素晴らしき出会い
2025年 11月 17日
きのうは順延になった大掃除が終わって、ブログを書き終えた頃に、便座取替の人がきてくれて、ようやく新しいウオッシュレットが使えるようになった。
今月の二日に壊れてから、chatGTPにインチキ情報を教えられたり、量販店にも何度か足を運び、通販の値段も調べたりして半月、愚かにして世故にうとい僕なりに奮闘努力の甲斐あって、といいたいところだが、設置してみると以前使っていたTOTOのに比べるとなんとなく見劣りがする。
そりゃそうだろう、千円二千円をケチったからね。
ま、これが今の僕には分相応、どんなに立派な便器をおいても、出る物には変わりはないのだから、よしとしよう。

東京駅の黒塀横町やキッチンストリートを作るときに、これからの商業施設のトイレは(とくに女性客のために)、居心地のよい空間にすべきだと、とうじでは珍しかったトイレのデザイナー(女性)に依頼して、いろいろ苦労したことを思い出す。
「トイレなんてダスものを出せればいい」と反対する男性社員の声を押し切ったのだった。
まあ、あれは「お客様」のトイレの話、それに今度のだって、前と比較すればの話で馴れれば、そうひどいもんでもない。
だいたい、世界でウオッシュレットのトイレが家にある人って、何パーセントもないだろうよ。
そんなこんなで「大使とその妻」(水村美苗)は、少ししか読めなかった。
下巻の半分ほどは、貴子の生い立ちが語られる。
ひとつの流れが終わると、こんどは、そこに登場した人物の過去が語られる。
なんか螺旋階段を降りていくと、その途中に別の階段が別れていて、そこを降りていくような感じだ。

山根夫妻に引取られていた幼い貴子が、六条の御息所こと北条瑠璃子に見いだされて、英語数学などの勉強のみならず、能を仕込まれ、貴子もそれに熱中する話があって、こんどは瑠璃子の生い立ちが語られ、なぜ彼女がサンパウロに住んで、セレブ日本人の子弟の塾を経営したり、貴子を特別に大切にするのかが語られる。
背景には、古き(そして今もなお残る)家族制度や政略結婚、能を男性のみのものとする日本社会の特質にたいする批判がある。

財産目当てに近づいた、「アイツ」の野卑にして性的な魅力に「ひっかかって」、政略結婚の相手たる財閥の息子と離婚した瑠璃子は勘当されてもアイツとともにサンパウロに行くことにする。
瑠璃子が幼い頃から、国宝級の能楽師について能をよくしていたところから、日本では女流の能楽師は活躍の場がないので、サンパウロの日本人に教えたらいいとそそのかされたのだ。
忠実な弟(商社の役員)の忠告もあってアイツの本性に気づいた瑠璃子が「日本に戻るための羽衣を取りあげられたまま、ひとり異邦人のあいだに残されたような気が」し「この世と自分とを呪うのが、彼女の人生の固執低音となって」いた瑠璃子が、ある日山根書店に行くと、奥の部屋で邦舞「松風」を舞う、幼い貴子の姿が目に入る。

その所作、身にまとう品位に圧倒された瑠璃子は
そして、貧しい部屋で舞う貴子の生活を見るうちに
瑠璃子を可愛がっていたころの父親が「日本には宗教がない、その代りに日本文化というものがある」と云ったことも改めて思い出すのだ。

瑠璃子と貴子は、
この二人の出会いは、僕の胸を打つ。
ほんとに出会えてよかったね、二人とも。




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今月の二日に壊れてから、chatGTPにインチキ情報を教えられたり、量販店にも何度か足を運び、通販の値段も調べたりして半月、愚かにして世故にうとい僕なりに奮闘努力の甲斐あって、といいたいところだが、設置してみると以前使っていたTOTOのに比べるとなんとなく見劣りがする。
そりゃそうだろう、千円二千円をケチったからね。
ま、これが今の僕には分相応、どんなに立派な便器をおいても、出る物には変わりはないのだから、よしとしよう。

