ひとごとにあらず

きのうも散歩をインターバル速歩でやってみた。
普通に歩いても速歩でも3分は200歩前後だ。
口のなかで歩数を数えていると、実際の歩数とずれることが多いな。
このせいか、それとも酒を断っているせいか、コロナで2キロ以上増えた体重が、こんどは2キロ以上減って、まことに気持ちがいい。
もちろん血圧も(降圧剤のせいもあるけれど)着実に下がって安全圏に入っている。

ひとごとにあらず_e0016828_19042228.jpg

そろそろサンダルをやめて、ちゃんとした靴で歩いたほうがいいのだが、今履いている靴がだいぶくたびれてきたのが気になる。
学大の靴屋の靴がいいのだけれど、高いのが、、。

鳥飼将雅「ロシア政治 プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔」を読み終える。
ひとごとにあらず_e0016828_10464014.jpg

1990年生まれの比較政治学者による書下ろし、面白かった。
日本人はアメリカやヨーロッパのことにくらべて、現在のロシアのことをよく知らないのではないか。
少なくとも僕はそうだった。

ソ連崩壊からの歴史、統治機構、選挙、中央と地方の関係、治安機関、経済、市民社会の6つの観点からプーチン権威主義体制の抑圧と懐柔の実態、その背景を解き明かす。
筆者は言う。
その時々の政治的・経済的状況に応じて、支配者層に都合の良い政策を取ってきた結果、現在の高度な個人主義独裁へと至ったというのが、本書の描き出してきたプーチン体制の実像だ。(略)
筆者はロシアの事例は決して特殊なものではなく、どの国でも再現される可能性があるものだと考えている。
足下の政治的自由が徐々に掘り崩されていないか、常に確認を怠らない態度が、民主政に生きる市民にも求められている。本書で扱ったロシアの事例と比較して、各国の政治過程、なかんずく日本の政治過程についても思いを馳せてみてもらえれば、筆者として望外の幸せである。
たしかに、僕も読んでいて、日本でも似たようなことが起きた/起きていると感じることが少なからずあった。
ミゾ―ユーな居直り・老害・復古・石破おろし陰謀団・裏金=独裁志向政権の誕生をみて、なおさらの感がする(かつて麻生が首相のときに、未曽有をミゾ―ユーと読んで、政権の寿命を縮めたことを知らない人もいるかもしれないね)。

「支配層に都合の良い政策を取ってきた結果」、今の日本の閉塞・貧困状況がもたらされている。
アベノミクスなるものが、貧しい人たちをいっそうどん底に追いやったのにも関わらず、サナエノミクスをやって、残酷な緊縮財政でイギリスのインフラを潰滅させ貧富の格差を絶望的に拡大させたサッチャーに倣おうというのだ。

ひとごとにあらず_e0016828_19062361.jpg

面白かった話のなかから、ひとつ、現代ロシアは四つの世界に分かれているということについて。
1 サーヴィス業が工業よりも多くの富を生み出す、ポスト工業化の都市。
二つの連邦市、モスクワとペテルブルグ(全人口の11%)のほかノヴォシビルスク、エカチェリンブルグ、カザンなどの百万都市。ロシア国民の30%が人口25万人以上の都市に住んで、先進国とそう変わらない文化を享受している。
2 人口2万5000人から25万人程度の中規模都市。
ブルーカラーの労働者と国家からの補助金に依存する工場によって構成され、ソ連時代の計画経済の影響を色濃く残している。35%が住んでいる。
3 農村部と人口2万5000人以下の小規模都市。
高齢化が進み、年金生活者が多く暮らしており、街に活気はない。
住民の多くは、仕事に加えて、キノコ狩りやベリー採集で小金をかせぐ。インフラの維持など、国家への依存度は高く、住民たちは政治的な積極性をほとんどもたない。
30パーセントが暮らしている。
4 北カフカ―スや南シベリア(トゥヴァとアルタイの共和国)の民族共和国。
ほとんど産業もなく、教育を受けた中産階級もいない地域。連邦政府は補助金全体の10%を北カフカ―ス(全体の5%が住む)に分配し、その3分の1がチェチェンに送られ、カディロフの個人独裁体制維持に用いられている。

ロシアの20%の世帯が屋内の水道配管を持っていない。農村部の3分の2の世帯で屋内のトイレがない。(2019年のデータ)
ウクライナ戦争における戦死者を、人口比で考えると、概ねモスクワ市出身者の40倍、サンクトペテルベルグ市出身者の20倍程度が、トゥヴァ共和国から出ている。

PVアクセスランキング にほんブログ村にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へにほんブログ村 シニア日記ブログへにほんブログ村 シニア日記ブログ 80歳代へ

Commented by eblo at 2025-10-09 11:26
だから今でもロシアやウクライナ、ちょっと違うけれどイスラエルからも日本へ観光に来るんですね。
大きい国の都市部では自国の戦争も他の国の戦争なのかしら。
ひょっとして戦死も事故死と同じ感覚?
Commented by saheizi-inokori at 2025-10-09 18:12
> ebloさん、モスクワの様子はときどきテレビで見ても、ふつうの都会の暮らしにみえますね。
貧困層の実態に関係なく高市の登場を喜ぶセレブが多いように。
Commented by umi_bari at 2025-10-09 22:14
ロシアの詳しい話をありがとうございます。
アラック、全く知識がないんです。
世界大戦、戦勝国は、ソビエト連邦と中華民国です。
ソビエト連邦はなくなりました。
共産党の中国は戦勝国ではありません。
この二国は、国連の常任理事国であってはいけないと思います。
まあ、蒋介石氏が、台湾に逃げた時に、国連に加盟していたら、
今の中国からに脅威はなくなっていたのかも知れません。
Commented by umi_bari at 2025-10-10 06:33
運動偉いですね。
身体に良いと思います。
お見事バグースです。
世界大戦の時の戦勝国はソビエト連邦&中華民国です。
ソビエト連邦はなくなりましたし、今の中国共産党は
日本と戦争をしていません。
その二つが国連の常任理事会はおかしいです。
まあ、蒋介石氏が国連に加盟していれば、今の台湾危機はないのかと
思います。
Commented by saheizi-inokori at 2025-10-10 11:43
> umi_bariさん、ね、あんがい知られてないですね。
面白いです。
Commented by saheizi-inokori at 2025-10-10 11:45
> umi_bariさん、れば、ですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2025-10-09 09:17 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(6)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30