柿食えば

おととい皮膚科のあとで贅沢したのに、きのうもまた近所のカフエに行ってしまった。
あまりにいい天気だったし。

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店に入ると、柿とスダチと栗が置かれて、自由にお持ちくださいだって。
「帰りにね」と断ってうまいコーヒーを飲みながら、「ロシア政治 プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔」(鳥飼将雅・とりかいまさとも)を読みはじめる。
トッドの「西洋の敗北と日本の選択」といっしょにこの間自由ヶ丘で買ってきた本だ。
どうもこのところ、財布の紐がゆるみっぱなしだ。

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ロシアについての基礎的なこと(知らなかった・忘れていたこと多し)を読みながらも、客があいついでくると、箱の中の栗や柿が気になってしょうがない。
おばさんの集団なんかがきて、我も我もと手を出したらなくなってしまうじゃないか。

いつもより早く一時間ほどで切り上げて、栗一袋と柿をいただいて、散歩に出る。
いつもは靴かサンダルなのだが、きのうは玄関に置いてある下駄(底はゴムで歯がない・草履みたいなの)を履いて出た。

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一階の郵便受けやゴミ出しにでるときだけ履いている下駄だけど、秋空にそのまま歩き続けたくなったのだ。

軽いうえに、木に当たる素足の感触がサンダルより気持ちが良い。
古武道の先生がすり足で歩く方が理に適っていると言っていたのに影響されてか、この方が楽なようでもあり、足の指に負担がかかって、それもよろしいような気もする。

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喉が渇いたので、もらってきた柿を道端の水道で洗って、ベンチに座って食おうと思ったら、蚊が集まってくる。
やむをえず、食いながら歩く。
下駄をつっかけて、柿を皮のまま丸かじりして歩く爺さんを下校の子供たちが奇異な目でみている。
僕としては子どもの頃に戻った思いだ。
青くて、見た目にはシブそうな柿だが、これで熟していると書いてあったとおり、自然な甘みがなかなかよろしい。
こういう品種なのだろう、子どもの頃にこうして食った柿とはちょっとちがうのは現代風なのだろうか。

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ここからは、一昨日の話。
カフエに行く途中で、目黒富士の案内があった。
近くの青葉台の宿舎に住んでいた半世紀も前から、知っていたけれど急な階段を上がることはなかった。

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そのまま歩くと、隣り合って目黒氷川神社への急な階段もあり、それもまた敬遠していこうとすると、隣りのマンションのエレベーターから上がれるという案内が目についた。
神社も初めてだし、きっと目黒富士なるものもそのあたりにあるはず、とマンションの玄関を入る。
表示されている手順に従ってボタンを押すと、神社の巫女さんなのか、「ご参拝ですね」と訊いて、エレベーター室へのドアが開く。
なんの変哲もない普通のマンションだ。
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4階を降りると神社の境内に通じる細い通路があった。

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御参りをして、境内を見回すと、あったよ!富士山が。
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案内板によると、昭和の終わりごろまでは、ここから霊峰富士を仰ぎ見ることができて、天気の良い日には「登山道」を登って、神社に詣でて、富士山に手をあわせる人が多かった。
その自然崇敬の思いを次代に引きつぐべく、クラウドフアンデイングによって、唐津の陶工水上某氏に委嘱してつくったのが、この富士だという。
そうか、僕が住んでいた頃には、ここから富士が見えたんだな。
小学生の娘とジョギングで東大の構内まで走ったときは、この下を走ったけれど、惜しいことをした。

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せめて、帰りは階段を降りようかと思ったが、あまりに急なのと雨でぬれているので、大事をとってふたたびマンション経由で下界におりた。

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Commented by umi_bari at 2025-10-04 15:02
昔は富士山は女性は登れなかったんですよね。
なので、各地に小さい富士山が造られたようです。
身近な富士山をありがとうございます。
お見事バグースです。
「柿食えば~~~」な秋にやっとなりました。
お米がやっぱり高いです、日本が心配です。
Commented by saheizi-inokori at 2025-10-04 18:11
> umi_bariさん、あちこちにあるような、ちいさな「お山」かと思ったら、もっと小さな陶器だとは思いもしませんでした。
ほんとに日本が心配です!
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by saheizi-inokori | 2025-10-03 10:53 | こんなところがあったよ | Trackback | Comments(2)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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