入院第四日目(27日) プルーストと

4時トイレ、又寝は無理でも横になってヨガニドラ呼吸法をユーチューブに従って40分ほどやる。
なんとなく宇宙と一体化する、その入り口を、はるか遠くからではあるが、垣間見た気分に。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_08515685.jpg

廊下を散歩して、きのうはやらなかった髭剃りをしながらあちこちの窓の外を見る。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_08571599.jpg

退院したらあの街のあの道を歩いてみようかな。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_08583355.jpg

三日ぶりに朝飯を「飲む」。
米の研ぎ汁みたいな重湯に具のない味噌汁、その優しさ、うまさ!なんとも言えない甘み。
断食をすればこんな滋味に恵まれるのなら、ときどきやってみる価値はあるかもしれない。

舌に残る味を反芻していると、主治医がみえて食後申し訳ございませんがと言いながら、お尻の状態を診てくれる。
飛び出している傷口を押し込もうとしてくれたが、痛い割に直ぐ出てしまう(その後少し好転)。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_09461411.jpg

身体中に保湿剤などを塗り(背中は看護師さんにお願い)、不要になったものをスタッフステーションに返しに行くと、富士山が姿をみせた。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_19045196.jpg

「失われた時を求めて スワン家の方へ」読み続ける。

甘える主人公に本を読んでやるママン。

「ジョルジュ.サンドの散文を読む母は、力強く打ち寄せるようないつさいの偏狭と気取りを注意深く自分の声から追放して(中略)文章以前に存在していてこの文章を作者に書かせた心のアクセント、だが言葉自体によつては示されていないアクセントを、ふたたび見つけだす。」
僕もそんなふうに、この小説を読みたいと願う。

紅茶に浸したひときれのプチマドレーヌを食べたときに、
「日本人の玩具で、水を満たした瀬戸物の茶碗に小さな紙きれを浸すと、(中略)たちまち伸び広がり、ねじれ、色がつき、それぞれ形が異なって、はつきり花や家や人間だと分かるようになつてゆくものがあるが」
それと同じようにスワン氏のいた町、家、庭、花々、村人たちの住まい、教会などのすべてが、つきつぎに現れて、がつしりと形をなす。

手品とか魔法を観ているようなファンタジックな、しかも説得力のある描写に感動した。

これは全巻新本で揃えて手元に置いて宝物にしたいと思う。
子供たちのお見舞いで贅沢をさせてもらおう。
そう思って、どの訳者がいいかなどをChatくんと相談しているうちに、僕がこの場面などに感動したといつたら、じつはこのマドレーヌの場面は有名で、そこに感動したのなら今読んでいる鈴木道彦訳と相性が合う、長丁場はそれが大事な条件だとアドバイスしてくれた。
そのあと、吉川一義の訳で読むのもいいと。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_19085411.jpg

昼飯も昼汁、3分で完飲、朝飯ほどの感動はない。
やはり、断食はあわないかも。

2時25分、前の人が早く出てくれたのを、待ちかまえるようにしてシャワーと保湿剤塗布、制限ぎりぎり3時まで。
洗い足りないけれど、いちおうさっぱりする。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_17372779.jpg

5時過ぎ、先生が来て予定通り日曜日退院とのこと。
退院後の食事は、特に辛いものや脂味の多いもののほかはすき焼き全粒粉パン豚しゃぶ厚揚げなどは食っても大丈夫、コーヒーもOKです。
カミさんが心配していたものすべてOK!

