歩になると思いますかと。
ちょこちょこと必死になって、時には先になって歩いたね。
それが東光寺を出るとき、ようやくこの雲に気づいた。
なんだかサンチが「散歩楽しかったよ、またね~」と空を駆けていくように見えた。

枇杷熟るる_e0016828_18572466.jpg

祖母の歌から。
死ぬことをいつか忘れぬ娘とふたりいたわりあいて日々を過ごせば
伯母は優しいけれど義務を果たすことなどについては厳しく神経質な人だった。
台風で鉄道がずたずたになって道も歩けないようなときに、勤めていた盲聾唖者のための学校に「這ってでもいく」といってまわりをやきもきさせた。
病気がガンだとわかると「なぜ早くいってくれないの」といって、起き上がって畑仕事や教会のお説教を勤めた。
子どもの僕もしょっちゅうお小言をくらった。
祖母とも口喧嘩が激しく、夏休みに遊びに行って唯一いやなことは二人が夜中寝てまで喧嘩する声がきこえることだった。
それだけにこういう歌を読むと、ほっとする。

枇杷熟るる_e0016828_19004988.jpg

母の句。
枇杷熟るるいつも二階の雨戸立つ
母がこの句を詠んだのは平成五年の夏、亡妻が逝った年の夏だ。
亡妻は枇杷が好きで入院したときも見舞いに多くの枇杷を貰って喜んでいた。
母も枇杷を持って来てくれたのか、覚えていない。
枇杷が熟れたままになっている二階を見ながら、病院の嫁のことを想ったかどうか、知る由もない。
亡妻がホスピスに移って、少しは痛みを抑えることができた最後の日々の朝、僕はよく車椅子をおして小金井公園に連れて行った。
そのとき母もいっしょのこともあったのだ。
その句。
車椅子の範子が膝へ白粉花
僕はツユクサを摘んで帰って牛乳瓶にさして病室においた。
僕は馬鹿だから母の句集を読んでこの年の句に流れる母の悲しみを今頃になってしみじみ感じるのだ。
自分が生きていくだけで精一杯だったのだ。
続けて、この年の句を二首。
寄鍋や嫁が遺愛の大土鍋

泣癖の古き暦を外すかな

おまけ。
若者たちに広がる改憲反対の動き。
なお昨日日曜日は国会前に3万6千人が集まった。





PVアクセスランキング にほんブログ村にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 シニア日記ブログへにほんブログ村 シニア日記ブログ 80歳代へ

Commented by shinn-lily at 2026-04-20 07:33
お母さまのうた
亡くなった奥様への想いに朝からジーンときてしまいました。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 08:21
> shinn-lilyさん、もう少し母と亡妻のことなど話せばよかつたと思います。
なにも語らない私のことを詠んだ句もあるのです。
Commented by soubou12 at 2026-04-20 09:21
こんにちは。

今は亡き奥さまは引き揚げ家族のお隣さんだったと記憶していますが、違ったかしら?
お母さまの句、お嫁さんという言葉以上の肉親としての惜別の情に満ちていて心に響きました。
一緒に生活してきた思い出の土鍋。台所で汗してきた主婦として、母として、嫁としての日々への哀惜の情がにじんでいて涙しました。

車いすを押す saheiziさんの沈黙の奥にある深い想いが伝わります。
Commented by yukiusagi_syakuna at 2026-04-20 09:58
saheiziさんこんにちは。

羅漢様は、

「さぁ~朝メシも喰ったし、幸せいっぱい探しに行こうかな~、
リュックに幸せ一杯詰められると良いな!」
とでもつぶやいてるかな・・・

あれ?saheiziさんかなこの方は。
Commented by maya653 at 2026-04-20 10:47
なにも語らない息子さんを詠んだ句も拝見したいと思いました
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 11:17
> soubou12さん、そうです。助け合って生きてきた隣人でした。
二人にもつといろいろ尽くしてあげられたはずと、今ごろになつて思います。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 11:19
> yukiusagi_syakunaさん、なるほど!
それでは私もそうするとしましょう。ありがとう!
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 11:20
> maya653さん、ありがとう。では明日にでも。
Commented by miyabiflower at 2026-04-20 11:42
おかあさまの句、十七文字に込められた想い、
深く胸にせまるものがあり
涙がにじみました。

Commented by norakoubou2426 at 2026-04-20 12:34
どの句も胸に染み、ジーンとなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 19:09
> miyabiflowerさん、ありがとう。
作品を遺すということも親不孝には薬になります。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-20 19:13
> norakoubou2426さん、ありがとう。
母もまさか自分の作品がこうしていろんな方に読まれることになるとは夢にも思わなかったでしょう。
生前は句集を作ることに反対でしたから。
これも親不孝なのかな。
Commented by rinrin1345 at 2026-04-20 19:47
お母様のくが身にしみますね
Commented by りんご at 2026-04-20 20:20

ツユクサのところで胸がつまりました。。  
若い方の間に改憲反対の動きが広がってきているんですね 
当地の古い歴史的な音楽劇場の建築改修がやっとなり、オペラや古典のファンがつめかけています
一昨夜のアンコールがオーケストラ演奏のイマジンで、演奏後、観客の淑女紳士若者の無言の
叫びがぐわんと渦になって巻き上がる感じがしました  = 想像してごらん 国なんて無いんだと 
そんなに難しくないでしょう? 殺す理由も死ぬ理由も無く ただ平和に生きているって。。ジョンレノン
Commented by chronoir2023 at 2026-04-20 20:44
2枚目の写真、「えっ、どこにサンチ君?」と思ったのですが、
よく見たら、確かに見えてきました、中央のやや下、
右から左に雲の道を軽やかに走っています。
仕合せそうに見えます。
Commented by okanouegurashi at 2026-04-20 23:00
私のアカウントが消えてしまい、記事も書けず、いいねの表示もブログ名では表示されません。
非会員ユーザーと出ます。でも訪問させていただいています!!
問い合わせていますが、面倒なことです。
いつもお邪魔するブログにいちいち断りも。。。面倒です。このまま消えるかな。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-21 10:08
> okanouegurashiさん、ありがとう。
日本を楽しんでよかったですね。
だんだん日本が恋しくなる?問題だらけの日本ですが^^。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-21 10:12
> りんごさん、いいなあ、そういうコンサート。
国立劇場は改築の見通しもたたず棚ざらしのようです。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-21 10:13
> chronoir2023さん、ね、ふわっと、そうみえるでしょう?ありがとう。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-21 10:14
> rinrin1345さん、ありがとう。
私も読むたびに、、。
Commented by open-mind1109 at 2026-04-21 11:34
俳句や短歌をたしなむ方はこうして残した作品でたくさんの人を感動させることができるんですね。
絵とかではなく言葉の表現だからなおさらです。
作品を読んで共感することでその人と繋がったような思いになるのですよね。
Commented by saheizi-inokori at 2026-04-21 11:36
> open-mind1109さん、言葉の力ですね。
ブログを通してしか知らない人のお気持ちまでひきよせてくれるのです。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2026-04-20 07:04 | わが母と祖母の遺したまいしうた | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori