とどのつまりの満足

皮膚科の後は、ここからいつも行くビーガンの店に行った。
いつもより早く10時40分頃に入ったら、11時半からランチタイムで、それまでの時間は何か一品オーダーするか、300円のチャージを払ってくれという。
食べようと思っていたカレーにはコーヒーがついているので、300円払って、ランチ分のコーヒーを先に飲んで過ごすことにした。
熱いコーヒーがまことにうまく厚い本はもっと面白く、こういうのを至福の時とかいうのだろう。

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時間になって食べたカレーもいつも通りうまいったらない。
カレーに入っている様々な具、付け合わせの野菜、クルミ、五穀米、それらのひとつづつを味わって食う。
食い終わって満足したら、無性にコーヒーが飲みたくなる。
デカフエを追加すれば、さっきの300円は帳消しになるだろうと(念のために)訊いてみるとダメだという。
さっきデカフエを飲んでいれば今ランチのコーヒーを飲めて300円は払わなくて済むはず、そういったけれど、ダメだという。
一か月の薬の量を一律に制限する厚労省の役人みたいな杓子定規なことをいう。
他の店なら、あっそ、で済ますところだが、店内のアトホームな雰囲気やビーガン料理に惚れかかった身としては裏切られたようで、急に寂しくなって、もう本を読みつづける気持ちも失せて店をでた。

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(浮かれてシャツの値段をみて26500円に冷水をかけられる)

外に出れば、風こそ冷たいけれど、その冷たさが心地よい青空。
山手通りを歩いて、目黒銀座も歩いて、

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目黒区総合庁舎のなかも歩いて、やってきたバスにタッチの差で乗り遅れて、駒沢通りの坂道をのぼって、祐天寺にお参りした。

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またバスに乗り遅れるかと思ったら、若い女性が支払いにもたもたしてくれたおかげで滑り込みセーフ。
乗ってしまうと、まだもたもたしているのを、なにやってんだと思うのだ。
小さな犬をバッグにいれて乗った、その女性は席が空いても、年上の女性に譲り、周りに頭を下げて犬の頭を急いでバッグの中に隠す、そのようすに今度は好感を覚える。

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三谷で降りて、いつもの自然食品のカフエで、いつものオーツ麦のカフエラテを飲んで本を読む。
いつもの応接セットだと厚い本を読みながらノートが取りにくいので、食堂側の椅子とテーブルの席に移って、マスターが寒ければいつでもこれをつけますと、ストーブを置いてくれる。
本とノートを広げて、こんどこそ紛うことなき至福の時だ。

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(スミレってスマイルなんだと知った)

第10章「なぜ国家は起源をもたないのか 主権、官僚制、政治の卑賎なるはじまり」を半分60頁ほど読む。

筆者たちは、暴力の統制、情報の統制、個人のカリスマ性の三つの原理を社会的権力の可能な基盤とする。
この三つの原理がいずれもが、近代国家の土台をなす諸制度となっている。
主権者、行政組織、民主主義(選挙、競合的政治フィ―ルド)がそれだ。
これら三つの支配の基本的形態は、それぞれ歴史的起源をまったく異にしている。

メソポタミア、インカ、オルメカ、ナチェズ、エジプト、中国、、様々な興味深い事例をもとに「『国家」の誕生」、というよりも地域システムの変化のプロセスと三つの原理の関わり(有無)を検証する。

得られた結論は、いずれの事例においても、三つの原理のどれかが、源基形態において、いっさい存在しないということ。
変化の過程でみられるのは、二つの原理が制度的形態に結晶化し、たがいに融合して統治の基礎として強化し合ういっぽうで、三つ目の原理は、人間世界からは排除され、非人間的宇宙へと転位されている、という事態だ。
すなわち、暴力、知、カリスマという支配の三つの基本的形態、きわめて異質の諸力をそれぞれ独自に組み合わせた混成体が、一般的に「国家の誕生」と一括的に語られる現象なのだ。
ここのところは、こんな風にまとめたのを読んでもなにを言ってんだか、かもしれない。
具体的にいろんな事例をあげての比較考証が抜群に面白いのだが、それをここで紹介することは難しい。

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四時近く、店を出て、ちょっと贅沢しちゃったなの後悔と、それだけの満ち足りた時間を過ごせたことの満足を胸の測りでぶらぶらさせながら、学大商店街を歩いて、古本屋も入るだけにして、バスに乗って帰った。
バスの行く手に大きな夕日が沈もうとしていた。

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(京都、俵屋 福豆)

Commented by hibiscus2025 at 2025-01-17 12:13
おはようございます。終わりよければ全てよし♪、でしたね。ビーガン、オーツ麦、身体に優しいですね。
Commented by kimanba at 2025-01-17 12:46
こちらの勝手な思い込みなのだけれども
ビーガン料理を出すお店は_と、何だか勝手に思ってしまっていました。
そもそも一品注文だのチャージ料だの せせこましくて興覚めですね。ビーガン料理なのに?
その上お店の方は
saheiziさんの仰ったそれ程複雑とは思えない論理(なるほど~の論理)を理解する能力に欠けていらっしゃった。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-17 13:14
> hibiscus2025さん、いかにして心地よく本を読むか、それが今の生甲斐です。
身体にいいものを取らないと、心地良くないですね^^。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-17 13:17
> kimanbaさん、それほど広くない人気店だから、朝から席を独占されるのは困る、それは分かるのですがね。
きのうは朝は私しかいなかったのだし、、。スタッフで相談していましたが、店長格の女性が決定したようです。
いつもの店長格と変ったようで、それが不運だったかな^^。
Commented by Hana3131H at 2025-01-17 14:30
本をゆっくり読めるスペース、自分を取り戻せる「至福の時」、それを求める気持ちは同じです。

”Smile”はローマ字風に読むと“スミレ”、なるほどスミレの花言葉の「小さな幸せ」を大切にしていけば、「大きな幸せ」につながるからですね。美味しそうな焼き鳥やですね。
「笑顔」。。。私も頑張ります(笑)

「サンチ」のこと、私も気にかけています。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-17 18:23
> Hana3131Hさん、ありがとう。
きようはずつとサンチを抱いて本を読みました。
Commented at 2025-01-17 22:02
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-17 22:26
> 鍵コメさん、思わず微笑みのこぼれる話ですね。
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by saheizi-inokori | 2025-01-17 12:04 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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