東京駅の黒塀横町やキッチンストリートを作るときに、これからの商業施設のトイレは(とくに女性客のために)、居心地のよい空間にすべきだと、とうじでは珍しかったトイレのデザイナー(女性)に依頼して、いろいろ苦労したことを思い出す。
「トイレなんてダスものを出せればいい」と反対する男性社員の声を押し切ったのだった。
まあ、あれは「お客様」のトイレの話、それに今度のだって、前と比較すればの話で馴れれば、そうひどいもんでもない。
だいたい、世界でウオッシュレットのトイレが家にある人って、何パーセントもないだろうよ。
そんなこんなで「大使とその妻」(水村美苗)は、少ししか読めなかった。
下巻の半分ほどは、貴子の生い立ちが語られる。
ひとつの流れが終わると、こんどは、そこに登場した人物の過去が語られる。
なんか螺旋階段を降りていくと、その途中に別の階段が別れていて、そこを降りていくような感じだ。

山根夫妻に引取られていた幼い貴子が、六条の御息所こと北条瑠璃子に見いだされて、英語数学などの勉強のみならず、能を仕込まれ、貴子もそれに熱中する話があって、こんどは瑠璃子の生い立ちが語られ、なぜ彼女がサンパウロに住んで、セレブ日本人の子弟の塾を経営したり、貴子を特別に大切にするのかが語られる。
背景には、古き(そして今もなお残る)家族制度や政略結婚、能を男性のみのものとする日本社会の特質にたいする批判がある。

財産目当てに近づいた、「アイツ」の野卑にして性的な魅力に「ひっかかって」、政略結婚の相手たる財閥の息子と離婚した瑠璃子は勘当されてもアイツとともにサンパウロに行くことにする。
瑠璃子が幼い頃から、国宝級の能楽師について能をよくしていたところから、日本では女流の能楽師は活躍の場がないので、サンパウロの日本人に教えたらいいとそそのかされたのだ。
忠実な弟(商社の役員)の忠告もあってアイツの本性に気づいた瑠璃子が「日本に戻るための羽衣を取りあげられたまま、ひとり異邦人のあいだに残されたような気が」し「この世と自分とを呪うのが、彼女の人生の固執低音となって」いた瑠璃子が、ある日山根書店に行くと、奥の部屋で邦舞「松風」を舞う、幼い貴子の姿が目に入る。

その所作、身にまとう品位に圧倒された瑠璃子は
自分のようなものでも与えうる最良のものを与えたい、与えさせて欲しいという謙虚な欲望を抱く。
そして、貧しい部屋で舞う貴子の生活を見るうちに
自分がいかに多くのものを与えられて育ったか。なのに、もって然るべき感謝の念を小指の先ほどももっていなかったことを思い知る。
瑠璃子を可愛がっていたころの父親が「日本には宗教がない、その代りに日本文化というものがある」と云ったことも改めて思い出すのだ。

瑠璃子と貴子は、
驕慢である以外の自分になりたくなかったし、なることもできなかった瑠璃子の、その驕慢の下に自嘲と怨念が満ちた心を隠している欺瞞を自覚していた。瑠璃子が貴子を「畏怖した」のは、貴子が枯渇することのないような感謝の泉を懐に抱いていたからだ。
そんな瑠璃子を貴子は最良のところで理解することになったのであった。
この二人の出会いは、僕の胸を打つ。
ほんとに出会えてよかったね、二人とも。

トイレ仲間、拙宅は明日です。直って良かったですね。
この空、昨日の夕刻の空ですよね、きっと。あんまり綺麗で、しばらく見上げていました。流れてゆく事物と人を想います。
この空、昨日の夕刻の空ですよね、きっと。あんまり綺麗で、しばらく見上げていました。流れてゆく事物と人を想います。
5
> tsunojirushiさん
刻々と変化する様子にみとれてあるきました。仲代さんおられたのかな、あの雲の上に。
刻々と変化する様子にみとれてあるきました。仲代さんおられたのかな、あの雲の上に。
トイレのお話‥結論に可笑しくて読ませていただきながら笑ってしまいました。
お写真もどれも素晴らしい。そうそう、クリスマスが近いのですね。
私も大事にしまい込んであるクリスマスツリーを出しましょう。(^^♪
御本の内容は心を打ちますね。
サヘイジさんの優しい視線にもホッコリ胸が温かくなりました。💐
お写真もどれも素晴らしい。そうそう、クリスマスが近いのですね。
私も大事にしまい込んであるクリスマスツリーを出しましょう。(^^♪
御本の内容は心を打ちますね。
サヘイジさんの優しい視線にもホッコリ胸が温かくなりました。💐
> jyon-non3さん、そちらのような音楽会はできませんが、言葉の音楽会が続けられれば、と思っています。
by saheizi-inokori
| 2025-11-17 06:41
| 今週の1冊、又は2・3冊
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Comments(4)