豪雪

けさも素晴らしい青空、洗濯物を干しながら、青森や秋田や新潟などに住む人たちのこと(ブログの知人)を想って、申し訳ないと思う。
上越市で重病を養うウメさんの更新が途絶えているのが心配でもある。
僕にはあんな雪を毎朝キレイにすることなど、とてもできそうにない。

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前にも書いたけれど、雪の会津から千葉に転勤になって、つくづく温暖の地に住む人は恵まれていると思った。
雪国では稼ぎがなくなるばかりか、バカにならない出費が増える冬でも働いて収入を得ることができるのだ。
関東一円に「豪雪」があって、国鉄の現場は大混乱したときに、東京を管轄する三管理局の先輩課長たちから、現場職員に報労金を出そうという相談があった。
僕は、「会津の人たちは毎日もっと凄い雪と戦っているけれど、そんなものをもらったことがない。
東京の、あれしきの雪で列車が止まるなんざ、むしろ懲罰もんだ、報労金なんてとんでもない」と言ってのけたもんね。
先輩たちは、呆れたように笑って報労金を沙汰止みとした、ああいうのを苦笑いというんだね。
若気のいたり、東京の輸送密度と会津線のそれをいっしょにする暴論だったが、懐かしくもある。
こうして書いていると、汗だくになって雪かきをした駅の皆の顔や吹雪の中でカンテラをふるふとった春日さんの姿などが彷彿してくる。

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私的所有の起源についての興味深い話。

人類学者のジェームズ・ウッドバーンは、
断固たる平等主義で有名な狩猟採集民のなかにも、大人どうしで直接命令してはならないとか、個人が所有を主張してはならないというルールには注目すべき例外があった。
と指摘、その例外は、儀礼、聖なるものの領域であった。
秘密の場所に隠される聖なるラッパとか笛などは、その自由社会における唯一の重要かつ排他的な、不可侵(セイクリッド・聖なる)な所有形態である。
私的所有の観念と不可侵なるものの観念とのあいだには、深い形式的な類似性があり、どちらも本質的には、排除の構造なのだ。

先住民たちが絶対的不可侵の聖なる時と場に限定している私的所有の性質を、ヨーロッパでは『すべての人権と自由の範型(パラダイム)』として捉えた。
自分の動産や保有物や身体を「所有」しているという観念が、殺されたり、拷問されたり、恣意的に投獄されたりしない権利や、自分の土地、家屋、車などから他人を排除する権利に基礎づけられている。
一方、アメリカの先住民のほとんどにとっては、そういう考えはきわめて異質なものであり、採用されるとしたら、それは、不可侵なる対象、人類学者のロバート・ローウイが「サクラsacra」と呼んだものとの関係に限られた。
呪文、物語、医療知識、特定のダンスを踊る権利、マントに特定の模様を縫いつける権利、狩りの幸運を保証する秘教的力、その皿に盛るためのベリーを集める権利、その家宝の木皿の所有者は、特定の宴席で特定の歌を歌いながら、そのベリーを振る舞う権利も持っていた。
多くのばあい、土地や天然資源の真の「所有者(オーナー)」は神々や精霊であり、人間は無断占拠者や密猟者、あるいはせいぜい管理人にすぎないといわれた。
トーテムシステムにおける「クマ・クラン」「ヘラジカ・クラン」のようにある動物を「所有」するということの意味は、そのクランのメンバーは、所有する動物を狩ったり、殺したり傷つけたり、消費してはならず、その動物の生存を支え、繁殖を促すための儀礼に参加することなのだ。

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きのうの記事で書いた、多くの考古学的な証拠があるのにも関わらず、現代でも「狩猟採集民は未熟で素朴であって、文明は農耕なしには不可能である」という誤った考えが生き延びているのか、について。
それはヨーロッパが植民地を拡大していくさいに、先住民の土地や遺産を強奪するのを正当化するための「屁理屈」なのだ。
つまり、未開ののんきで怠惰な狩猟採集民は事実上「自然状態」に暮らしている。
彼らはその土地に属してはいるが、所有を法的には主張できない。
なぜなら、彼らは実質的には働いていないからだ(とんでもない嘘っぱち!)と。
ローマ法的な所有の観念こそなけれ、上にのべたように先住民も立派に働き、土地を所有していたのに。

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数多くの例外的事象を突きつけられると、ヨーロッパ人は、それは真の狩猟採集民ではない、とか特別に恵まれた環境にいた例外だとか、アベ的言い換えや循環論法で糊塗した。
「真のスコットランド人」論法(論理学者のあいだでは”アドホックな救済”としてしられる)の愉快な事例、
あるスコットランド人が、新聞でイングランドの色情狂の記事を読み、「スコットランド人なら、絶対そんなことはしない」と断言する。
翌朝、もっとひどい残虐行為をしたスコットランド人の記事を読んで、「真のスコットランドだったら、絶対にそんなことはしない」というのだ。

アベとその郎党、どこやらの知事、なによりネタニヤフも立派にコンキスタドールの末裔だな。

Commented by saheizi-inokori at 2025-01-09 20:14
> open-mind1109さん、雪の重さをしっていますよ。
皆さんのインフルは治りましたか。
オープンさん、くれぐれも無理しないで、それが皆のためですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-09 20:20
> hanamomo60さん、とこもひどくならないように祈ります。
夕焼けは、もつと優しげだつたのですがスマホほこんな画像にしました。
空の変化をみながら散歩しています。
Commented by saheizi-inokori at 2025-01-09 20:22
> Solar18さん、日本人も同じことなのだと思います。
本書は半分、このあとが楽しみです。
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by saheizi-inokori | 2025-01-09 12:16 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(3)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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