晩飯も汁だけ3種、昼飯よりもそっけない。
いよいよ断食はお止めとしよう。

入院第四日目(27日) プルーストと_e0016828_19112403.jpg
(8階から)
3225歩。

PVアクセスランキング にほんブログ村にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 シニア日記ブログへにほんブログ村 シニア日記ブログ 80歳代へ


Commented by kogotokoubei at 2026-02-28 10:32
無事明日ご退院、おめでとうございます。
今日は、常食になるのでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2026-02-28 12:33
> kogotokoubeiさん、まだオカユです。でもようやく飯らしいものになりました。
ありがとう。
Commented by byogakudo at 2026-02-28 12:38
順調に回復されていらっしゃるようで、よかったです。安心いたしました。

"日本の水中花"のシーン、いいですよね。大昔にこの巻だけ読んで、終わってしまいましたが、
もう一度トライしたくなりました。

上から五番目の、窓越しの風景写真、好きです。ぺたんとして牧歌的で不穏なものも孕んでいるような。
Commented by saheizi-inokori at 2026-02-28 15:21
> byogakudoさん、ありがとう。
失われた時を求めてを入院暮らしで捕まえたような感じがしますよ。
記憶のいろいろ!その表出と構造ならびに時間との関わり。
Commented by open-mind1109 at 2026-02-28 16:39
退院の目途が立って良かったですね。
飲食に関する奥様のご心配も解決のようでそれも良かったです。
退院後一番食べたいものは何でしょう。
Commented by 寿限無 at 2026-02-28 16:53
『失われた時を求めて スワン家の方へ』と言えばマドレーヌです。
Commented by unjaku at 2026-02-28 16:55
難しいことはともかく、元気でお帰りくださいね。
下界の空気は汚いですよ。吸う・吐くこれだけの動作で汚染されそうな気がします。
帰ってきたら奥様の言うことをよく聞いて、無理はいけません。
思っている以上に身体は疲れているのです。
saheijiさんには、そんなことないか。だったらいいのだけれど。

とにかく退院おめでとうございます。
Commented by saheizi-inokori at 2026-02-28 18:06
> open-mind1109さん、ありがとう。
甘いお菓子?
ステーキ?迷うなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2026-02-28 18:09
> 寿限無さん、浅学にして知りませんでした。
その他にも、次々と唸らされ通しです。
美しい文章で、あるある!と膝を叩きたくなりました。
Commented by saheizi-inokori at 2026-02-28 18:46
> unjakuさん、ありがとう。拳拳服膺いたします。
病院も今日はコロナ頻出らしい、さつき看護師同士の囁きを夕焼けを撮りながら背中でききました。
Commented by chronoir2023 at 2026-02-28 20:39
「マドレーヌ」はひとずてに知っていましたが、「日本人の玩具」への言及があるとは知りませんでした。
ずいぶん前に文庫の第一巻を図書館で借りて読み始め、すぐに挫折してしまった私です。
読みすすめておられる佐平次さんの知力と体力を仰ぎ見る思いです。
そして今、佐平次さん散歩の文章再開を心待ちにしております。
Commented by autumn-park at 2026-03-01 06:27
退院おめでとうございます。
お散歩、カフェに寄る生活、楽しみにしておりますが焦らず慎重にお過ごし下さい。
サンチくんが待っていますね^ - ^
Commented by saheizi-inokori at 2026-03-01 06:33
> chronoir2023さん、水中花ですつて。
私も高校生のときにちょっと読んですぐに投げ出したような気がします。
やはり人生の記憶を積み重ねてきた今読むといちいち思い当たることが多く、文章とくに比喩の面白さと相まってなんとも言えない愉しさを覚えます。
Commented by saheizi-inokori at 2026-03-01 06:34
> autumn-parkさん、ありがとう。
ほんと、サンチがよく頑張っているようで早く会いたいな。
Commented by shinn-lily at 2026-03-02 07:52
「失われた時を求めて」
読み進めていくうちに、混迷して、私もチャットさんに相談していました。
この本の読み方の醍醐味を教えてくれて、、、3巻で挫折していたのですが、再び読み始めたところです。
他の本の並行しながら一文一文を楽しむ方向で進めたいと思ってます。
退院、良かった!
Commented by saheizi-inokori at 2026-03-02 10:25
> shinn-lilyさん、二十世紀最大の文学作品といわれるだけの傑作だと思います。
楽しく読みましょう、先達さんの後をついていきますよ。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2026-02-28 07:03 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori