ローズベルトの幻の大統領令

いい天気が続く。
思いついて、晩飯のあと洗濯した。
それだけ朝の時間がゆっくりできるのと、部屋干ししているあいだ、加湿器の役を果たす。
朝、陽が昇ったころベランダにだすときは、かなり乾いている。
寝坊をしたのでは何にもならない、むしろ早起きして、「ゆっくり」するのだ。
片足立ちも焦らずに五分づつできる。
それでも朝の時間の過ぎるのは早い。

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きのうも午後は三谷のカフエ、日曜日のルーテインになりかかっている。
馴染むと気持ちが落ち着くけれど、知らない店に入るわくわく感がなくなる。
僕に必要なのはわくわく感のほうだ。

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「国家はなぜ衰退するのか」を読みつづける。

大恐慌の真っただ中の1932年に民主党フランクリン・D・ローズベルトがアメリカ合衆国大統領に選出された。
ローズベルトのニューディ―ル政策のうちの、産業の復興のための全国産業復興法は議会を通過して施行されたが、すぐさま法廷に異議が申したてられて、1935年最高裁は、全員一致で「尋常ならざる事態には尋常ならざる救済策が必要な場合もある。しかし、、、尋常ならざる事態といえども、憲法上の権限をつくりだしたり、それを拡大するものではない」として、その一部を違憲とした。
この判決が出る前に、ローズベルトは社会保障制度や全国労働関係法にも署名したが、こうした施策についても最高裁に異議申し立てがなされた。

そうするうちに、ローズベルトは61%という強い支持を受けて再選される。
彼は有名な、定例のラジオ放送「炉辺談話」で、国民に呼びかける。

今のアメリカを引っ張る三頭の馬のうち、議会と行政はおなじ歩調で進んでいるが、裁判所だけが違う。
この四年間、疑わしきは合憲という健全なルールは放棄されて、最高裁判所は司法機関ではなく、政策決定機関としてふるまってきた。
自分はこうした状況を変えてほしいという負託を選挙で受けており、そのための唯一の方法は、「この国の裁判所すべてに新しい血を注入することだ」と主張し、最高裁判事は老齢で働き過ぎであるから、70歳で定年退職すべきであり、その後任の6人は大統領が指名できるようにすべきだ。
この提案について、世論調査の結果は、賛成が40%程度にとどまり、ローズベルトに協調的だった最高裁判事のルイス・ブランダイスは反対意見を述べた。
民主党が絶対多数を握っていた上下院の下院は事実上審議を拒否し、上院は70対20で否決したのだ。

筆者は
包括的な政治制度は包括的な経済制度からの大幅な逸脱を防ぐだけでなく、包括的な政治制度自体の存続をおびやかす試みにも抵抗するのだ。裁判所を乗っ取り、ニューディール関連法案の生き残りを確実にすることは、民主党が多数を占める上下両院の当面の利益にかなっていた。
だが(中略)、上下両院の議員は次のことを理解していた。
大統領が司法の独立を脅かせるなら、自分たちを大統領から守り、多元的な政治制度を存続させる体制の勢力均衡が崩れてしまう、と。
 ことによるとローズベルトは、次にこんな決断を下していたかもしれない。議会で過半数を得るにはあまりにも多くの妥協と時間が必要だから、代りに大統領命令によって統治し、多元主義と合衆国の政治体制を完全に破壊してしまおう、と。もちろん、議会がそんなことを認めるはずはなかったが、その場合ローズベルトは国民に対し、議会が大恐慌との戦いに必要な政策を邪魔していると訴えかけることもできたはずだ。警察を使って議会を閉鎖することもできただろう。現実離れした話だろうか?
と書いて、それはペルーのフジモリ大統領とベネズエラのチャベス大統領が実行したともいう。
僕たちは、隣りの国でも起きたことを知っているし、この国でも起こしたがっている政治家が少なくないことも知っている。
隣りの国では健全な多元主義が民衆のあいだに生きているために、大統領の企ては阻止されたが、植民地であることに甘んじているこの国では、、、僕には「大丈夫」といいきる自信も見通しもないのだ。

だから、憲法を変えて「緊急事態条項」などというものを作ってはならないと思う。
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ねっとりと、うまい栗蒸し羊羹。

Commented by jyon-non3 at 2024-12-09 16:13
ご意見に共感します。

今は大変な時代ですね。

沢山の人々が生きるだけで精いっぱいのように思います。

カフェはワクワク感を選択されるとのこと。

それでこそサヘイジさんですね.(^^♪

Commented by saheizi-inokori at 2024-12-09 16:21
> jyon-non3さん、ささやかながら私の日常の冒険なのです。
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by saheizi-inokori | 2024-12-09 11:29 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(2)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori