夢のなかへ

けさは、二週間ぶりに大掃除。
カミさんが土曜日に所用があるので繰り上げ施工。
痛みをかばいながらカミさんといっしょに二時間、いつもより一時間少なかった、それでも風呂の蛇口がピカピカになったりすると、達成感はある。

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外にでないものだから、以前の写真ばかりで失礼。
皮膚科の近く、せせらぎの小径で。
そういえば手術の前後はあまりカイカイが出なかったのに、退院したらふたたび足に出る。
カイカイのやつ、ずつと遠慮してればいいのに。

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(駒沢公園)

「失われた時を求めて」は「第一編 スワン家の方へ」の1を読了したのでⅡに入った。
13巻セットを申し込んだのだが、どういう訳か月末まで届かないので、図書館から借りてきた(カミさんに頼んで)。
Ⅰは、第一部「コンブレ―」、語り手の幼年時代や人生経験を踏んだ後の回想が語られた。
Ⅱは、第二部「スワンの恋」と第三部「土地の名・名」からなり、前者は語り手が生まれる前に起ったスワンの恋愛を三人称小説のように語られる。

スワンは、Ⅰの巻末に付された「登場人物100人」を引くと、「ユダヤ人の株式仲買人の息子で、富裕な社交人。美術と文学に造詣が深く、いち早くフェルメールを高く評価する。語り手の一家のコンブレ―での隣人。一介のブルジョワでありながら上流社会の寵児、、、(略)」とある。
Ⅰには、このほかにゲルマント一族、語り手の家族、スワン家の人びとの系図と「失われた時を求めて」全七編のあらすじも載っている。
「登場人物100人」は、しょっちゅう当たっているので、Ⅰを読み終えても、借り続けるつもり。

第二部に入ってすぐにスワンについて、その人となりが知らされる。
そのなかから、
(多くの人が、社交界の地位に自分を閉じこめて、慣れた生活のなかのつまらない気晴らしを快楽と呼んで満足しているのと、異なって)彼は自分がともに時を過ごす女たちを美しいと思うようにつとめるのではなく、まず自分が美しいと思った女たちといっしょに時を過ごそうとつとめるのだった。しかもそれは多くの場合、かなり通俗的な美しさを備えた女だった。というのは、彼が無意識に求めていた肉体的特徴は、彼の好きな巨匠たちが彫ったり描いたりしたすばらしい女たちの特徴と、正反対のものだったから。奥深い表情や憂愁は、彼の官能を氷らせてしまい、これに反して健康でぽっちゃりしてバラ色の肉体がありさえすれば、たちまち彼の官能は目ざめるのであった。

そして、
聡明な人物は、別の聡明な人物にばかだと思われるのを気にしないものだが、それと同様にエレガントな社交人は自分のエレガンスが大貴族に認められないのを怖れるのではなくて、田舎者にそれが無視されるのを怖れるのだ。開闢以来、人びとがふんだんにばらまいてきた機知のやりくりや虚栄心から出た嘘などは、逆にその人びとをちっぽけなものにするばかりだったが、そのようなものの大部分は自分より劣った者に向けられていたのである。そしてスワンは、公爵夫人に対しては何気なく、呑気にふるまえるのに、小間使いの前では軽蔑されはしないかとびくびくして、気どってみせるのであった。

さて、スワン氏はいかなる恋愛を見せてくれるのだろうか。

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「「失われた時を求めて」の完読を求めて 「スワン家の方へ』精読」(鹿島茂)。
本書を予約するときに、こんな書名を見つけたので、これもいっしょに借りてきた。
高校生のときに、「失われた時を求めて」を読み始めて、三巻目で挫折した経験のある鹿島が、「読者が『失われた時を求めて』を完読するためのアシスト、本来は限りなく豊饒な『失われた時を求めて』がたいていの場合はアクセスされることもなく、文字通り『失われ』てしまうことを防ぐために、その導入を買って出た」という。

始めの「夢の世界の住人」と「夢の本質」に小説の冒頭の部分―多くの人がここだけで先を読むのを諦めてしまうような、わかりにくい、しかも矛盾のある文章についての説得力のある解説がある。
鹿島茂は、この部分はプルーストのこの小説に対するあらかじめの「情報開示」だという。
プルーストが狙ったのは、「あれ、変だぞ、でも、これは夢なのだから、変でもいいんだ。ただ、真夜中の孤独感と絶望感は本物だなあ」と読者に感じさせることなのですから。
ストーリーは支離滅裂、でも情動は本物というのが夢の本質であり、これこそがプルーストの行なっている情報開示なのです。『失われた時を求めて』の読者は、魔訶不思議な文章から、こんなふうに、開示情報を読み取っていかなければならないのです。
僕はこの冒頭の部分を病院で読んで、なんか変な文章だとは感じたが、それにかかわるよりも、夢から覚めた時の「ここはどこだ」感や、なんともいえない寂寥感の方を、僕にも「あるある」と共感した。
なるう、、こんなに深く読み込むのか。
さいわい、他に借りたい人もいなさそうなので(予約した翌日に届いた)、ユックリ手元において、ときどき教えを乞うことにしよう。

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Commented by stefanlily at 2026-03-06 17:49
左平次様、
お大事になさいませ

プルーストは読みかけたんですが、「紅茶にマドレーヌ」が素敵だなあ…で止まってしまい(笑)、読めませんでした。
スワンは、ジェレミー・アイアンズの映画もあって、比較的分かり易いのかもしれませんけど。
「意識の流れ」を文体に起用した点では、フォークナーは好きなのですが。
「シンクロニシティ」はThe Policeのアルバムで初めて知った言葉です。
Commented by saheizi-inokori at 2026-03-06 19:03
> stefanlilyさん、そうですか、なんだかもったいな、とおもいます^^。
Commented by karakaze99 at 2026-03-07 12:50
本の内容はわたしは難しくてわかりませんが「鹿島茂」に
確か館林美術館でその名前を知ったような・・・と見返したら
去年春に古書コレクターでもあるその方のコレクション・・
フランスのモダングラフィック展で当時の絵本や雑誌などが展示されていました。
こういう本を書かれた文学者だったのですね・・と後づけにアハ体験出来ました。

入院手術無事終えて早くも日常に戻られるsaheiziさんに感服しています~
Commented by saheizi-inokori at 2026-03-07 18:02
> karakaze99さん、鹿島茂は博覧強記の人だと思いますよ。
いろんな本を書いている人です。
ようやく日常に近くなりました^^。
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by saheizi-inokori | 2026-03-06 11:53 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori