本を読まなかった日

きのうは、カミさんが手洗い洗濯をしてやるというので、有難くその気になっていたのに、シャワーを浴びてタライのなかにつけてあるパジャマを見ているうちに、いつもの流れでゴシゴシやってしまった。
大変と云えば大変で、とくに今朝のように蒸し暑い日は玉の汗をかくが、ほかの家事といっしょで一つひとつの仕事は馴れてしまえば、なんとかやっていけるものだ。
もっとも、それに要する時間が確実に他のやりたいことの時間を減じるのが辛いと言えば辛い。
とはいえ、ほかにやりたいことってなんだい？と聞かれれば本を読むくらいのものだ。
ぼんやり時を過ごすことができない性格だから、いつも何かをしてはいるのだけれど。

午後は歯科医、いちおう日傘兼用の傘を持って出たが、一度も開くことがなかった。
暑かったけれど、めんどくさいのだ、
日焼け止めクリームもめんどくさい。
習慣になっていないことは、めんどくさい。

三軒茶屋バス停の前にある太子堂区民センターで、こんどこそ期日前投票ができた。
成城、等々力は期日前投票の期日前だったし、八雲は目黒区で領域外で、投票できなかったので、太子堂が4度目の正直だ。
会場の入口に小さなイスが二つおいてあって、「子どもの見学席」と貼り紙があった。
子供は座っていなかったけれど。
列ができるというほどではないが、つぎつぎに人々が投票していた。
この分では投票率があがるかな、と期待する。
上がった分が参政党や保守に行くんじゃたまらないけれど。

自転車に乗ったおばさんが、なにか良いことがあったのか、満面の笑みをうかべている。
とても良いことがあって、それを一刻も早く誰かに知らせたいような顔。
掲示板で弟の大学合格を知ったときの僕の顔があんなだったろうか、と連想が飛ぶ。

歯周病に冒されて、歯根のまわりの骨も駄目になって、ぐらぐらしていた歯を抜かずに一年近く、根気よく消毒を繰り返してきた。
経過をレントゲン写真で追うと、嬉しや、骨が再生している気配。
髪の毛、目、耳、、すべてが衰える一方の我が身に善きものが再生するのは奇跡ではないか。

診療を終えて外に出たのが３時半、別世界にきたかと思うほど涼しい風が通り抜ける歩道になっていた。
あいそのいい女将さんのいる町中華のドアに「少しのあいだ休みます」と貼り紙、誰か病気ではあるまいかと、縁もないのに気になる。

いつものカフエに寄りたい気持ちやまやまなれど、時間がちょっと遅いし、きのう都立大学でコーヒーを飲んだし、坂をくだって三茶バス停まで歩く。
するとさっきまでの涼しさが何処に行ったのか、かあっと陽が射して、背中が熱くなる。
新品か中古か、しゃれたＴシャツなどがぶら下っている店、いわくありげなカフエ、、茶沢通りは、歩くたびに新しい店ができているような気がする。

家の近所のバス停で降りると、目の前にキックボクシングの道場が出来ていた。

しょっちゅう変化するのは茶沢に限らない。

毎日５千歩の目標を少しこえて帰宅、さっそく洗濯、聞き逃し配信でゴンチチを聴きながら。
スポティファイだの聞き逃し配信だの、便利な世の中になったものよ。
小遣いを貯めてＬＰレコードを買ったのがバカみたい。
というわけで、きのうは一頁も本を読まなかった。